L2 守りたいから
無言の気まずい空気流れる中、ダークは食事を終え立ち上がった。
そして、コトっと何かをテーブルに置く、
ここの食事代ともう一つ……。
「……これをやる」
とダークが呟く。
そこに置かれたのは短剣だ。
「投てき用に買ったが、今のお前には必要だろう」
淡々と言ってきた。
「……だからダメなの」
私はもう本当にダメなのだ。
剣を持つだけで手が震えてならない。
「確かに刃は人を傷付け、相手を斬るものだが、それは使い方次第だ。誤ればお前のガギを斬るだろう。だが、逆に守る事もできる筈だ。それはお前が一番わかってる事ではないのか?」
「えっ!?」
思わずダークの顔を見上げた。
まさか彼がこんな事を言ってくれるなんて……。
なんか変わった気がする。
それに言ってる事は良くわかる
でも……私は……。
「護身刀だ!……そう思え」
彼は迷う私にこんなにも言葉つくしてくれる。
本当に変わったな。
そして彼は踵を返し店の出入口に向かった。
「……でも、ダメ!」
言ってる事はわかる。
でも私は怖い。
私は弱い人間だ。
精霊の力があった事で、力と向かい合い戦う事ができた。
でも、それも無くし、もう前みたいに目の前の事に立ち向かう勇気はない。
「甘ったれるな!お前、あの時何故ファルコンに乗った?一度躊躇っただろ?何故だ?それを思い出せ!」
彼は背を向けたまま怒鳴る。
「えっ!?」
私はその言葉に一瞬戸惑いを感じた。
ラフラカ城に乗り込む時に仲間達が乗っていた飛行船ファルコンに私も乗り、戦う決意をした。
でも何故?
「今のお前は、その気持ちを忘れている……」
確かにその時の気持ちを忘れているのかもしれない。
「……そうね。ありがとう…ふっきれたわ」
と振り返るがもうダークの姿はなかった。
「ふふふ……ほんと相変わらずね。厳しくもその場に必要な言葉を掛ける。そしてその後、直ぐ消える。つくづく相変わらずなんだから……」
悩みが晴れたと言えば嘘になる。
だけど大切な何かを彼に気付かせて貰った気がする。
それが何かわかららない。
でも、少しだけ勇気が湧いて来た気がした。
本当にありがとうダーク。
昔も貴方の言葉に助けられた気がするわ。
普段は人とあまり関わらず孤立し、金の為にしか動かない人だけど、本当は凄く優しい人。
・・・・・・・・
「ただいま」
子供達と合流した私は家に帰って来ていた。
「「「「「おかえり」」」」」
お留守番をしていた子供達が出迎えてくれる。
「お帰り」
と隣に住むディールも出迎えてくれる。
買い出しの間、残りの子供達を見て貰っていたのだ。
「お帰りなさい」
とディールの妻であるカタリーヌが続く。
「バブバブ~」
そしい最後にカタリーヌの腕に抱かれたディールとの子供も声を掛けてくれた。
そして私と買い出しに出た子供達が家に入ろうとすると……。
ドーンっ!ドーンっ!
激しい地響きは鳴り響いた。
怖れていた事が起きた。
遂にこの家に魔物の群れは押し寄せて来たのだ。
「みんな家の中に。ディール!子供達をお願い!」
と私は叫んだ。
「わかった」
ディールは答えると家に入り、カタリーヌがそれに続く。
一人になった私は魔物と対峙した。
でも、一体今の私に何ができるのだろうか……?
やはり迷いがある。
【お前、あの時何故ファルコンに乗った?一度躊躇っただろ?何故だ?それを思い出せ!】
私の頭にダークの言葉がよぎる。
「守り…たい…から。皆を守りたいから!」
そう私が忘れていたのは、この想いだ。
精霊の力がなくなってからなんかではない。
私はこの想いを忘れていたから戦う事を躊躇ってしまったんだ。
そう表面的には守りたいと思っていても、心のそこでは怖かった。
だから……そう…だから……。
「だから、私は戦うっ!!」
気合いをこめて力強く発すると私はダークに貰った短剣を抜いた。
そして一気に魔物に突っ込む。
「ハァァァ……ダァッ!」
プシューンっ!
次の瞬間、魔物を斬り裂いていた。
できる……やれる。
「次っ!」
だから再び気合いこめ、次の魔物に立ち向かう。
そう私が皆を守るんだ。
私のこの力で……!




