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35話 涼しいですが脈ありでしょうか?


 うらやまけしからん。

 あの2人の膝枕姿を見て、私はその感情に全身を支配された。緊張で真っ赤になった向日葵ちゃん。

 絶対良からぬを考えている蓮華。

 あの幸せな空間に私も入りたい! 向日葵ちゃんに膝枕してもらいたい! 蓮華に膝枕したい!

 その感情が、欲求が、今この問題に立ち向かう勇気をくれる。

 この勢いで、勉強し続けた結果何が起こったかというと、寝坊である。

 私が、机からむくりと起きて時計を見るとそこには、くっきりと10時という残酷な現実があった。

 私は、深呼吸をする。

 やばい、これはやばたにえん。

 急いで準備をして、学校に向かう。


 大急ぎで学校に着いて、担任に頭を下げまくってなんとか許してもらえた。

 はぁ〜初日から張り切り過ぎたなぁ。

 寝ぼけ眼を擦りながら教室に入る。


「お寝坊さんが、ようやくきたわ」

「おっす、大丈夫か、心配したぞ?」

「全く問題ないよ!ただ勉強のし過ぎで寝落ちしちゃった!」

「そりゃよかった、っていうか紫陽花が、勉強のし過ぎってやばいな今日は何かが起こるぞ!」

「本当ね、確実に台風以上の非常事態が起きるでしょうね」

「酷いな!そんな事ないよ!」


 全く、人をなんだと思ってるんだよ!

 まぁいいや、そういえば今日は、心なしか涼しいなぁ。もう夏だから、こういう日が続いてくれると嬉しいな。



 放課後、ほぼほぼ昨日と同じスケジュールで進行していた。小テストでは、2人とも赤点を回避し、私が勝利を収めた。

 私は、なんでも券を手に取り、ガッツポーズをした。桔梗も70点と中々の好成績だったが、努力の甲斐あって80点を取ることができた。


「これで、向日葵ちゃんの膝枕をゲットしたよ!」

「え!?それが目的だったんですか?」

「勿論だよ!あんなうらやまけしからん姿を見せられたら、私もやりたいに決まってるじゃん!という訳で、早速使うよ!」


 また、机を動かして場所を作り、そこに敷物を敷く。向日葵が、正座をして太ももをぽんぽんと叩く。


「どうぞ〜」


 迎えてくれる向日葵に甘えて、思いっきり太ももに顔面を埋める。

 ぶわっと甘い匂いが、私の顔を包み込む。

 その後に、ぷにぷにの太ももを味わう。


「ぐへへへへ」

「よだれ出てるわよ」

「おおっと失礼」

「顔が蕩けてますね、ついでに頭も撫でてあげますね」


 向日葵の小さい手が、私の髪を撫でていく。

 頭を撫でられるのなんて、いつぶりだろう幸せだなぁ。明日も頑張ろう。


「じゃあ、次は私の番ね」

「楓ちゃんも、なんでも券で膝枕してもらうの?」

「いや、今日は紫陽花と蓮華君で違うポーズをとってもらうわ」

「ちがうポーズ?」

「蓮華君、ここにあぐらで座って」

「わかった」

「そして紫陽花、蓮華君のあぐらに腰掛けて座って」

「了解」


 座った瞬間、違和感がした。

 なんか、お尻に蓮華のズボンの感触がめちゃくちゃリアルに感じる。


「そして、紫陽花に腕を回して軽く抱きしめる感じで」


 言われるがまま座ったけど、なんだこの恋人みたいなポーズは!

 めっちゃくちゃ恥ずかしいよ!

 蓮華の顔が近いから、蓮華の息つがいとかも聞こえてきて、意識してしまう。


「楓ちゃん?これはなんなの?」

「休日のおうちデートで、ゲームをするカップルのモデルが欲しくてね、そのままじっとしてて」

「なにその具体的過ぎるシチュエーションは!」


 言われるがままじっとしていると、蓮華が私の耳に囁いた。


(そういや、今日のあれって聞いてないよな?)

(あれ?)

(ほらあの下着のやつ)

(ああ、あれね、今日はね……)


 待てよ。

 私は、考える。

 今日なにを着てきたかを。

 めちゃくちゃ急いでて、昨日の下着のままだ。

 昨日の下着。

 確か、勉強してて熱くなって脱いじゃって……。

 やばい、やばい!

 やってしまったぁ!

 私は、やってしまった事実を目の前に、思考が止まってしまった。


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