O10 ムサシ バッドエンド
「さてクロード城に着いたけどおかしくない?」
門兵がいない。
それどころか近くに人の気配がない。
「門兵どころか城はもぬけの殻だな」
気配はないと思ったが、武にはそこまで断言できるのか。
いまいちまだ気配というものが掴めない。
記憶があった頃はここまでわかったのだろうか……。
「都合が良い。城を探索しようぜ。ムサシって奴がいないにしても手掛かりくらいあるだろう」
武にそう言われ俺達は城に入った。
俺は上を武は下を調べるという事で俺は階段を昇って行った。
部屋らしきものが沢山あるな……。
しかも1つ1つが広い。
なのに使われていない。
王族の部屋だが、まだ王族が少ないのだろうか?
そして一番奥、一番広い。
王の部屋かな?
ここ普通は警備の人いると思うんだけどな。
いやそれ以前にここまで来るのに人に全然会わなかった。
武の言う通りもぬけの殻だ。
ドッゴ~ンっ!!
何だ?
物凄い音ともに振動が来た。
その刹那、俺の真横で下から銀竜のようなものが地面を壊し立ち昇る。
その銀竜は俺の真横まで来ると消えてしまう。
そして俺は空いた地面から下を覗く。
「お~い! 治ー!」
「なっ!!」
開いた口が塞がらない。
こいつ何やってるんだ?
いくらもぬけの殻でも城を破壊するなよ
武の奴、銀竜みたいのを出して地下から俺のとこまで真っ直ぐ天井を壊しやがった。
「そこから降りられるか?」
武が叫んでる。
いやショートカットはできるけどさ。
ほんと何してるんだか。
そう思いつつ俺は下に飛び降りた。
そして気付いた。
上3F、下2F、合計5F分。城は屋根までが長い。
4mと考えて20mあるぞ
落ちながらそんな計算をしていた。
ダメだなこれ。
「ぐぎゃ~」
声にならない声を上げた。
『リカバリー』
初級回復魔法じゃ大して治らない程、足が複雑骨折してやがる。
マジいて~。
『ハイ・リカバリー』
し~~ん。
くそ!
中級はやっぱ無理だ。
「何やってんだか~」
武が呆れている。
「っ~~……誰のせいだ!」
「はいはい……『アプライ』」
武が何かの魔法を唱えてみるみる回復した。
たぶん中級クラスだ。
すげ~な。
「お前さ、気を足に集中させて降りて来いよ」
気? ドラゴン〇ールですか?
はっ! この気は!? 〇ジータだ。
って奴をやれって?
「うん? 気……闘気知らない? いや忘れているのか」
闘気? 闘志という精神的なものを力にするという精神論?
「じゃあそれ斬ってみて」
武がどんどん話を進める。
説明しろよ。
そこで気付いたがここは武器庫か。
そして武が指したのは飾られた鎧。
「斬れるかこんなもん」
「かもね。でもやってみなければわからんだろ?」
ったく何なんだよ?
言われた通り俺は剣を構えた。
「はっ!」
ギーンっ!
「っー!」
手が痺れた。
やっぱ斬れないし。
「じゃあ今度は体の中の気を……エネルギーを感じて手、そして剣に集中させてやってみて」
「はぁ!? 意味わかんねぇよ」
「良いから構えて、目を瞑り意識を体の中に向けて。エネルギーを感じようとしろ」
はいはい。
俺は言われた通りにした。
うん? 確かに体の中にエネルギーの流れを感じるな。
これを手に、剣に集中させるのか。
あ、何か手に集まってる。
「はっ!」
再び剣を振った。
スッパーンっ!
あ、鎧が斬れた。
「気とは言わば体内エネルギー。それを感じ操るにはセンスや長い修行が必要なんだ」
気とか修行とかやっぱドラゴン〇ールやんけ。
「記憶を無くしたとは言え、一度気を操れるようになったんだ。直ぐに使えるようになると思ったよ。まぁ記憶を失う以前と全く同じとはいかないだろうがな」
「お前、俺が記憶を失う前、気を操ってたって知ってたのか?」
「知らんよ」
「は!?」
じゃあ何でわかるんだよ。
「それは俺の気、相手の気の質とか量とかを感じ取れるから」
「気って便利だな」
つうか相手の質と量がわかるってやっぱドラゴン〇ールやんけ。
「便利だけど、俺の場合はそういう修行をしたから。普通は相手の質とか量とかわからない」
「そうなのか」
「でだ、あれくらいの高さくらい足に気を集中させれば無傷だよ。お前の気の量なら」
「先に教えろよ」
無駄に怪我したじゃんかよ。
つうか複雑骨折。
マジ痛かった。
「いや無理ならロープくらい勝手垂らすと思ってたし」
「うっ!」
返す言葉がない。
まぁ気……闘気の事を教えて貰ったし良しとするか。
「で、ここに何かあるのか?」
誤魔化すように話題を変える。
「ここを見ろ」
指差されたとこを見たが、ただの床だ。
「床?」
「隠し通路がある。仕掛けを探すのは面倒だから壊す」
そう言って床を素手で殴り破壊。
その先に通路があった。
「何でわかった?」
「これも気の応用だ。さぁ行くぞ」
また気か。
ドラゴン〇ールっぽいから気という言葉は使いたくないから闘気にしよう
闘気って便利だな。
そしてその通路の先に人がいた。
その者は椅子に縛られ血だらけだ。
彼がムサシなのか?
「おい! 大丈夫か?」
「ヘンジガナイ、タダノシカバネノヨウダ」
俺が声をかけると横で、武がドラ〇エちっくな事を言ってる。
つうか屍?
もっと近くに寄りマジマジと見た。
「うっ! おぇぇぇ~」
そして目をそらし胃の中のものを吐き出した。
「無残だな」
武は平然と呟く。
「爪を全部剥がされ、歯を全部抜かれ、皮膚も剥がされ……」
「説明するな……おぇぇぇ~」
しかも部屋中に拷問器具らしきものが散乱している。
それが余計気持ち悪くて仕方ない。
胃の中身がなくなる程、吐き出しそうだ。
「記憶を無くしてるなら早々に慣れておけ。異世界によってはグロいものを何度も見ないといけないのだぞ」
「わかってはいるんだがな……記憶を失う前の俺は平気だったのだろうか……」
「まぁお前の気の量を考えてかなり殺しまくってると思うけどな」
「うえ~」
俺が殺しまくってるのか。
想像したくないな。
「にしても目的はわからないが散々拷問した挙句、あのゾウにビビって、これを放置してさっさと逃げたって事かな? 腐った連中だ。皆殺しにしてやりたいな」
良く平気で、そんな事言えるな。
それだけ武は過酷な世界で生きて来たのかな?
「ん? 今回は俺じゃなかったな」
と今度は意味深な事言い出した。
何の話か聞こうとしたら、視界が暗転。
見慣れたベッドの上にいた。
あ~またタイムリープしたか。
日数は、1週目14日、2週目8日、3週目11日。
条件は日数ではないな、たぶん
なら昔の仲間が死んだ場合。
でもエリスの死体は確認していない。
だがこれが一番可能性がありそうだ。
となるとエーコは誰かと一緒にいれば問題ない。
エリスは救援に行けば問題ない。
エドワード国王はどうなんだろ? 戦争に誰かが介入しないとダメかもしれない。
そしてムサシ。彼も救援に行かないと。
となると動けるのは俺とエーコ。
エリス、エドワード国王、ムサシの3人の救援があるがどうする?
エドは情報だけ流して西の守りを固くして貰う?
それでダメならアウトじゃねぇか。
ダメだ! 八方塞がりに近い……。




