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S4 レンタル・サラ

「………と言うわけだ」


エドワード陛下は現状を説明した。

過去から力を持ってる来るか。

随分大事だな。


「過去から……一体どうやって……」


沈鬱な表情で口を開いたのはエリスだ。

皆、同じく沈鬱な表情をしてる。

確かにこれの対処は難しいだろうな。


「レディはあまり驚かれていないご様子。何か過去に干渉する方法に心当たりが?」


エドワード陛下や他の皆の視線が集まる。


「対処はわからぬが時間と空間を操る魔法を知っているというだけです」

「時間と空間を?」

「はい時空魔法呼ばれているものです。もっとも人間一人の命を賭けても数分しか過去に干渉できないと言われていますけど」

「どこでそれを?」

「私の大陸では珍しい魔法で使い手も極僅かですが一般的に知られいます」

「レディの大陸?」


あ、まだエドワード陛下には話していなかったな。

それにしてもレディという呼ばれ方は慣れん。


「私はこことは別の大陸であるユグドラシル大陸から参った。この大陸と国交を結ぶ橋渡しをするようにと命を受けまして」

「そうでしたか。それは我が国、いえ我が大陸に理がある事でしょう。ですが今の状況、それは難しい事ですね」

「では、それを私に命じた者に伝えて頂けませぬか?」

「このユピテル大陸に来られているのですか?」

「いえ……」


そう言って私は懐から一つの魔晶石を取り出す。


「それは?」

「これに魔力を籠めれば我が主に伝わり、先程話した時空魔法で瞬時にこちらにやって来られるでしょう。宜しいでしょうか?」

「にわかに信じがたいですが、レディにも命を受けた立場があるでしょう。先程の話、確りと伝えさせて頂きます」


お許しが出たので魔力を籠めた。

さてあっちに伝わってどれくらいで来られるかな?

あっちにも準備があるだろうから。

あ、直ぐに来るみたいだ。

空間が騒めいてる。


「なんじゃ?」

「精霊が……」

「蠢いてる」


ラゴス、エーコにルティナが真っ先に反応した。

流石は魔導士の村の者に親が精霊のルティナだな。

そして五芒星の魔法陣が現れる。


「「「「「「「「「「っ!?」」」」」」」」」」


流石に魔法陣が現れれば全員驚くようだな。

やがてそこから水色の髪をした二人の女が現れた。


「早かったなディーネ」

「ついさっきミクが帰って来たから準備してたの」

「そうか……ではご紹介し……」

「これはこれは美しきレディ達よ。このようなむさ苦しい場所にようこそおいでくさいました。お二人のような見目麗しいい方には不釣り合いかもしれませんが」


エドワード陛下に遮られた。

この王は女を見ると口説かないといけない呪いでもあるのか?


「サラ、誰ですか?この不浄な者は」


ロッカがまるで視界に入れるのをはばかられるかと感じてるようだ。

汚らわしいものを見る眼差し……相変わらずこういうのを嫌うな。


「まあ見目麗しいですって~」


ディーネはディーネで両頬を両手を添え身悶えしてるし。


「こちらはエドワード陛下……この国の王でございます」


そう言った途端、ロッカは自分の髪と同じ色の扇子を取り出し、それを広げ口元に当てる。

ブルートパーズが細工されており、いつも見ても奇麗だしロッカに似合うと思う。


「あら、ふふふ……それは失致しました」


と言いつつも目がまだ汚らわしいものを見るような感じだ。


「エドワード陛下、紹介します。こちらは我が大陸を統べる女王であらせるルークイン=ロッカ=ユグドラシル。こちらが我が主のプリセン=ディーネ=イクタベーレでございます」

