106話 馬鹿ですが脈ありでしょうか?
「痛たた……」
「これだから変態は困るわ」
「いやいや、俺を蓮華と一緒にするな」
「転んだ隙に、制服の中に手を入れる男なんて、誰がなんと言おうと変態よ」
「なんだと、お前だって俺にメイド服着さそうとする変態の癖に!」
「私のは、貴方を辱めたいだけよ」
「余計にタチが悪いわ!」
言い合いになり、お互いに睨み合う。
しばらくの沈黙の後、私は堪えきれず笑いが吹き出した。
桔梗もそれに釣られるように笑い出した。
「はぁ〜なに馬鹿な事してるんでしょう、私達」
「それな、あー面白」
「全く、こんな事してないで速く行くわよ、休憩終わっちゃうわ」
「それもそうだな」
私は、右手を桔梗に差し出した。
「……なんだよ?」
「……したかったんでしょ?」
「……んん、はぁ〜そうだよ、悪いか!」
「悪くないわ、欲望に正直でいいと思うわ」
「欲望言うな!ほら、行くぞ!」
桔梗は、私の差し出した手を荒々しく握りしめる。
そのまま、桔梗に手を引かれ、廊下を進んでいく。
自分の手が、汗ばんでいないか少し心配だったけど、彼のじゅくり濡れていた手に包まれて、そんな心配は何処かに吹き飛んでしまった。
「何処に行くか?」
「写真部の展示会行きたいわ」
「写真部?って小金井のとこか」
「そうそう」
「あいつのことだから、女の子の写真とか展示してそうだな」
「そんな訳ないでしょ、一応学校の出し物なのよ?」
「いや、あいつらなやりかねん」
「信用ないわね、それじゃ行きましょう、ちょっと用事もあるしね」
「お、おう?」
私達は、そのまま手を繋いで、写真の部室に向かった。