15話 バイオレットの紐パンですが脈ありでしょうか?
「……え?」
私は、蓮華から持ってきてもらった着替えと下着を受け取った。ブラジャーは、普通の黒い無地の物だった。
しかし、問題はショーツがバイオレットの紐パンことだ。
確かこれって、楓ちゃんと一緒に買ったやつだよね。
楓ちゃんは、書いている同人誌の資料として、ちょいちょい下着や服を買っている。
その時に、ふざけて一緒に買ったやつだ。
「どうした?間違えたか?」
「いや……大丈夫だよ」
流石にまた持ってきてもらうのは、やめておこう。
これを履くのか、どうしよう。
問題は、大きく三つある。
一つ目は、このバキバキの勝負下着を着用すること。これを履くだけで、自然と意識してしまうことでまた事故が起きそうで怖い。
二つ目は、履き方がわからない。
これって結んでから履くのかな? 手で腰に固定しつつ結ぶのかな?
ん〜分からないわ。
三つ目は、解けそう。
何か拍子で解けたりでもしたら、それこそ大問題だしね。
この三つの問題をどうするか?
とりあえず、携帯で履き方を調べよう。
洗濯機の上の携帯を手に取り、『紐パン 履き方』で検索する。
すると、サイトに紐パンは意外に解けづらいと書かれていた。ちゃんと結べば大丈夫らしい。
それを見てホッとした。
次に履き方のページを見る。
先に片方だけ結び、一旦足を入れ、腰まで持ってきてもう片方を結ぶと書いていた。
なるほどそうすればウエストとピッタリ合うのか。私は、サイトのやり方通りに紐パンを初めて履いた。
これ、めちゃくちゃ通気性が良すぎる。
スースーしてノーパンの一歩手前のみたい。
それに材質もいつものふわっとした生地じゃなく、ナイロンみたいなサラサラ生地だから、凄いくすぐったいね。
後、紐が気になる。
まぁいいや、パジャマ着れば大丈夫。
私は、白色のパジャマを着た。
そぉーと脱衣所の引き戸を開ける。
「蓮華ー!例のやつは、居なくなった?」
すると、足が何かに触れた。
ゆっくりと視線を下に向けると、そこにはやつがいた。
「ぎぁあああ!!」
私は、絶叫を上げてリビングの扉を蹴飛ばして開ける。勢いで蓮華に抱きいた。
「あいつが!やつがいたよ!」
「落ち着け、落ち着け」
私は、蓮華に頭を撫でてもらい落ち着いた。
っていうか何してもらってんの!
でもなぁ、あいついるしなぁ!
「あれは、おもちゃだよ」
「え?」
「お前が前に見たやつは、おもちゃだったって」
「じゃあ、さっきのやつは?」
「それを、俺が仕掛けた」
私はその瞬間、蓮華の顎に向けて右アッパーをくらわせてやった。抱きついているので立て続けにアッパーを入れた。
「私が、どんだけ怖いか分かった?」
「ごめんなさい、とりあえず、離れてくれないか?」
「いやだ」
「なんで?」
「どっかの誰かさんのせいで恥じらいよりやつの恐怖が強いからね!」
「でもよ、流石に俺も風呂とかに入るしそれに」
「それに?」
「その、なんだな紫陽花の胸が押しつけられてるこの状況がな?その……な?」
「……分かった」
私は、ふと我に返る。
またやってしまったと。
恐怖が収まって、ようやく自分がなにをしてるか気づくき、両手で顔を押さえた。
しかし、私は閃いた。
逆に考えてみたらどうだろうと! 逆に恥じらいを抑えつつ、この恐怖を利用すればいいんじゃないかと!
私は、こみ上げる鼓動を抑えながら言う。
「じゃあ、……せめて手だけでも繋いでて」