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3話 パープル色ですが脈ありでしょうか?

 とある日の昼休み。

 俺は、弁当も出さずに一人頭を抱えていた。

 考えている事は、紫陽花の事だ。

 俺が冗談で言った事とはいえ、まさか実現するとは思ってなかった。

 調子に乗って、今月のバイト代全部財布に入れてて良かった。

 でもまがりなりにも男に自分の下着の色を教えるって事は、脈ありなんだろうか?

 紫陽花は、俺をただの友達としか見られてないと思っていたが意外と距離を縮めれるんじゃないか?

 いやいやまてまて。

 そういう男特有の勘違いは良くない。

 消しゴムを拾ってもらったとか、どうでも良い事で勘違いしてしまう男子中学生かよ。


「おーい、弁当も出さずに何考えてんの?」


 考え込んでいると、机を挟んで正面に桔梗がこっちを覗き込んでいた。

 こいつは、皐月 桔梗(さつき ききょう)

 中学生の頃から良く遊ぶようになった友達だ。

 前は結構ヤンチャしてて尖ってたけど、今となってはすっかり丸くなったお調子者である。名残で髪は金髪で身長は170cmくらい。


「いやぁ、ちょっとね」

「えー気になるじゃねぇか、ほらほら遠慮せずにこの頼れる桔梗さんに言ってみ?」


 そう言ってくる桔梗。

 しかし、言えない。

 だって好きな子が下着の色を教えてくれるけど気があるかななんて特殊な事言えるか!

 しかも、この関係を誰かに知られること自体が大惨事になりかねないしな。

 だけど、誰かに相談したいのも事実なんだよな。

 どうしよう。


「じゃあ聞いてもらおうかな」


 俺は、今までに起きた事を友人の事と嘘をついて話した。勿論下着の事は伏せたけど。


「どうだと思う?そいつに彼女は、……好意があるかな?」

「んーなるほど……まぁ俺から言わせて見れば、男なら気にするな!」

「ん!?どゆこと?」

「お前のダチは、その彼女が好きなんだろう?」

「まぁそうだな」

「好きなら好きで押して押して押しまくれ!相手がどうとかは、告白してから考えろ!」

「えー!でも相手の気持ちを蔑ろにするのは駄目だろう?」

「そんなもん告白したらわかる。どうせ返事がどっちに転んでも、好きな奴と思い出作れた方が楽しいじゃんか。」

「そ……そうか」


 考え方が強えなぁこいつ。

 桔梗のこういう所憧れるよなぁ。

 でも、確かに言ってる事は正しいんだよな。

 よしいっちょ頑張りますか。


「なるほど、頑張ってみる」

「おう、頑張れよ〜」


 桔梗が俺の背中をバシッと叩く。

 とりあえず、目標として夏休みに海に誘ってみるか。バイト頑張らなきゃ。


「ところでよ」

「ん?どうした?」

「さっきの話は、友達の話だったよな?」

「うん」

「なんでお前が頑張るんだよ?」


 やっちまった。

 つい普通に返事してしまった。

 桔梗は、ニヤニヤしながらこっちを見てやがる。


「まぁまぁお前の粗末な嘘くらいわかってたって、誰にも言わないからいつでも相談に乗るぞ」


「畜生、わかっててワザと流してたのかよ、でも、ありがと」


 桔梗は、笑顔でおうよ!と言ってくれた。

 持つべき物は、友だな。


「その代わりノートお願いな!テストが近いからやべぇんだ」

「はいはい、相変わらずだな」


 頑張ろう。

 今はまだ告白は、出来そうにないけど楽しい思い出を作るためにも。


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