92話 メイド服ですが脈ありでしょうか?
おいら達は、流れのまま神奈月先生の部屋に通されたでやんす。
部屋は、綺麗に整理してあってなんか甘い香りがするでやんす。
「ほうほう、楓ちゃん……ふふっ」
「……何笑ってるのよ?」
「べっつにぃ〜?楓ちゃんの魅力にまた一つ気づいただけだよぉ〜」
「ウザっ」
「シンプルな悪口!」
「まぁいいわ、2人とも適当な場所に座ってて、お茶用意してくるわ」
神奈月先生は、そう言って部屋を出たでやんす。
ああ……とうとう入ってしまったでやんす。
しかも、女子の部屋にでやんすよ! なんかいい香りがするし、変に意識してしまうでやんす。
「……小金井君、座らないの?」
「お、おいらは、立ったままでいいでやんす」
「仕方ないなぁ〜えい」
「ほあっ!ちょちょ!!」
紫陽花殿は、一瞬でおいらの後ろに回ったでやんす。
そして、おいらを膝カックンで無理矢理座らされたでやんす。
本当に一緒の出来事で、全く抵抗もなにも出来なかったでやんす。
「へいへい、立ったまんまじゃ私がいじめてるみたいじゃん!もっと気楽でいいんだよ〜」
「そ、それは……そうでやんすね、ごめんなさいでやんす」
「そういえば今日、メイド服持ってきた?」
「持ってきたでやんすよ、まだ1着しか出来てないでやんすが……」
「1着でもすごいよ!私は、ハンカチすら作れる自信がないもん!見せて見せて!」
「分かったでやんす」
おいらは、持ってきた紙袋から自分で作ったメイド服を取り出したでやんす。
メイド服は、王道の白と黒の物を作ったでやんす。胸元の大きい白いリボンがこだわりのポイントでやんす。
「おおっ〜!!可愛い!!」
「凄い完成度ね、はいお茶」
「ありがと、楓ちゃん」
「ああ、ありがたいでやんす」
神奈月先生が、お茶を置いてくれたでやんす。
2人は、おいらの作ったメイド服を見ながら、話を進めていくでやんす。
「これをあいつらに着せれると思うと、ワクワクするね!」
「非常に楽しみだわ、でもこのサイズ、少し小さいわね」
「それは、かいちょ……いや蓮華君に言われたサイズで作ったでやんす」
「どれくらいのサイズ?」
「えっと確か、これくらいだったと思うでやんす」
おいらは、サイズをメモに書いて神奈月先生に見せたでやんす。
「これって……紫陽花のサイズじゃない?」
「えっ?まさかそんな……まじだ、なんで蓮華が私のサイズ知ってるのさ!」
「私が、教えました」
「向日葵っ!いつの間!」
「さっきお茶注いだ時に、来てたからね」
「驚かそうと思って、隠れてました、というわけで紫陽花さん、着てみてください!」
「なんでそうなるの!」
「そうね、どんな感じか着てみないとわからないしね、紫陽花着なさい」
「楓ちゃんまで!2人とも私で着せたいだけじゃん!」
「そうです」
「そうね」
「ストレートに来やがった……」
そんな感じで、現在に至る訳でやんす。
こんな女性トークの空気に、おいらは耐えられないでやんすよぉ!
誰か助けてぇぇ!!