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38話 特訓ですが脈ありでしょうか?


 ようやく期末テストが終わり、カラオケに全員で来ました。いろんなことがあった勉強会のおかげで、桔梗君も紫陽花さんも赤点を回避して、なおかつ好成績を出していました。

 私もなんとか全教科100点をとれて安心しました。

 しかし、私の問題はそこではありません。

 私には、たった今とても大きい問題があるのです。

 それは、蓮華様に近づけないことです。

 蓮華様の事は、中学の頃から大好きでその気持ちは変わらないはずなのですが。

 あの事件以降、まともに顔を見る事も緊張して恥ずかしくなって出来なくなってしまいました。

 楓さんが、気を聞かせて膝枕でスキンシップを取らせてもらったのに関わらず、この謎の緊張でチャンスをものに出来ませんでした。

 早く治して、蓮華様とまた腕を組んでどこかにデートしたり、おんぶしてもらったり、手を繋いだり......


「おーい、向日葵どうした?」

「はっ!すみません、ぼーっとしてましたわ」

「次は、向日葵の番だぞ」


 蓮華様は、歌ったマイクを私に手渡しました。

 カラオケは、初めてですが歌には自信があります!ここは、ビシッと決めなくては。


「ほほう、上手いねぇ」

「結構カッコいい声を出すのね」


 よし!いい感じで歌えてますわ。

 あれ?でも、よくよく考えてみたらこのマイクって、先程蓮華様が歌われたものよね。

 これは、ある意味間接キスなのでは?

 いやいや、皆さんも使っていますし、そんな事考えてもキリがないですわ。


「あれ?なんか声変わった?」

「声が弱々しくなってきたな」


 でも、蓮華様が使われた直後のマイクですよね。

 これは、間接キスと言えるのでは?

 駄目ですわ、一回考えたら止まらなくなっちゃいますわ。

 私は、またこの緊張に襲われ、倒れてしまった。


「向日葵!大丈夫か!」

「凄く体が熱いよ、熱でもあるんじゃ?」

「ちょっと、涼ませてくるわ」

「え?でも熱かもしれないんじゃ?」

「その時は、病院につれてくから、私に任せて」

「お、おう、わかった」


 私は、楓さんと部屋から出て、中央の広場にあるベンチに座った。

 楓さんは、冷たいジュースを注いで来てくれた。


「少しは落ち着いた?」

「はい、ありがとうございます」

「しかし、あんなに積極的な貴方が、こんな風になっちゃうなんてね」

「そうですね、蓮華様への気持ちは変わっていない筈なのですが、こう、何というか、あの時から蓮華様を見るたびに、鼓動が速くなって、上手く喋れなくなってしまうんです」

「惚れ直したって事かな」

「多分......そうだと思います」

「この前の膝枕も、真っ赤っかになってたね」

「頑張ったんですが、耐えきれませんでした」

「じゃあちょっと、荒療治するきゃないね」

「荒療治ですか?」

「そ、だってこれから夏休みでしょ?そんな調子じゃ、水着姿なんて見せられないよ?」

「水着......姿ですか」


 再び、体温が急激に高くなります。

 その事を考えるだけで、この緊張に耐えれなくなりそうになります。


「という訳で、海で可愛い水着を蓮華君に見てもらえるように、またちょっと頑張ろっか」

「はい!」

「じゃあ、向日葵ちゃんの特訓に必要な人を呼んでくるね」

「必要な人?」


 楓さんは、再びカラオケボックスに戻ってしばらくして戻ってきました。


「連れてきたよ」


 蓮華様を連れて。

 ってええええええ!!!なんで!!!


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