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20話 ワインレッドのローズ柄で少し蒸れていますが脈ありでしょうか?


 今日は、いつもより早く学校に行っている。

 特に何があるわけではないが、紫陽花から一緒に学校に行こうと誘われたからだ。

 しかし、6時半集合と言われたけど早すぎないか?何か裏がありそうだけど。

 無事に集合場所に着き、5分くらい後に紫陽花がきた。


「ごめん、ちょっと遅くなったね」

「おう別にいいけど、なんでこんなに早くから学校行くの?」

「……いや、そろそろ期末も近いから勉強でも教えてもらおうと」

「え?一か月も前から紫陽花が勉強だって!明日は、大嵐だな」

「うるさい!別にいいでしょ!」

「あの勉強嫌いで有名な紫陽花ちゃんが、自分で勉強するって言うなんて、俺はうれしいよ」

「親みたいな事言わないでよ!もう、さっさと行くよ!」


 紫陽花が、俺の腕を掴み胸を押し当てながら引っ張る。昨日から腕を掴むのが流行っているのかな?俺としては、非常に幸せだけど。


 学校について、教室に入る。

 早速、紫陽花の苦手な英語から教え始める。


「そういえばさ」

「どうした?」

「向日葵、相変わらずだね」

「まぁ向日葵は、俺以外に心開かないからな」

「あの子、私にズバズバ言ってくるから苦手なんだよね、中学の頃からあんな感じだけど」

「でもな、本当は普通に喋りたいとも思ってるんだよ」

「そうなの?」

「向日葵は、不器用だからそんな感じでしか出来ないからな」

「そんな風には、見えないけどね」

「向日葵の日記を見てみたら分かるよ」

「日記?」

「そう、向日葵の可愛い所がわかるぞ」


 しばらく、そんな会話をしながら勉強をしていた。1時間くらいして、勉強を終える。

 なんだかんだ喋っていたらあっという間に終わったな。

 紫陽花は、ブレザーを脱いで赤い下敷きをうちわがわりにして扇いでいる。


「あー早く衣替えしないかな、勉強すると暑くて仕方ないわ」

「1時間くらいで何言ってんだ、普通なら4、5時間くらいだぞ?」

「私には、絶対無理!」

「まぁだろうな」


 紫陽花は、もってきたタオルで汗を拭く。

 汗ばんだ紫陽花を見ると、前のアレやコレやを思い出してしまうので見ないように目を逸らす。

 すると、突然目の前が真っ暗になった。


「え?紫陽花、前が見えないんだけど」


 多分、紫陽花の手で目を隠されているんだろう。

 手が少し、湿って暖かい。

 背中に暖かいなにかが触れる。


「今日のやつ、まだだったよね」

「今日のやつ?」


 紫陽花は、俺の耳元に彼女の口を近づけているのか、荒い吐息を感じ取れる。

 そのまま俺の耳に、紫陽花は囁いた。


(今日は、ワインレッドのローズ柄、汗で蒸れてちょっと湿ってるよ)



いつも見ていただきありがとうございます。

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