表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

19/117

19話 ネイビーのレースですが脈ありでしょうか?

 

「はい、あーん」

「いやいや、自分で食べるから腕を離してって!」


 昼休みに俺は、向日葵が隣に椅子を持ってきて右腕を掴まれていた。

 その上、胸を押しつけてくるわ、弁当を食べさせようとするわで周りの目線が痛い。特に正面にいる紫陽花の目線が。


「ちょっと、蓮華が嫌がってるじゃない」


 紫陽花は、向日葵に軽めのチョップを頭に当てて言ってくれる。


「これくらいただの親友としてのスキンシップですわ」

「いや、違うよ」

「しかし、紫陽花さんもこれくらいはやってらっしゃるじゃないですか?」

「……やってない」


 紫陽花は、すっごく目を泳がせていた。まぁ昨日いろいろあったしな。

 向日葵は、やっぱりみたいな顔をしている。


「嘘はつかないでください、どうせバレバレなんですよ?」

「嘘なんてついてない!」

「そうですね、嘘というより無意識にそういう方向に行ってしまうという感じですわね、余計にタチが悪いです」

「そ……それは」

「図星ですわね、それなら私がやっていることもとやかく言う筋合いはありません」


 紫陽花を完全に言いくるめて向日葵は、俺に弁当を食べさそうとする。

 紫陽花は、自分の席を持ってきて俺の隣座る。そのまま左腕を掴み、向日葵を睨んでいる。


「あら?紫陽花さん何をしてらっしゃるの?」

「別に向日葵に関係ない、私は私のやりたいことをしてるだけ」

「あらあら、私の猿真似して蓮華様の気を引こうと言う作戦ですか?」

「そうじゃないもん!いつもこうしてるもん!」


 紫陽花は、ただをこねる子供のような感じで向日葵を睨んでいる。

 向日葵は、変わらず弁当を食べさそうとしてくるし、周りの視線は痛いしで三重苦である。

 しかし、両腕の胸の感触は素晴らしいものである。って何考えてんだ俺。だって、紫陽花のやつ気が立っててスッゲェ押しつけてくるから気になって仕方がないだもの!


「まぁまぁ2人とも落ち着いて、つーか離して、周りの視線も痛いしね?」

「私は、一向に構いません!」

「俺が気にするの!」


 しばらくの口論の末に、なんとか離してくれた。

 目の前には、依然として睨み合う2人が火花を散らせている。


「紫陽花さん、ちょっと2人で話しませんか?」

「……いいよ」


 2人は、そのまま教室から出て行った。

 その瞬間、桔梗が俺に飛びついてきた。


「お前大変だったな、あんな美女どうやって手籠にしたんだよ」

「手籠にしたって人聞きが悪いな、普通の友達だよ」

「普通の友達が、腕掴んで胸の押しつけてあーんするの?」

「まぁそれは、俺が向日葵にやってたからかな」

「どゆこと?」

「向日葵は、中学の時いじめられていたんだ」

「ほうほう」

「それが、エスカレートして遂には自殺しようとして、何も食べなくなっていた」

「つまり、餓死しようと?」

「そんな感じ、俺はそんな向日葵が心配で学校帰りに毎日あいつの家に様子を見に行ってたんだ」

「それで、向日葵のお父さんからその事を聞いた俺は、向日葵に食べさそうとやってる内に大分良くなって来たんだ」

「……なんかごめんな、そんな重い話とは」

「まぁそんな感じなんだ、中学の頃はお前は面識無いだろうし、お前尖ってたから」

「そうだろうな、見た目完全にいじめっ子だったしな」

「本当は、気のいいやつなのにな」

「やめろ、俺を口説いてどないすんねん」

「だから、桔梗にもお願いがあるんだ」

「どした?」

「あいつの友達になってくれないか?」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