Rs6 ゴウキ無双
「蓮司さん、今回俺1人に任せてくれませんか?」
港町ルークに向かう途中剛毅がこんな事を言い出した。
「はぁ!? 1人で平気なのかよ?」
「元々インペルーク国は軍事力に優れていないと聞きます。その国の港町くらい軽く制圧してみせますよ」
確かに軍事力の優れていない国の港町くらい軽く制圧できないようでは、話にならないかもな。
俺の標的は、灰色髪の奴と紅い長髪の奴だ。
あいつらなら当然簡単にやってのけるだろうな。
「わかった」
「ありがとうございます、蓮司さん」
「おい、聞いたか? 剛毅が1人でやるとさ。お前らは手を出すなよ?」
「はっ! 勇者様がやってくださるなら、ありがたいです」
デビルス兵も納得したので剛毅1人が暴れる事になった。
「気道拳!」
到着して早々剛毅の能力である拳2つ分くらいの大きさの気弾を兵の詰め所らしき場所に飛ばす。
「なんだなんだ?」
「何が起きた?」
詰め所が破壊されて慌てて兵達が飛び出て来た。
「貴様らかー?」
いや貴様らというか剛毅1人だが?
兵達が一斉に剣を抜き始める。
そして信号弾らしきものを上げた。
おそらく仲間を呼んだのだろう。
「じゃあちょっと遊んで貰おうか」
槍を抜き構えた剛毅が前で出る。
「貴様1人がか?」
「そうだが?」
「俺達を馬鹿にしてるのか?」
「ああ、してるが? お前ら程度、俺1人十分」
「ぬぅぅぅ! ここまでコケにしてくたのだ。相応の代償を払って貰おう。全員囲め!」
「「「「はっ!」」」」」
「させると思う? 気道列波」
槍から離した左手を前に突き出し気道拳を連続で放つ。
剛毅が鍛錬で身に付けたのは、連続で放つ気道拳だ。
勿論他にもあるが。
「ぬわ!」
「クソ!」
「ぐは!」
剛毅の出した気道列波で次々に兵達が倒れる。
だが、中には避けてながら進み剛毅と接敵した者もいた。
「覚悟ー!」
「遅い!」
ブスっ!
しかし、剣を振り上げ斬り掛かろうとしたとこを、先に剛毅の持つ槍に突き刺された。
お腹の辺りか。
あれなら死にはしないだろう。
剛毅も俺も日本生まれのせいで殺しを忌避しているからな。
「ほらほら、もっと行くぞ。気道拳」
そうして最初に破壊した詰め所から出て来た兵達は全滅させた。
剛毅もやるようになったな。
最初は、気道拳を飛ばし過ぎると体が動かなくなっていたのに、今じゃ連発してもケロっとしていやがる。
やはり勇者は、鍛えれば鍛える程、簡単に伸びるようだな。
「おい、何があった?」
「これはどういう事だ?」
「みんな死んでるのか?」
おっとここで救援者が3人程来やがったな。
さっきの信号弾で来たというとこだろう。
「先手必勝! 気道列波」
気道拳3連発。
増援で来た3人を襲う。
「ぐはっ!」
「ぐふっ!」
あっさり2人撃沈。
だが、1人は軽々と避けやがった。
「なかなかの闘気の使い手のようだな」
闘気? 何言ってるんだこつは?
「もっとぶち込むぜ! 気道列波」
今度は5連発。
その全てが避けた兵を狙う。
「ふん! はっ! とりゃー!」
何っ!?
全部手に持った剣で斬りやがった。
「今度はこちらから。斬空剣!」
そう言って横一文字に振るった剣から斬撃が飛ぶ。
斬撃を飛ばせるのは灰色髪の奴と紅い長髪の奴だけじゃないようだな。
いや、あの2人は炎属性が付いていたから、あっちのが上か。
たぶんだが。
「気道列波」
気道拳3漣発。
その全てを斬撃に当てる。
相殺しようとしたのだろう。
しかし、それらを斬り咲き剛毅に斬撃が吸い込まれる。
「くっ!」
それを槍で防ぐが真っ二つに折れ、そのまま直撃してしまう。
「どうやらお前の闘気で、だいぶ相殺されたようだな。だが次は、その槍がなくて防げるかな?」
「上等だ! コノヤロー!!」
あ、キレた。
剛毅の奴キレやがった。
槍がなくなり両手が空いた事で、両手の手根を合わせる。
手根とは手首から少し指の方へ向かったとこにある部位だな。
そして指の方を開き敵兵に向ける。
まるでかめ〇め波を撃つような構えだ。
「気道破弾っ!!」
そう言って発せられたのは通常の気道拳より4倍は大きい、そうだなバスケットボールくらいの大きさがある気弾が飛ばされる。
「くっ! 闘気の扱いがここまでとは……ぐはぁぁぁ!」
お腹に直撃し、敵兵が倒れる。
当然剣で斬ろうとしたが、逆に剣が折れてしまう。
つか、だから闘気って何だよ?
意味わかんねぇ事言ってるなよ。
「はぁはぁ……悪い。限界だ。あと頼む」
どうやら、剛毅も力を使い果たしたようだ。
どっしりその場に座り込む。
まぁそれでも初期に比べれば数撃てるし、特大のも撃てるようになった。
かなりの進歩だ。
初期は確か、6発くらい撃つと動けなくなってたもんな。
「ゴウキ様、十分です。邪魔な兵は一掃されました」
確かに一掃されたね。
剛毅が殺さないように倒したのをわざわざてめぇらがトドメ刺していたよな。
このデビルスの連中はこれだけが気にくわない。
ゼフィラク国との戦いでも、横から現れてトドメだけは貰って行きやがって。
だが、殺しを良しとしていなく、自分で手を汚せない俺が言って良いものではないだろう。
そう判断し、黙ってはいる。
それでも腹立つ。
自分達が弱らせトドメを刺すのではなく、俺らが相手をして弱らせたのを、もしくは相手をしてる横からトドメを刺すとか。
マジでイラ付くな。
「というわけで、兵のいない港町ルークを制圧するなど雑作もありません。あとは我々が」
そう言ってデビルス兵達が港町ルークを制圧した。
そして家を一軒一軒調べ……いやあれは荒らしだな。
荒らしまくりクロセリスちゃんを探すが見つからなかった。
じゃあインペルーク城か?
もしくは船でどこかに行ったか?
船でどこかへ行った可能性があるなら追いかければ良いと思い、それをデビルス兵に聞いた。
「いえ、船で渡った先まで逃げおうせていたら姿を変えてる可能性があります。それだけの時間的猶予を与えてしまったという事ですから。それにもし渡った先を虱潰しに探すなら兵を大量投入しないといけません」
「すれば良いだろ?」
「船での旅は危険なのです。よって大量に乗せられません。それにクロセリス姫殿下ばかりに兵を割いてる余裕は、我々にはないのです」
「ちっ! そうかよ」
つい舌打ちしてしまう。
俺の女だぞ。
クソが!
あのオッサン、俺の女を奪いやがって。
次会ったらぶっ潰してやるからな。
その後、俺達は予定通りロア学園に入学し戦い方を学んで行く事になった。
基礎からってのも面倒だが、オッサン、灰色髪の奴と紅い長髪の奴を倒す為だ。
あーそう言えばオッサンも灰色髪だな。
まぁどうでも良いか。
それに基礎から学ばんでも瞬殺できる程、オッサンは雑魚だけどな。
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