S2 サラ来訪
私の名はサラ=マンデーラ。
とある国に仕える冒険家だ。
正確にはその王妃なのだが、その王妃の命で大陸間国交を開きたいという事で私は橋渡しの為にユグドラシル大陸から、このユピテル大陸に参った。
ルティナに教えて貰った経路で私は、フィックス城に目指す。
途中にあったサバンナは良い冒険になり楽しかった。
しかも珍妙なガッシュと名乗る者に出会った時は思わず笑ってしまった。
まずエド城を目指すと言われたのでガッシュに案内を頼んだ。
食べ物を与えたら喜んで案内をしてくれた。
そしてフィックス領に到着した。
ここに、この大陸を救った王がいるという。
にしても、随分変なとこに城を建てているんだな。
フィックス領のイーストックスで場所を訊いた時は嘘だろと思ったけど、まさか本当に砂漠の真ん中に城があるとは……。
城の門には二人の兵が立っていた。
「エドワード陛下に謁見願いたい」
私はそう声をかける。
「申し訳ございません……只今エドワード様は留守にしております」
「せっかくルティナに訊いて尋ねて来たのに残念だ。わかりました。では、また改めてお伺い致します」
私は、軽く頭を垂れると身を翻した。
「ちょっとお待ちを……今なんと?」
ふいに衛兵に呼び止められる。
「ん?……では、また改めてお伺い致します」
振り返り同じ言葉を口にした。
「その前です」
その前?
「……せっかくルティナに訊いて尋ねて来たのに残念だ」
再び同じ言葉を口にする。
「なんとルティナ殿のお知り合いですか?」
衛兵達が驚く。
「はい…そのルティナ殿のご紹介で、エドワード陛下に会いに参りました」
「どうする?」
「ルティナ殿のお知り合いなら入れても良いじゃないか?」
衛兵達が話し合いを始める。
それだけルティナの影響力が大きいのか?
「ルティナは、城の出入りが自由な方なのですか?」
「いえ、ルティナ殿に限らずエドワード様とお知り合いだという事を我々が知っていれば、出入りを自由にしております」
「なんと!?」
王と知り合いなら出入りが自由だと?
私は驚いた。
この城は一体何なのだ?
不用心過ぎるんではないか……。
「で、どうする?」
再び衛兵達が相談し合う。
「直接ルティナ殿に尋ねてみるか?城におられる事だし」
「はっ!?」
何故ルティナがいる?
私が彼女の家を離れるまで、彼女は自分の家にいた。
そうなると、私より先に到着しているとは思えない。
私は迷う事なく此処まで辿り着いたのだから。
「し、しかしルティナ殿はお休みになられている」
尚も続く衛兵達の話し合い。
「じゃあ…エリス殿に相談するか?」
エリス殿……誰だ?
「ああ、それが良い……そうしよう」
何故か知らんが話がまとまったようだ。
「客人よ、しばしお持ちを」
というと片方の衛兵が城の中に入って行く。
そして暫く待つと一人の女性を連れ、衛兵が戻って来た……。
後から現れた女性は白身が、かかった金色の髪を輝かせていた。
それは見とれてしまう程美しい。
顔も凛としており、どこなく気品をただよわせる綺麗な人だ。
そして、引き締まった身体。
筋肉がバランス良くついてる。
彼女もルティナと同じく武芸たしなんでいるんだろう……。
それも相当な実力者に思える。
また、どことなくルティナと同じ空気を漂わせていた。
「ルティナの知り合いってのはこの人?」
透き通るような、声を発する。
美しい身なり、美しい声……まるで絵に描いたような、お姫様のような感じだ。
「はい…そうです」
「そう……」
私に視線を合わせて来る。
「私はエリス。貴女は?」
「サラと申す」
「それでルティナとは、どんなご関係で?」
「いえ、関係って程でもないのですが、彼女から此処の陛下が大陸を救った英雄の一人とお訊きし、一度お会いしたいと思ったのです」
「エドに、ねぇ……」
何かを含みのある言い方をするように呟く。
相性でしかも呼び捨て!?
やはり、本当にお姫様か何かなのか?
