07 俺は俺らしく俺で良い
矛盾が生じたので一部変更しました
~アーク~
筋肉バカ……もといアルフォード=フィックスという名のエドワードの双子の弟。
プレイアブルキャラの一人で闘気技を自由に扱える唯一のキャラ。
魔法を封じる場所、魔法が効かない相手でも関係無くゴリ押しできる強キャラ。
エドと同じ髪の色でモヒカン。
ダサい。
これさえなければ人気上位なキャラなのに。
ちなみに闘気技は他にも使えるキャラはいたけどアル程自由には扱えない。
この暗殺者ダークもそうだ
そんなアルが小声で話してる。
暗殺者キャラの俺には丸聞こえだぜ。
「……おい兄貴」
「ん?どうした」
「あいつ……アークってんだろ?」
「……ああ」
「でも今、ロクームがダークって……」
「似てるからだろ」
「ああ…なるほど」
筋肉バカで良かった。
こいつの前ではアークでいられる。
暗殺者ロールプレイをしなくても良い日が近いのかもな。
現在筋肉バカの案内でフィックス城北にある洞窟の怪しい模様の扉に向かっている。
道中クソったれロクームと筋肉バカが先導しエドが俺に話し掛けて来た。
「城でのアレどうしたんだ?アーク」
「アレ?」
「ロクームにつっかかってただろ?」
「あの時も言ったけど気が立っててな」
「何か考えて事していたのではないか?」
ほ~流石は一国の王。
見抜かれていた。
「……ああ」
「私で良ければ聞かせてくれないか?」
「お前の言ってた言葉だよ」
「私の?」
「……生きながら得た生命だ。何か意味があったんじゃないか?」
正確には異世界転移したからには意味があったんじゃないか。
俺の思考は最近そればかりだ。
それと俺はアークとして生きていけないか。
ダークじゃないとわかって幻滅されるのは怖い。
引き籠りのコミュ症の俺がまもともに接する事ができるかわからない。
またロクームに対してみたいに素が出てしまうかもしれない。
それでもアークとしてと生きられないかと考えてしまう。
「なるほど。それでついロクームに当たってしまったと?」
「……ああ」
「それってお前の素が出たのではないのか?」
「………」
えっ!?
見抜かれていた。
俺は黙り込んでしまう。
「そのだんまりも素か?昔のダークなら否定なり肯定なりの言葉が出てきたと思うがな」
「………」
クッソ。
やり辛い。
暗殺者ロールプレイをしなくては……。
「でも、それで良いんじゃないか?私は久々にそんなお前が見れて良かったぞ」
「はっ!?」
あ、また。
素が。
「お前はさ、暗殺者として生きて来た。何故そうなったのか知らないし、察しはつくけど、詳しく聞くつもりはない。でも今は暗殺者をやってるわけではないのだろ?本来のお前らしくしても良いのでは?」
そうだな。
今の俺は暗殺者ではない。
その身体を奪った簒奪者に過ぎない。
だけど……。
「そうすると皆、俺から離れて行く」
あ、つい本音が出てしまった。
エドが相手だと気が緩む。
エドは鳩が豆鉄砲を食ったよう顔してる。
それも一瞬の事で、やがて口を開く。
「なあ……俺達の関係って何だ?」
「……仲間」
たぶんダークにとってそうだった筈。
「そうだな。それともう一つ聞きたいが、本音が出たついでだ。お前ロクームが嫌いか?」
「……ああ」
悩んだが正直に答えた。
「じゃあその嫌いなロクームが目の前で死にそうになってたとする。少し手を出せば助けられる。アークは助けるか?」
「それは助けるな」
「だろ?それが仲間ってもんだ」
何が言いたいんだコイツは?
目覚めが悪くなるからそれは助けるだろ。
というかロクームじゃなくても赤の他人でも助けるよ。
いや嫌いなロクームでも助けるかって問いだったな。
嫌いだから見捨てるではなく仲間だから嫌いでも助けるものだと言いたかったわけか?
「仲良しこ良しのお友達をやりたいなら。今のままで良いかもしれなし、自分を変えるのも良い」
「………」
「だけどこれだけは忘れなるな。例えば素のお前がどんなのでも俺は仲間としてピンチの時は見捨てない」
「……ああ。わかった」
エドすまないな。
俺は俺らしく俺で良いのか。
まだ怖いけど、少しスッキリしたぜ。
そうして怪しい扉の中に入りラフカラと同じ魔導研究所に突入した。
途中アルフォードをアルと呼んだり、初対面で闘気技を使えと言ったり、アークのフリをしてるのにミスったぜ。
ダークとバレていない相手だったなのに。
筋肉バカで良かったぜ。
誤魔化せた。
だがそうなるとバレていないのは筋肉バカとマジ天使のエーコちゃんか。
ラゴスはハンターがなついたせいできっとバレたな。
これでアークとして貫くのは難しくなったぜ。
そんな事を考えていたら魔物の背後を取り小刀を首に突き付けていたぜ。
流石俺のキャラつえー。
とりあえず質問。
「ここで何をしている?」
「魔物ニ魔導ノ力ヲ与エテイル」
あ、やっぱり。
「誰がやらせている?」
「ダームエル様ダ」
「なん…だ…と?」
ダームエル?
まさか生きていたのか?
「どうしたアーク?」
エドが問いかける。
「……何でも無い」
と言っておく。
何でも無くない。
たぶんこれだな異世界転移した本当の理由は。
ダークは過去と決着を付けないといけなかった。
だけどダークの心は死んだ。
だから俺が呼ばれた。
何故俺だったかは知らないけど。
だけどもし俺の仮説が正しいなら聞かないとな。
「じゃあそのダームエルはどこにいる?」
「シルカ…排除排除!」
そうなるか。
で、精霊の力をどっから持って来たって問いは……。
「過去カラモッテキタ」
はっ!?とは思ったが納得してしまった。
ダークは過去に決着をつけないといけない。
決着をつけるにはどうにかして過去に干渉しないとな。
そしてそれは俺がやらないといけないんだ。
考え事をしていたら振り払われたてしまった。
『ハイ・ファイヤー!』
この状況じゃ避けられないな。
まあダークの肉体なら耐えられるだろ。
俺は腕をクロスしてガード体勢を取った。
「クゥ~ン」
しかしハンターが庇った。
俺は本当のダークじゃないのにな。
「無茶しやがって『リカバリー』」
ん?周りがビックリしてる。
「奴等に使えて俺等に使えない道理はない」
そもそも俺の感覚ではゲーム時代普通に魔法を使っていた。
魔法が使えなくなった精霊大戦後はプレイしていないから反射的に使ってしまう事もあるぜ。
そうして俺達は城に戻り皆と相談する事になった。
でもこれはきっと俺の戦いだ……。
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