101話 告白(仮)ですが脈ありでしょうか?
「れ、れっれん……れれ蓮華しゃまぁ!すっすっす、すす好きです!つ、付き合ってください!」
俺の目の前には、顔を真っ赤に染めた向日葵さんがいた。
向日葵さんは、俺に告白セリフを言うと、びっしょりと汗をかいてその場にへたりこんでしまった。
なんでこんな事になったかと言うと、2時間前に遡る。
今日は、学校帰りにいつも通り倉庫の溜まり場に来ていた。
しかし、いつもと違う所が一つだけある。
今日は、中学の友達では無く、向日葵さんと2人っきりで来ているからだ。
「わ〜広いですね!なんだか懐かしい感じがします」
向日葵さんは、目をキラキラとさせながら、倉庫をキョロキョロと見て回っている。
「ここなら、邪魔も入りにくいしいいんじゃないっすかね?」
「そうですね、では特訓をやっていきましょうか」
「それで、今日は何するんっすか?」
「今日は、告白の予行演習をしようと思うんです」
「へ〜そうなんっすか……ってえ!?」
「では、早速やりましょう!何個か候補を用意しているので、どれが良いか決めてください!」
「え!いやちょ……」
そんな感じで現在、一通り告白を聞き終えた。
へたりこんだ向日葵さんをとりあえず、そこら辺の木箱に座ってもらった。
「あ、ありがとうございます……それで、告白はどうでしたか?」
「……非常に言いにくいっすが、噛みすぎてほとんど聞き取れなかったっす」
「すみません、風鈴くんを相手でこんなに緊張するんじゃ、本番で言えませんよね」
「まぁ、そこら辺は頑張っていきましょう、つーか向日葵さん、いきなり告白の練習って何かあったんですか?」
向日葵さんは、顔が再び赤くなっていった。
両手の人差し指を合わせながら、もじもじしている。
こんな可愛いお姉さんってやばくない?
俺もなんだか恥ずかしくなってきたよ。
「近々、文化祭があるので……その時に、覚悟を決めて告白しようと……思います」
「おお!まじすか!」
「はい、……最後ですから」
「え?」
「いや!な、なんでもないです!そんな事より風鈴くん、練習を再開しましょう!」
「は、はい」
その真っ赤な顔に、一瞬悲しい表情を見せた向日葵さんに、俺はなんて声をかけていいかわからないかった。