M1 ムサシ=ガーランド
拙者の名はムサシ=ガーランドでござる。
三年前、ラフラカの攻撃を受け、妻と子を亡くし、エド城は崩落し、拙者だけが生きなら得たでござる。
だが去年の精霊大戦後に各国から人々が集まり、見事一年でエド城が復興したでござる。
しかもエド城最後の生き残りだったという理由で、拙者は町を自由に作らせて頂いたでござる。
そこで木造の長屋が並ぶ城下町にしたのは良いが、時代錯誤だと非難の声が上がったでござるが、拙者は素晴らしい街並みになったと思うでござる。
そして城では他国の王族が国王となり、拙者はその者に生涯仕える事になったでござる。
ただ困った事に町の復興の際に腰を痛めてしまったでござる。
拙者の友であるガッシュ殿と約束したでござる。
城が復興したら招待すると……。
だがガッシュ殿が暮らすのは大陸中の魔物が集まるサバンナと呼ばれる無法地帯でござる。
腰を痛めた拙者では、もうそんな場所に行くのは厳しいでござる。
かと言って侍長殿の実力ではサバンナでは通用しないでござる。
其処で国王が傭兵を雇うと言ってくださったでござる。
良き主に恵まれたでござる。
しかし志願する者は皆、侍長殿に敵わないでござる。
それでは全く話にならないでござる。
最低限侍長殿に勝てる者ではないとサバンナでは通用しないでござるからな。
そして、ある日の事でござる。
「志願者が一名来られました」
いつものように衛兵が報告に来たでござる。
「ご苦労でござる。下がって良いでござるよ」
「はっ!」
そして今回の志願者でござるが……。
今までの者と違う気迫がある灰色髪の男でござる。
どこか懐かしさを感じるものがあるでござる。
「さて傭兵をやって貰うにはそれなりの実力がなければ困るでござる」
いつもの決まり文句でござる。
「……何をしろと?」
灰色髪の男が訊いてきたでござる。
「話が早いでござるな。簡単な事でござるよ。ここにいる侍長殿を倒す事でござる」
「その名は止めてください。私は騎士隊長です」
侍長のが良いと思うのでござるが……。
「……わかった」
灰色髪の男が構えたでござる。
「気が早い奴だな。名は何と申す?」
と侍長殿でござる。
「……アークだ」
「そうか」
侍長殿も構えたでござる。
「始めっ!でござる」
拙者が開始の合図をしたでござる。
「おおおおお・・・・・」
侍長殿が槍を突き出し、アーク殿に突っ込んだでござす。
シュっ!
「な、何?消えただ、と?」
消えたのではないのでござる。
常人には見えない速さで動いたのでござるよ。
「続けるか?」
勝負は一瞬だったでござる。
アーク殿が姿を現した時には侍長殿の後ろに回り込み小太刀を侍長殿の首元に当ててたでござる。
この気迫とこの動きは、ダーク殿でござるな。
「うっ…俺の負けだ」
侍長殿が槍を降ろしたでございる。
それに合わせアーク殿・・・・・いやダーク殿も小太刀を降ろしたでござる。
「なかなかやるでござるなアーク殿……いやこの場合、流石はダーク殿と言うべきでござるな」
「……何の話だ?」
「寂しい事言うでござるな。共に戦った仲間でござろう?」
「ガーランドさんお知り合いだったのですか?」
と侍長殿。
「今、言った通り共に戦った仲間でござるよ」
「で、傭兵を雇うと言う事は、何処かに攻め込むのか?」
とダーク殿が話を進めて来たござる。
彼がダーク殿だと肯定せぬのは寂しいでござるな。
「違うでござるよ。サバンナからガッシュ殿を連れて来て欲しいのでござる」
そうそれが目的でござる。
ダーク殿と同じく昔共に戦った仲間であり友でござる。
「それくらいならお前の実力で問題無いだろ?」
ダーク殿だと肯定しなかったでござるのに、あたかも拙者の知り合いと言わんばかりのこの言葉は嬉しく思うでござる。
「実は拙者、エドの復興作業で腰を壊したでござる。なんとも情けないでござるが」
「そうか。で、いくらだ」
「4000Gでどうでござるか?」
本当は3000Gでござるが昔の仲間のよしみでオマケでござる。
「良いだろう……で、何故奴を連れてくるのだ?」
「エド城が復興したら食事に招待すると約束いたでのでござるよ」
「そうか……じゃ行ってくる」
とダークが踵を返す。
「待つでござる」
「ん?」
「これでチキンを買って行くと良いでござる。ガッシュ殿なら匂いであっちから寄ってくるでござろうから」
そう言ってダーク殿にチキン代の200Gを渡した。




