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第二話~異種族ロリっ娘たちと同棲できて、プロジェクト成功の暁には重婚できるってマジですかそれ!?~

今回は世界観全般の話や、勇者がどういった存在なのかの解説話となります。ほぼオッサン同士の会話でロリ成分薄めですのでご注意ください。

「えっ!? 共同生活?……ってことは……」

 つまりは、どっ、同棲~~!? こんな可愛らしいロリっ娘12人と一緒に~~!? ゆっ、夢みたいだ! いやでも、待て! いくらなんでも話の都合が良過ぎるぞ?

「何故俺がそんなことを?」

 これは何か裏があるに違いない! 俺みたいなロリコンを餌に呼び寄せてとっ捕まえるとか。回りくどい気もするが、あまりに俺好みの展開過ぎる。用心に越したことはない。

「そうですね。あなたは召喚された立場とはいえ、我々は民主国家。個人の意思と自由を尊重する責務があります。身体が馴染むまで時間を要することでしょう。詳しい話は施設に赴いてから致したいと思います」

 メガネをくいっと上げ、ゾーダリは淡々と説明する。肝心なところはボカされたような気もするけど、とりあえずは従った方が良さそうだな。

「で、その施設とやらにはどうやって移動するんだ?」

 徒歩。馬車。車。飛行機。提示された移動条件によって、この世界の文明レベルがある程度計れそうだな。

「フフフッ! よくぞ聞いてくれた!! 移動にはねぇ……ワープ装置を使うんだよ!!」

 そんな時、さっきはしゃいでた白衣の男がハイテンションなまま話しかけてくる。

「アンタは?」

「僕はカーボナー・エリフール! 君を異世界より召喚した装置の技術責任者だ!! ワープ装置は、装置同士で相互移動が可能なシステムだ。今は人一人ずつを転送させるのが精一杯だが、いずれは多人数を……」

 ワープ装置? やたらと科学が進んでいるような。でも、召喚って言葉を使ってたし、魔法と科学が融合したとか、そんな世界観か?

「そう! 本来は装置同士じゃないとできないんだけど、君を呼んだ改良版の召喚装置は、送信側で装置を使用せずとも、受信側で条件を満たせば魂を呼び寄せることが可能だと証明された!! クフッ! クフフッ! 素晴らしいぞ!! 今回の成功で更なる発展と飛躍が望めるぞー! ヒャッホー!!」

 やたらと饒舌なハイテンションでペラペラ喋るカーボナー。これ、アレだ。普段無口なオタクが得意分野の話題になった途端、ペラペラ人が変わったように喋り出すヤツだ。

「はっ、恥ずかしいからぁ……ひっ、人前で、そっ、そんなにはしゃがないでよぉ……おっ、お父さん……!」

 そんな時だった。ディアが涙目でふるふると首を横に振りながらカーボナーの袖を引っ張る。

「あっ! これは失礼……」

 娘に訴えられ、シュンとするカーボナー。この様子だと、普段は大人しい人なんだろうな……って、この二人も親子か。ラピュラって子もそうだし、12人の子供の中には、他にもプロジェクトの関係者の子供がいそうだなー。

「子供たちを先に移動させますので、ローリー様は後程」

 そんなこんなで、転送装置で次々と移動するロリっ娘たち。一人移動するのに大よそ1分くらいかな。

「それでは父さま。行って参ります」

「ええ。立派に務めを果たすのですよ、アメシス。あなたにも我等冥界神アビスのご加護を……」

 ローブを着た男に両腕を組み祈りの挨拶を捧げるアメシス。この二人も親子か。にしても、ゾーダリは政府の責任者で、カーボナーは技術責任者。ならばアメシスの父親は、一体どんな立場なんだ?

「それではローリー様、ご移動の方を」

「ああ、はい」

 質問してみたいところだけど、プロジェクトの関係者ならまたどこかで会うだろう。とにかく今は施設とやらに移動するとしよう。



「うっ!」

 円形の装置に入ると、一瞬ピカッと光った。気付いた時には装置の扉が開いていた。どうやらもう移動できたみたいだ。

「ここが今日からあなたに12人の少女たちと共同生活をしていただく施設、ブレイヴチルドレンハウスです」

 ゲートの前に建つ施設は二階建てで円形状だった。そして入り口には俺たちを出迎えるように二人の異種族が立っていた。

「初めましてみゃー。わしゃー、ブレイヴチルドレンハウスの館長を務めるイリュドア・マースみゃー」

 最初に話しかけて来たのは、黒帽子に黒コートを羽織った白猫。喋り方からしてそれなりの年配なんだろう。

「初めまして。ブレイヴチルドレンハウスの清掃や調理など身の回りのお世話を委任されたアコヤ・ミナヅキと申します。以後お見知りおきを」

 スカートを捲し上げ、優雅な挨拶をする妙齢のメイド犬。

(マースにミナヅキか)

 名前からしてアクアとマジュの家族だろう。イリュドアの方は祖父で、アコヤの方は母親という感じかな?

