59話 ネットカフェですが脈ありでしょうか?
「......あれっ、ここは?」
目を覚ますと私は、小部屋にいました。
正面には、大きいパソコンと風鈴君が見えました。
そして寝ている所は、黒いマットが敷いてあります。
「向日葵さん、大丈夫ですか?」
風鈴君が、心配そうにこっちを見ています。
その姿は、中学生の頃の蓮華様にそっくりですね。全身に鳥肌がぞぞっと立っていきます。
意識すればする程、まるで蓮華様がそこにいるように思ってしまいます。
私は、ゆっくりと深呼吸しました。
「はい、ご迷惑おかけしました」
「いえいえ、大丈夫っすよ、漫才見てましたし」
パソコンの画面には、芸人さんの漫才が映っていた。
「ここは?」
「ネットカフェっす」
「なるほど......ここがネットカフェなんですね」
「もしかして来たことないんっすか?」
「そうですね、カラオケはこの前蓮華様達と一緒に行ったんですが、ネットカフェは初めてですね」
「まじっすか?じゃあ今日は、ここでネットカフェを楽しむついでに特訓しましょう、ここなら気絶しても大丈夫っすよ!」
「は、はい!気絶しないように頑張ります!」
「まずは、何しますかね?」
「.....そうですね、恋愛映画とか借りられますか?」
「ああ、あるっすよ、俺はあんま見ないんで詳しくはないっすけど」
「そうなんですか!では、見ましょう!」
「分かりました、DVD見にいきますか」
「はい!」
私達は、小部屋の扉を開いて廊下に出た。
そこから真っ直ぐ進むと見える階段を下り、一階のフロアに来ました。
一階には、漫画本がぎっしり詰まっている本棚とDVDがぎっしり詰まっている棚がたくさん並んでいました。
「ほおぉ......すごいですね」
「そうっすか?」
「はい!なんかいっぱいありすぎて、選ぶのが大変そうですね!」
「楽しそうでなによりっす」
「そ、そうですか?」
「目がキラッキラッさせてたっすよ」
風鈴君は、そう言ってははっと笑った。
なんというか、私の方が子供みたいですね。
これはこれは、しっかりしないと。
「それではいきますか!まずは、あの赤い垂れ幕がある所に言ってみますか!」
「......向日葵さん、そこは恋愛映画のコーナーじゃないのでやめときましょう!」
「そうなんですか?」
「まぁ……そうっす!」
私は、風鈴君に手を引っ張られ連れて行かれました。
風鈴君がすごく焦った表情をしていましたが、何故でしょうか?