95話 紫ちゃんですが脈ありでしょうか?
俺は、紫ちゃんに連れられワタポンの家に入り、階段を登って紫ちゃんの部屋に案内された。
紫ちゃんの部屋に入ると、ぬいぐるみやお洒落な収納など飾ってあっていかにも女の子らしい部屋だった。
「綺麗に整理してあるね、俺の部屋とは大違いだなぁ」
「いえいえ、そんな事ないです、あっここにどうぞ!」
紫ちゃんは、クローゼットの中から綺麗な座布団を出して、床に敷いてくれた。
俺は、遠慮なく座布団に座った。
「じゃあ勉強しますか、それともゲームするか?」
「ではゲームで!」
「おっ、さっすが〜よしやるか!」
すると、携帯の通知音が鳴った。
携帯を見ると、LINEの通知でワタポンから
『遊ぶのはちゃんと勉強してからにしろよ』
と書かれていた。
「LINEでワタポンから忠告されたから、先に勉強しますか」
「流石おじさん、抜け目ないです……」
「まぁ気にすんな、1、2時間やったら終わるからな」
「はい!頑張ります!」
紫ちゃんは、筆箱と問題集、ノートを取り出して、テーブルの上に置いていく。
ブラウンの柔らかい皮製の筆箱から、シャーペンを取り出して勉強を始める。
俺は、隣で彼女を眺めながらゆっくりしていた。
勉強を教えるって言っても、紫ちゃんは勉強が結構出来る方なので、そこまで教えることもないんだよな。
だけど、ここにくると大抵頼まれるんだよな、なんでだろ?
「そういえば、卯月さん」
「ん?なんだ?」
「今日は、なんの用事で来られたんですか?」
「自転車がパンクしちゃってな、ワタポンに見てもらってるんだ」
「パンクですか……なにかあったんですか?」
「2人乗りしてたら事故っちゃってパンクしたんだよ」
「2人乗り……ですか……それってもしかして、女の子とですか?」
「そうだよ」
「あははっ〜そんな訳無いですよね……えっ?」
「ん?」
「……女の子と2人乗りしたんですか?」
「うん、したけど」
俺がそう返すと、紫ちゃんは頭を強くテーブルに打ち付けた。
「え?ちょ、大丈夫?」
「そ、そそそそれは!か、彼女さんですか!」
「いや、友達だけど」
「あははっ……そ、そうですよね、2人乗りするぐらいなんだから彼女さんですよね……え?」
「ん?」
「……彼女さんと2人乗りしたんじゃ?」
「いや、友達だよ」
すると、紫ちゃんはむくりと起き上がり、突然に元気になった。
「あははっ!!そうなんですね!友達さんなんですね!ああ、良かったぁ……」
「う、うん、そうだけど」
何が良かったんだろう?
よくわかんないけど、まぁいっか。
そんな感じで、何気ない会話を交わしながら、勉強は進んでいった。
そして、気がつくともうすっかり夕方になっていた。
「結構、勉強ばかりさせてごめんな」
「いえいえ、卯月さんが話相手になってくれるので、すっごく勉強が捗りました!」
「そうか?それなら良かったけど」
「はい!ありがとうございました!」
すると、LINEの通知音が携帯から鳴った。
また、ワタポンからかな?
そう思ってLINEを開いた。
その瞬間、俺は頭を思いっきりテーブルに打ち付けた。
「え!?卯月さん!大丈夫ですか!?」
「う、うん、大丈夫だよ」
そのLINEにはこう書いてあった。
『逃亡者の蓮華へ、紫陽花の可愛いメイド姿を見られなくて残念だったな卑怯者』
俺は、それを目にして心の中でただ叫んだ。




