65話 カウンターですが脈ありでしょうか?
10分程歩くと、旅館が見えてきた。
屋根が瓦屋根で木造の二階建て旅館だった。
旅館に入り、受付を済ませて自分達の部屋に入った。
部屋は、12畳くらいで真ん中にテーブルが置いてあった。
テーブルの正面に、小さいテレビやなんて書いてるかわからない掛け軸など飾ってあった。
部屋の窓から海の絶景が見渡せる。
荷物を置いて、早速海に行く為に水着に着替える事にした。
「という訳で、着替えるから男どもは海で待ってて」
「へいへい」
「分かった、俺の事は気にしないで!」
「いいからさっさと出てけ!」
私は、蓮華を蹴り飛ばし部屋から追い出した。
「さぁて、着替えますか」
「そうですね!でもちょっと恥ずかしいですね」
「そうね、私も水着ってあんまり着ないから抵抗があるわ」
「まぁまぁ、慣れたら大丈夫だよ!さてさて、私の水着はどこかな?」
私は、自分のバッグをガサゴソと探した。
あれ?確かに水着を入れたはずんだけどなぁ?
見つけきれなかったので、バッグを全部出して探すと、ありえないものが入っていた。
私の持ってきた水着は、白と黒チェックのタンキニだったはずなんだ。
それに合わせようと、白いTシャツも持ってきているし。
なのになんで、際どい水着が入っているんだ!
私の驚いた顔を見て、楓ちゃんが笑っていた。
「……楓ちゃん、これは何?」
「私からのプレゼントよ」
「こんな……こんな際どいの恥ずかしいよ!」
「大丈夫よ、慣れたらね?」
「慣れないよ!このワンピースを着るのに覚悟を決めるのも3時間かかったっていうのに!」
「観念しなさい、貴方の水着はそれよ」
「……まじかぁ」
「向日葵ちゃん、さっさと着替えましょうかね」
「そ、そうですね、紫陽花さん、大丈夫です、絶対似合います!」
「……頑張る」
「はい!一緒に頑張りましょう!」
向日葵が、笑顔で励ましてくれた。
ああ、可愛い。
その横で、楓ちゃんの嫌な笑顔が一瞬で消えていた。
楓ちゃんは、目を丸くしてこっちを見た。
「……紫陽花、これは?」
「……ふっふっふ!私からのプレゼントだよ!」
楓ちゃんは、膝から崩れ落ちた。
まさか、自分がやられてるとは思ってなかったようだね!
「私もやられてばかりじゃないよ」
「なんてことを……」
「別にいいじゃん、楓ちゃんのプレゼントより、露出は少ないんだし」
「でも……なんかこれ……ねぇ?」
「大丈夫!慣れるさ!」
「……慣れたくないわ」
「ふ、ファイトです!」
「……そうね、まさか水着を着るだけでこんなに、疲れるとは思ってなかったわ」
楓ちゃんに、華麗にカウンターを決めつつ、私達は水着に着替えた。
私は、大きく深呼吸をして部屋を出た。