それなら、何処と無くある気品も頷ける。
「それは興味本位?英雄に会いたいという」
再び問われた。
「いえ、我が主が国交を開きたいと考えております。私はその橋渡しの命で参りました」
正確には私の主が国交を開きたいと考えてるわけではないのだが簡素に説明した。
「なるほど。良いわ…入ってきなさい」
あっさり?
「宜しいのですか?エリス殿」
と衛兵。
「ええ。何かあれば私が責任を取る」
「はっ!エリス殿がそう仰るなら」
「それとあの二人を応接室に呼んでおいて」
そうして私に道を開ける。
「では、お言葉に甘え失礼します」
そうして城の中へ入った。
私はエリス殿の後を着いて行く。
どこかに案内しようとしてくれている気がした。
城の中では、ガッタンゴットンと騒音が響く。
何かの機械音だろうか?
「凄い音でしょう?」
エリス殿に声を掛けられる。
「何かの機械が動いているのですか?」
「そう。この城は機械仕掛けだから……それより、そんな堅くならなくて良い」
「いえ、王族の方に失礼な態度は取れませぬ」
「はっ!?王族?……誰が?」
エリス殿が素っ頓狂な声を上げる。
正直可愛いと感じた。
「あの…エリス殿は、王族の方ではないのですが?」
「ふふふ……何故私が王族なのだ?」
微笑を浮かべる。
何故か吸い込まれそうな美しさだ。
「先程の衛兵を前にしての立ち振舞いや陛下を呼び捨てにした事から、そう推察しました」
「エドは昔の馴染みだからね。それに彼は堅苦しいのは嫌う」
彼自身が砕けた人だから……と繋げ含みのある笑みを見せた。
「……そう…ですか……」
「だから、そう堅くならなくて良い。私はエリスと呼んで。私も貴女をサラと呼ぶから」
「承知した」
と答えるが、どうも納得行かない。
あの衛兵を前にしての立ち振舞いは、それ相応の立場にいないと身に付かないものだ。
陛下の昔の馴染みだという彼女は一体何者なのだろうか?
「着いたぞ。サラ」
エリスが立ち止まる。
「客間か?」
私も立ち止まった。
「いや、ルティナが寝ている部屋だ。せっかく来たのだから、見舞ってくれ」
そう言ってエリスが中に入って行く。
私もそれに続く。
中のベッドには確かにルティナが寝ている。
しかし、何故だ?
何故彼女が先に此処に来ている?
たが、まず気にするべきは他にある。
「ルティナはどうしたのだ?何処か悪いのか?」
「ただの疲労みたなものだ。少し休めば良くなるとエドは言っていた」
「そうか、良かった。だが、私は、ルティナより先に彼女の家を後にした……なのに何故ルティナが先に此処に到着しているのだろうか?」
ここでで疑問を口にする。
「ん?……サラはルティナの事をどこまで知っている?」
エリスが真剣な眼差しで見つめてきた。
「何処までというのは……?」
一体何の話をしているのだろうか……。
「……例えばルティナが魔導士だという事とか」
「なぬ!?」
思わず声を張り上げてしまった。
「しっ!!」
エリスが人差し指を自分の口元に当てる。
「あっ!すまぬ」
危うくルティナを起こすとこだった。
「その様子だと知らなかったようね」
「知らぬも何も、私が魔法を使ったら、物凄く驚いていたくらいだからな……」
「えっ!?……貴女魔法使えるの!?」
エリスも驚く。
「ああ」
「精霊が復活している事に気付いたの?」
またその話か……。
それに私の推測通り復活していたのか。
「少し違う……その事は後で説明するから、まずルティナの事を教えて欲しい」
「悪いけど、私の口からはこれ以上言えない。彼女の内情になるから。彼女が目覚めたら本人に訊いて」
「……わかった」
この大陸では、魔導士である事に深い意味があるのだろうか……?
わかっている事は、これ以上エリスは何も言ってくれないだろう。
「じゃあ……応接室に案内するから貴女の話を訊かせてくれる?」
「ああ」
そうして私達は、この部屋を後にし応接室に向かった。
そこには老人と幼女がいた……。




