12話 赤の花柄ですが脈ありでしょうか?
中間試験が終わり、いろんな意味で濃い勉強を乗り越えた4人は、カラオケに来ていた。
俺達もいろいろあったが、恐らく桔梗と神奈月さんもなんかあったんだろう。
しわっしわっにやつれてる桔梗がその証拠だ。
そんな枯れた桔梗とは真逆で生き生きしてる紫陽花。
にやけ顔が抑え切れていない。
「そんなに見つめて、どうしたの?」
「相変わらず、顔が五月蝿いなと思っただけだよ」
「えー酷いよ!そんな事無いよね楓ちゃん?」
「歌ったらもっと五月蝿くなるわね」
「2人とも酷いよ!いいよもう歌ってストレス発散してやるよ!」
デンモクを激しく突っつく紫陽花。
「あ、採点入れる?」
「おう」
「次だれ入れるか?」
「桔梗、入れていいぞ」
「歌ぐらい高得点とりなさいよ」
「仕方ねぇ、俺の持ち曲聞かせてやる!」
「ほらあんたが歌う曲入れたわよ」
「なんで勝手に入れてんだお前!つーか何コレ、こんな曲知らねぇよ!」
「毎週日曜日8時半に放送されるアニメの主題歌よ」
「プ○キュアじゃねぇか!主題歌とか知るか!」
「ふふっ、皆私の美声に聞き惚れるがいい!」
「「「キャーステキナウタゴエダナー」」」
「ちょっと皆、適当に返さないでよ!」
俺達は、そんな感じであっという間に4時間程歌った。外に出ると、すっかり夕焼けで橙色に染まっていた。
「流石に、歌い過ぎたな」
「カラオケは、歌い過ぎた位が丁度良いんだよ」
「それはあんただけよ、まぁ馬鹿のおばかな姿を見られて面白かったわ」
「そりゃお前が俺に、女子小学生が歌いそうな曲勝手に入れるからだろうが!」
そんな会話を交わしながら帰り道を歩く。
しばらくして俺達は、帰る方向が違うので桔梗達と分かれてた。
「そういえばさ」
「どうした?」
「蓮華に言いたい事があるんだけど」
「おう」
「今日、うちに泊まらない?」
「え?」
驚いて、声が裏返ってしまった。
紫陽花は、目線を下に向けて、俺とは逆の方向を見ていた。
「それって、つまりいわゆるお泊まりというやつですか?」
「そうだよ」
「どうして今日なんだ?」
俺がそう聞くと、紫陽花は顔を赤くして答えた。
「今日、親いないんだ」