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61話 押し倒されましたが脈ありでしょうか?

 俺は、この状況に混乱していた。

 目の前には、俺を押し倒している向日葵さん。

 なんとも言えない表情で、ピクピクと震えている。

 至近距離で見える谷間と恐らく香水の甘い香りが、俺に正常な判断をさせてくれない。


「え?っえ?あっちょ?ど、どういう事すっか?」

「......」


 向日葵さんは、何も答えない。

 一体何がどうなったって言うんだ!


「はぁ......はぁ......もう......だめぇ」

「向日葵さん!」


 向日葵さんは、俺の胸にぼふっと崩れて落ちた。


「あああああああ!!」


 向日葵さんは、その瞬間声にならないような叫び声を上げる。

 彼女は、俺の胸の中でのたうちまわる。


「向日葵さん!落ち着いて!」

「は......はい」

「向日葵さん、大丈夫ですが?」

「な、なんとか大丈夫です、風鈴君、すみませんが......あまり動かないでください」

「......分かりました、とりあえず状況を説明してもらってもいいっすか?」

「は、はい」


 向日葵さんの話を聞くと、どうやら映画が過激なシーンで思わず目を伏せよう体を動かした。

 その時、長い間動いて無かったこともあって太ももが痺れて、バランスを崩した。

 そして、俺に押し倒している形になってしまったという訳である。


「そ、そういう訳で......お願いがあるんですがいいでしょうか?」

「......なんですか?」

「私の太ももを......叩いてくれませんか?」

「......」


 ......まじかよ。

 俺の胸の中で、目を潤ませて太ももを叩いてと年上の女性がお願いしている。

 どんなプレイだよ!

 これは、やっていいのだろうか?

 いやいや、ダメだろう!


「......流石にそれは......俺も男ですし、自分で叩けませんか?」

「......無理です、耐えるので......精一杯です」

「......そうですか」


 どうしよう。

 このままこの体勢でいるのも、それはそれで問題あるしな。

 仕方ない、覚悟を決めるしかないようだ。


「......分かりました、叩きますよ」

「お、お願い......します」


 俺は、静かに向日葵さんの太ももに拳を近づける。

 軽く拳を振って、太ももに叩きつけた。

 彼女の太ももからペチンという音が鳴る。


「ひゃあ!!」


 向日葵さんは、俺の体にしがみつきながら声を上げる。

 彼女の太ももは、驚くほどにすべすべで、まるで赤ちゃんの肌のようだった。

 さらに、しがみつく力がが強くなるほど、彼女の柔らかい感触が全身を包み込む。


「もっ......もっと、お願い......します」

「......分かりました」


 もうどうにでもなれ!

 俺は、無心で太ももを叩き続けた。

 叩く度に、彼女の甘い叫び声とすべすべの太ももの感触と潤んだ瞳の表情が、俺の五感を刺激してくる。

 時間にしたら、多分10分も経ってないと思う。

 しかし、この時間に見た向日葵さんの表情、声、感触は、一生忘れない。


「その、あの〜申し訳ございません」

「......いや、大丈夫っすよ」


 その後、彼女の太ももの痺れが取れた。

 そして、なんとも言えない空気の中、恋愛映画を見るというダブルパンチを味わう。


 しばらくして、映画を4本ほど見終わるとフリーパックの時間ギリギリになったので、俺達は受付に向かった。

 受付で会計を済ますと、店員さんに耳打ちされる。


(お兄ちゃん、うちはそういうお店じゃないから程々にね?)


 そういうお店じゃない?

 一体どういう?あっ。


「あっ、ちょそれはちがっ、失礼しました!」


 俺は、そのまま向日葵さんの手を引きネットカフェを飛び出した。

 その後、電車に乗った。

 なんとも言えない空気の中、2人とも気まずい沈黙が流れる。

 何か話さないと思いつつも、言い出しづらい。

 そんな沈黙を破ったのは、向日葵さんだった。


「風鈴さん、今日はありがとうございます、度々ご迷惑をお掛けしてすみません」

「いやいや、そんなこと無いっすよ?俺も楽しかったです!」

「そうですか!私も楽しかったです!私だけが楽しんでるんじゃないかって不安でした」


 向日葵さんは、いつも通りの笑顔に戻った。


「それで、あの......風鈴さん」

「どうしました?」

「また、特訓に付き合ってもらえますか?」


 不安そうな表情で、こっちを見る彼女。

 俺は、笑顔でこう返した。


「......喜んで」


 彼女は、真っ赤になって顔を伏せてしまった。

 あれ?なんかまずいことしちゃったか?



二万pv達成いたしました!

本当にありがとうございます!

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