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81話 約束ですが脈ありでしょうか?

 

 ー4年前、告白の返事ー


「......私は、貴方が好きです」


 火が出そうな程、顔が熱くなっていく。

 告白なんて自分がするとは思ってもいなかった。

 そういう色恋沙汰と、縁なんて無いと思っていた。

 でも、恋をするってこういう事なんだと思う。理屈や固定概念なんてどうでもいいと思える位、その人を好きになるって事なんだろう。

 返事を待つ時間。

 ドクドクと早くなる鼓動が、まるで時計の音の様に時間の経過を知らせる。


「ま、まじか……それって」

「うん、私と……付き合って欲しいの」


 言っちゃったぁぁぁ!!

 よく小説やドラマで胸が張り裂けそうとか言うけど、そんなレベルじゃないわ!

 恥ずかしくて、恥ずかしくて、今すぐにもこの場所から逃げ出したい!

 お、落ち着け。

 もう答えは、大体予想できている。

 覚悟も決めている。

 私は、それを受け止めるだけ。


「……すまん」


 私の肩が、すっと軽くなった。

 代わりに目頭が熱くなる。

 油断すれば、涙を塞き止めれなくなりそうな程に。

 分かってはいた。

 こんなデブで、見た目もパッとしない女から好きだと言われても迷惑でしょう。

 でも私は、今ここで言わなければいけない気がした。ここで言わなければ、一生告白出来ない気がしたから。

 泣くな、泣くな、泣くな、私は悔いのない行動が出来たはず。


「返事は、しばらく待ってくれないか?」


 さっきのが、返事じゃなかったの?

 そんな疑問が、頭の中を駆け巡る。

 桔梗君は、そのまま話を続ける。


「俺は、不良だし、素行も良いもんじゃない、先生達からも厄介者扱いされてる、そんな俺が優等生のマシュマロちゃんと付き合ったら、マシュマロちゃんの進学やいろんな面で迷惑をかける」


「そんな事気にしないよ!」

「ははっ、そう言ってくれるとありがたいが、そういう訳にもいかねぇ、もしかすればマシュマロちゃんを、俺の喧嘩に巻き込んでしまう可能性だってあるんだ」

「そ……それは」

「だから、しばらく待ってくれないか、流石に今すぐ変わるのは難しいと思うからな」

「……うん」

「ありがとう、はぁ〜まずは勉強しなきゃなあ、マシュマロちゃんはどこ受けんの?」

「……一応、大高の普通科を受けようと思ってるわ」

「よし、じゃあ俺もそこに行く」

「……大丈夫?」

「おう、だから教えてくれ!俺の高校デビューは、お前にかかっている!」

「……分かった、じゃあ告白の返事は、高校に入ってから聞かせてくれる?」

「勿論!」

「ふふっ、ありがと」


 保健室に、学校の予鈴が鳴り響く。


「うわっ、やべぇ今から頑張るって言ったのにいきなり授業に遅れるのはまずい!」


 桔梗君は、慌てて支度を整え保健室を出ようとする。もう少し話をしたい気持ちもあったが、仕方ない。

 勢いよく保健室の引き戸を開ける桔梗君は、一歩踏み出して、止まりこちらを振り向いた。


「マシュマロちゃん、またな!」


 彼は、笑顔でそう言って走り出した。


「こらっ!廊下を走るんじゃあない!!」


「げっ、すみません!!」


 遠くなって桔梗君の怒られてる声だけが聞こえる。桔梗君にとって幸先の悪いスタートになってしまった。でも、彼はその程度で諦める人では無い。


「私も頑張ろう、まずは運動を始めようかな」



 ーーーーー


「おお、噂をすれば眠り姫がお目覚めだね!」

「んっー、はぁーよく寝たわ」


 目を覚ますと、そこは車の中だった。

 そういえば、今日は鳥栖のアウトレットに行くって車で移動してたんだった。


「そりゃ、あんな時間まで起きてたらな」

「そうだね、あんな事してたら眠気なんてぶっ飛んじゃうもんね!」


 紫陽花が、ニヤニヤとムカつく顔でこちらを見ている。


「そうね、未だに空回りに空回りを重ねている、何処かのお馬鹿さんよりマシだと思うけどね」

「ぐはぁ!!やめて!その言葉は私に効く!」

「じゃあ、追い討ちに貴方の秘蔵黒歴史集でも流しましょうか」

「やめて!お願い!謝りますからぁぁ!!」


 私は、泣きながら懇願する紫陽花を嘲笑う。

 まぁ、私も人の事は言えないけど。

 終わり良ければ全てよしって事でいいかな。

 次は、紫陽花達の世話をしなきゃね。

 私達が手伝わないと、一生出来なさそうだしね。

 そんな事を考えながら、私達の夏は過ぎていくのだった。


矛盾している所があったので修正しました!

すみません!

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