「ご紹介に預かりました(わたくし)はルークイン=ロッカ=ユグドラシルでございますわ」

(わたくし)はプリセン=ディーネ=イクタベーレです」


ディーネはロッカを立てるように一歩下がる。


「これは失礼。レディに先に名乗らせるなど。私はこの城の主、エドワード=フィックスでございます。宜しくと言いたいとこなのですが、現状国交は難しい状況にあります」

「理由をお伺いしても?」


エドワードはこの大陸に置かれている事を説明した。

ん?ルティナも一年前の戦いに参加していたのだな。


「なるほど。お話はわかりました」


そう言ってしばらく考え、私に視線を向ける。


「サラ、この大陸は如何でしたか?」

「良き大陸だ。先の大戦で一時的に魔法は失われ大地は荒れているが、機械技術は素晴らしいものだった」


国交するに値するかを問うと事前に訊いていたので素直に答えた。

訊き届けたロッカは次にディーネに視線を移す。


「ディーネ、もうしばらくサラを貸してくださらない?」

「ロッカ様のお考え読めました。(わたくし)に依存はありません」


ん?何だ?


「エドワード陛下、良ければサラをお使いください。戦力は多いに越した事はないでしょう?」


なるほど、そういう事か。


「戦力ですか……」


エドワード陛下は私の実力も知らないから判断に困るだろうな。


「サラなら問題無いよ。私を助けてくれたのだけど戦い慣れしていたわ」


とルティナ。


「ほー」

「それにサラお姉ちゃんはこの中に二番目に魔力があるよー。たぶん私と同等かそれ以上ー」


これは思わぬとこから援護射撃。


「エーコにそこまで言わせるとは……ルークイン女王よ」


ん?女王女王?


「あら(わたくし)とした事が失礼致しました。ルークインは我が大陸で女王を意味します。従ってロッカとお呼びください」

「それは最初に確認せず、とんだご無礼を……では改めてロッカ女王」

「はい」

「戦力を貸して頂けるのは有難いですが……ですが何故でしょうか?」

「先程サラが仰っていた機械技術、実に興味深いです。それでは理由として不足でございましょうか?」

「なるほど。では有難く借り受けます。それでは今後の国交の為にも本日は我が城を見学致しませんか?我が国は機械技術の最先端を行っております」

「それは是非とも宜しくお願い致しますわ」

「サラ、君も見て来ると良い」


エドワード陛下が私にも言ってきた。

だいぶ砕けたな。

共に戦う事になったからか?

レディと言われるよりこっちのが良いな。


「承知しました。是非とも拝見させて頂きます」

「それと見学の後でも宜しいのですが、時空魔法について教えて頂けませんか?」

「ディーネ、後でお願いできますか?」

「はいロッカ様」

「我が主であるディーネは私が知る限り唯一の時空魔導士です」


一応言っておいた。


「それにしてもそんなに珍しいのですね。少しでも今は情報が欲しいので心強いです。それと二人きりでお茶とかも如何ですか?」


あ、またロッカが汚らわしいものを見る目に。


バコっ!


エリスの蹴りが入った。


「国賓でしょうが」

「兄貴、今のちょっとまずいぞ」


ん?兄貴?

あのムキムキの人はエドワード陛下の弟か?



その後、城を案内された。

様々な機械類の開発を見れた。

その為に、城の一部ではガッコンガッコン煩かったのだ。

それに開発となれば汚染物質を出し自然を破壊する可能性がある。

それ故、砂漠の上に城を建てたらしい。

もっとも精霊大戦で今では自然なんて残っていない荒野が広がっているが。


見学を終わるとディーネが時間に干渉する魔法を披露していた。

紙に文字を書き、それを私が凍らせる。

そしてディーネが魔法を唱えた瞬間、氷は溶け書いてた文字も別のものに。

ただ帰りの魔力を残しておくために一分程前にしか干渉しなかった。


「これは凄い。ディーネ王妃よ、ちなみにもし全力で過去に干渉するとしたらどれくらいの時間でしょうか?」


プリセンが王妃を意味する事を先程伝えていたのでエドワード陛下がそう呼ぶ。


「全魔力を賭けて5分、命までも賭けて10分と言ったところでしょうか」

「やはり一年には程遠いですね。何かそれを可能にするのに心当たりはありませんか?」

「魔道具なら可能性はあるかもしれません」


ロッカが答える。


「魔道具とはどんなもので?」

「あ、サラの槍!」


ルティナが気付く。


「そうですね。サラが使うのは雷の力を宿した魔道具とも言えましょう」

「では時空を操る魔道具があると?」

「わかりません」


ロッカが首を横に振る。


「そもそもサラのサンダーランスの元となったのは、我が大陸に現存する7つの伝説の武器。それを解析して作られたのだと思われます。故に我が大陸には特殊な武器が多数存在しますが、時間操る伝説の武器はございませんでした」

