4話 パープル色ですが脈ありでしょうか?(2)
「ばっかじゃないの?」
昼休みにいつもの屋上で、パンを食べる楓ちゃんにそう言われた。
でもその一言に、なにも言い返せなかった。
恋人関係にはなれませんでしたが、好きな人に下着の色を教える関係になりましたなんて言われたら、そう言われるのは至極もっともな意見ですよね。
「私は、前へ進みなさいとは言ったけどおもっくそ横道に逸れてるじゃない」
「返す言葉もございません」
「なんでそんなエロ同人みたいな展開になってんのよ」
「で、でも!少しは前に進めたと思うよ!」
「……まぁいいわ、紫陽花にしては頑張った方だとは思うし」
「ありがとう楓ちゃん!」
そういって楓ちゃんに抱きつく。
楓ちゃんは、肌がぷにぷにしてて髪もさらさらで本当にお人形さんみたい。
楓ちゃんは、仏頂面でこっちを見ている。
もう中学生の頃からこんな感じだから、慣れた様子で抵抗は全くしてない。
「じゃ計画を進めていきましょうか」
楓ちゃんは、スカートのポケットからメモ帳を取り出した。
「次の目標は、手を繋いでみましょう」
「えぇー!?早くない?」
「少なくともそんな変態プレイするより簡単よ」
「変態プレイって言わないでよ!自分でもわかっちゃいるけど!」
「まぁ一応目標ね、夏休みに海とかに誘ってさりげなく繋いじゃいなさいよ」
「ん〜海かぁ、この頃太ってきたんだよね、痩せなきゃなぁ」
「その前にやる事あるでしょ?」
「え?何?」
「中間テスト」
紫陽花「あっ……あああああ!!!」
完全に忘れていた。
全くと言っていい程、何もしていない。
「楓ちゃんいや楓様、ノートを見せていただけないでしょうか!」
「嫌よ」
私は、絶望した。
勉学において小・中・高全てで楓ちゃんをアテにしていた私にとって、楓ちゃんの助けがないとはすでに赤点をとったも同然である。
「どうして!いつも見せてくれるのに!」
「いつもアテにするからよ、いい加減、自分でなんとかしなさいな」
「う〜どうしよう」
「夏休みまでまだ時間があるにせよ、中間の補習しながら期末の勉強は難しいでしょうね」
「それで、期末まで赤点取ったら……」
「あんたの夏休みは、バイトと補習だけになるわね」
「嫌だぁぁぁぁ!!」
どうしよう、頭を抱える私。
そもそも中間で補習なれば、蓮華もバイトをしてるんだし会える時間はめちゃくちゃ減ってしまう。
「今からでも頑張らなきゃ、図書室にでも籠るかな?」
「でもあんた一人でできるの?」
「……出来なさそうらやっぱり、楓ちゃん手伝ってくれない?」
「嫌よ」
やっぱりそうですよね〜。
はぁ今まで頼りっぱなしのツケがまわったかな。
「でも私以外にもいるでしょ?勉強が出来て、ノートもちゃんととってそうなあんたの友達が」
ニヤッと笑う楓ちゃん。
そんな人いたっけ?
私の友達で楓ちゃんくらい勉強が出来て、ノートもとってそうな人。
……まさか。
「そういうこと?」
「やっと気付いたかしら、じゃあ頑張ってね」
そういう事か。
だから、楓ちゃんは断ったのか。
でもただ教えてもらうのも申し訳ないよね。
まぁ、頑張るって決めたしやるっきゃないよね。
私は、そう決意を固めるのだった。