34話 膝枕ですが脈ありでしょうか?
「早速、これを使おうかしら」
神奈月さんは、なんでも券を指でつまみ、ひらひらと動かしている。
「じゃあ、向日葵ちゃんと蓮華君にとあるポーズをしてもらいます」
「とあるポーズ?」
神奈月さんは、机を動かして、そこに敷物を敷く。
「向日葵ちゃん、正座でここに座って」
「はっはい!」
向日葵が、敷物の上に正座する。
やっぱりこう見ると、向日葵ってお嬢様だな。
なんというか、絵になるというか。
「じゃあ蓮華君、向日葵ちゃんの膝に頭を置いて寝そべって」
「ほいほい、......ってそれって!」
俺は、イメージした。
つまり、膝枕ということか。
喉がゴクリと音を立てる。
向日葵も驚いた表情でおどおどとしている。
「そりゃ私が勝ったんだから、いいよね?」
「ぐぬぬ……向日葵がいいのならいいけど」
向日葵は、目を閉じてグッと力を入れている。
そして、両手をプルプルと震わせながらこっちにむける。
「……どうぞ」
なんだと!
向日葵から了承が出るとは。
この頃、過度なスキンシップをやめてた向日葵が、これを許すとは。
仕方ない、これで断れば向日葵を傷つけてしまう。という建前を立てつつお邪魔します。
俺は、向日葵の横で寝そべり、ゆっくりと頭を向日葵の膝に近づける。
髪の先が、向日葵の膝に触れた。
「あっ……っく……」
向日葵の膝に俺の髪の毛が触れるたびに、向日葵が色っぽい声が漏れている。
しかも、耳がほぼゼロ距離なので、荒い吐息も耳を刺激してくる。
おかしいな、膝枕ってこんなにやらしい行為だったけ?このままゆっくりしてたら埒が明かない。
一気に頭を膝に落とす。
俺の頬を、柔らかい太ももの暖かさが迎えに来た。女の子の体ってこんなに柔らかいものなのか。膝枕の夢心地に浸っていると、遠くから紫陽花がこちらを睨んでいるのがわかった。
人でも殺めそうな目をしてやがる。
しかし、ここは譲らんぞ!
「蓮華君、嬉しそうわね」
「……最高だね、ここは天国だよ」
「楽しんでる所悪いけど、写真を撮るわよ」
「写真撮るの?めっちゃ恥ずかしいんだけど、今超ニヤけてると思うし」
「だから撮るんでしょ?」
「君は、悪魔か!」
「まぁもう最高にニヤけてる時に撮ったから良いけど」
「!?」
神奈月さんの持つケータイ画面には、超ニヤけてる俺の姿が写っていた。
「くそっ!向日葵の誘惑に勝てなかった!」
「悔しがっている所悪いけど、もう向日葵さん限界そうよ」
「え?」
むくりと起き上がり、向日葵を見ると、全身が真っ赤に染まっていた。
体温が凄く高くなっていて、ふらふらとしていた。とりあえず、濡らしたたタオルをおでこに乗せて寝かした。
「……れんげしゃま、すみましぇん」
呂律が回っていない。
やっぱり、まだ万全ではないようだ。
「ごめんな、まだ調子が悪いのに」
「ごめんね、私の悪ふざけに付き合ってもらっちゃって」
「いえいえ、だいじょうぶでしゅ」
「まぁ、負けちゃったしな、次は勝つぞ!」
「頑張ってね、でも思惑通りあっちは、やる気は出たみたいね」
「確かにな」
俺達の目線の先には、真剣な表情の2人が勉強していた。
「よーし、俺ももう少し勉強するかな」
「分かんないとこがあったら、私が教えてあげるわ」
「おっ!さんきゅな!」
それから、1時間みんなでみっちり勉強に励み、今日の勉強会は終わった。