「なるほど。現存が確認できないだけで可能性はあると?」

「はい。(わたくし)達も数年前は戦争をしておりましたが、敵側が変わったものを持ってるの者が多かったです。例えば無限に魔力が沸く杖とか……ただそれらを持つ者と相対した時に、それを破壊しないとならない状況でした。魔道具の捕獲が出来ていれば解析し色々わかったのですが……申し訳ございません」


ロッカが頭を垂れた。


「いえ謝る事ではございませんロッカ女王。これは元々我々の大陸の問題。情報提供に感謝しております」

「あの宜しいでしょうか?」


ディーネが声を上げルティナを見る。


「私ですか?」

「はい、貴女は少し特殊な魔力を感じます。それを踏まえお聞きしたいのですが」

「私に答えらる事でしたら」

「精霊王の力があれば1年くらいなら時に干渉できるのではないですか?」

「「「「「「「「「「っ!?」」」」」」」」」」」


全員に衝撃が走る。


「例えばですけどラフラカという者は、やろうと思えば時間に干渉できたのではないですか?」

「……そうですね…可能性はあります。私達もラフラカも時空魔法を当時知りませんでした。もし知っていたならラフラカは試したのではないでしょうか?精霊王程の膨大な魔力があれば、かなりの時間干渉が可能だった筈」

「なるほど。魔道具よりそっちの線のが濃いかもしれませんわね」

「どういう事ですか?」


エドワード陛下が疑問を口にした。


「過去に自らの手で直接干渉は難しいですが、例えば手紙等あるいはテレパシーのようなものを過去に送れればラフラカなる者から精霊王の力を奪った者は、そのまま時空魔法を使えたかもしれません。まあ結局手紙等を送るにも魔道具が必要ありそうですが、自らが過去に干渉する必要はないという事です」

「なるほど」


その後、時空魔法や魔道具についてあれこれ話すとディーネはロッカを連れて帰っていた。

帰る時も五芒星の魔法陣が現れて皆驚いていた。



「今日はもう遅い。客間を用意するから、それぞれ休んでくれ」


エドワード陛下の一言で解散となる。






そして翌朝、王間に集合した。


「では、これからどうするか意見がある者は……」

「エド、久しぶりでござる」


エドワード陛下が何か言おうとすると王間に新たな客が現れる。

侍風の恰好した者と……。


「ムサシ、ガッシュ」


そうガッシュ。

私をエド城の途中まで案内してくれた者だ。


「これは一年前の大戦でラフラカの城に乗り込んだ者が勢ぞろいしたな」


ムキムキの人が呟く。

ほ~11人の勇者とやらが集まったのか。


「ムサシ、お前腰壊したとか言ってなかったか?普通に動いて大丈夫なのか?」


バンナナの男が言う。


「それがでござる。ある御仁の助力によりすっかり良くなったでござる。そしてダーク殿にお客さんでござる。ここにいると思って連れて来て良かったでござる」


そう言うと侍は後ろに視線を向けた。

そしてもう一人女が歩いて来た。


「……アークやっと会えた」


ほろりと一滴涙を流してる。

ダーク?アーク?どっちだ?


「……ナターシャ」


ダークまたはアークと呼ばれた者がぽつり呟いた……。

次回ナターシャ編。

やっと主要キャラを出し終えました。

ナターシャ編が前フリのラスト

その次から終わりに近づいてると同時に本番になります

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