109話 さっきの綺麗な人ですが脈ありでしょうか?
更新遅くなりましてすみません!
紫の性格を考えると、正義感と気がワタポン並みに強いから、面倒事に首突っ込んでるに違いない。
早く見つけて、事件が起こる前にとっ捕まえないと。
状況を整理したい。
とりあえず、風鈴に詳しい話を聞くか。
俺は、風鈴を追いかけるように走った。
すると、階段の手前で辺りをキョロキョロしている風鈴を発見した。
俺は、風鈴に近づいて肩を掴む。
「え?さっきの……」
「状況を説明しろ」
「え?ええ!?ど、どういうこと……」
「いいから、紫のことについて説明しろ」
風鈴は、体を震わせながら、居なくなった経緯を話した。
まず、二階のトイレを風鈴が使っている間に、紫が居なくなった。
風鈴が周りにいた人に聞くと、ガラの悪い男2人組としばらく話して一緒に何処かへ行ったそうらしい。
「なるほど、心当たりあるか?」
「いえ、特にはここに来たのも数回ぐらいなので……」
「分かった俺は屋上に行って外を見て回る、風鈴は室内中心で探せ、いいな」
「あっ、う、うん!分かった!」
俺は、屋上に続く階段に向かって走り出した。
「あの人、もしかして……」
俺は、屋上にたどり着いた。
上からフェンス越しに外を見下ろして、紫を探す。
一体どこにいるんだ?
屋上をぐるっと一回りすると、校舎の裏に怪しげな人を見つけた。
茶髪の女の子1人に黒髪の男が2人。
恐らく紫が不良に絡まれているのだろう。
速く助けに行かないと。
今から、階段で降りて間に合うか?
また見失ったりすれば、余計に面倒な事になりかねないし。
「……ちょっと、派手に行ってみようか!」
「お嬢ちゃん、覚悟は出来ているんだろうな?」
不良が私の手首を掴む。
「は、離してください!」
私は、その手を振り解こうとしたけど、力が強くて振り解く事が出来なかった。
不良は、手首を引っ張り顔を近づける。
「落とし前はきっちりつけてもらうぜ」
「……」
ニヤリと不気味な笑みを浮かべる不良。
「お、おい、逃げろ!」
「ん?なんだ……よ……」
もう1人の不良が、慌てた声を荒げる。
手首を掴んでいる不良が振り返る。
不良の顔が離れて視界が開けた。
そして、その開けた視界に入ってきたのは……
「え?」
上空から落ちてきた、さっきの綺麗な人だった。