「イリュドア、これから勇者様にプロジェクトの詳細を説明する。応接室を借りるぞ」

「構わないみゃぁ。ゆっくりしっていってくれみゃ~~」

 ゆったりとした猫撫で声で頷くイリュドア。そんなこんなで俺はブレイヴチルドレンハウス一階の応接室に案内された。

「まずはかけてくれ。緊張する必要はない。私も多少砕けた会話は心掛ける」

「はぁ」

「さて、まずはプロジェクトの概要だが、端的に言えば12の種族を代表する少女たちと親交を深め、個々の能力を覚醒させる計画だ」

「代表? つまりは国家的プロジェクトってことか?」

「ああ。そこに至るまでは、我が国の歴史を少々語らなければならない」

 ゾーダリは応接室の壁に立てかけられていた巻物をバッとテーブルの上に広げる。

「アクシス連邦共和国は大陸の西端に位置し、東方を山脈に、その他三方を海に囲まれた半島国家だ。この半島には数百年前より12の異なる種族がそれぞれの国家を作り、争いを繰り広げていた」

 日本の戦国時代みたいなものか? いや、異なる国家なら三国志の方が適切か。

「半島を形成する国家は、人間が統治するアクシス中央共和国。ドワーフが統治するチャイシャーナ工国。サキュバスが統治するローザマリス娼国。オーガが統治するシュヴァルツレイター鬼国。人狼が統治する自由都市トージョー。竜人が統治するズールーシャン峰国。ゴーレムが統治するビヤンアルピ壁国。エルフが統治するプラシオポリス林国。猫族が統治するポプァセーネ湖国。魔族が統治するクラースリングラード魔国。獣人が統治するアメリベリア獣国。ネクロマンサーが統治するケメト教国の計12国だ。前述の通り元は異なる国家だったのだが、20年前統一に成功した。その最大の功労者が、君が宿っている勇者、カティ・ローリーだ」

 勇者って聞くと、魔王やらモンスターと戦うっていうイメージだけど、この国だと建国者って感じか。まあ、数百年の争いにピリオドを打ったなら、英雄といえば英雄か。

 イメージとしてはレーニンや毛沢東って言うより、ビスマルクとかチェゲバラだな。

「他国からの流れ者であった人間のローリーは、統一前アクシス共和国の首相だったルブルグに半島統一を提案し、各種族の説得に東奔西走した。特に血の気が多く闘争を生き甲斐としていた私の父、“鉄血の戦鬼(アイゼナオーガ)”の異名を誇る戦士長アイゼン・ディゼンバーと、の“鋼鉄の魔人(スターリディアボル)”の異名を誇る魔王クリゾ・ベリル・イユィと親交を深め友人同士になったのが大きい。半島内で好戦的だった二大勢力が結託したことで、統一の話は一気に進んだ。そしてアクシス帝国は建国され、ルブルグは初代皇帝に即位した」

 帝国? さっきまで共和国って話してたのに。これは、今に至るまで一悶着あったみたいだな。

「しかし、その均衡も長くは続かなかった。15年前初代皇帝ルブルグが逝去し、二代目として長男アードルフが即位した。アードルフは即位して間もなく人類連盟への加入を画策し、ローリーと激しく対立した」

「人類連盟?」

「世界の8割を支配する人間が相互平和のために築き上げた連盟だ」

「ん~~。半島を統一したってことは、ローリーは平和を求めてたってことだよな? なんで平和を推し進める政策に反対なんか」

「人類連盟の定義する人類とは、あくまで人間という一種族のみだ。他の種族は人類としては見なされず、奴等は我々を亜人やモンスターと蔑んでいる差別主義者だ。相互平和と耳障りは良いが、その実態は人間のみの平和と権利の保護を目的とし、人間一種族による独裁と他種族の支配を行うものだ!」

 ダンっと机を叩き語尾を強めるゾーダリ。今まで抑揚のない口調で話してたっていうのに。よっぽど癪に障るんだな。

「アクシス帝国が人類連盟に加盟する条件として提示されたのが、『人間の人権を保障し、人間によって他種族を統治することを明記した憲法の制定』だった。それは12種族平等を唱えたアクシス帝国の理念に真っ向から反するものだった。皇帝と勇者の対立は平行線を辿ったが、人類連盟は国境に兵を集めたり、周辺海域に巡視船を張り巡らせたりと圧力を強めた。そしてアードルフは10年前、ローリーに濡れ衣を着させ、失脚の上投獄した」

「濡れ衣?」

「ああ。ローリーは小児性愛者で、元いた国で多数の少女を犯し、逮捕を怖れてアクシスへと逃れた性犯罪者だと。まったく馬鹿げている! あんな心優しい人を犯罪者呼ばわりするなどと!!」

「親しかったんだな」

「ああ。ローリーは父の親友だったからな。私の父は誇り高き武人だったが、ローリーはよく私に君は戦士ではなく国家の礎を築く政治家になれと語ってくれた。ローリーの下支えがなければ、私は役人などにならなかっただろう」

 しみじみとした声で語るゾーダリ。にしても、耳の痛い言葉だ。どこの世界でも俺みたいなロリコンは社会の敵とみなされるんだな。

「そして5年前ローリーは幽閉先で衰弱死した。ローリーの死を以てアードルフは新憲法を掲げ、人類連盟への加入を果たした。その後は人類連盟加入国から人間が入植し、他種族を支配する体制となった。その独裁体制に他種族は反旗を翻し、2年前に革命が起き、アードルフは失脚。帝国は12の種族国家の自治権を認めた連邦制共和国へと生まれ変わり現在へと至る」

「それで再び平穏を取り戻した……って世の中そう簡単にはいかないよな」

「そうだ。民主化に当たって大きな壁が二つ突き当たった。一つは憲法の改正。人間を優先した憲法を破棄し、共和国建国の理念に従った12種族平等の憲法を新たに掲げようとしたが……人類連盟は圧力をかけてきた。もしも我々人間が生まれながらに持っている人として生きる権利、人権を害する憲法を制定するようならば、人類連盟に対する著しい叛逆行為とみなし、直ちに宣戦布告すると」

 自分たちのルールに従わなければ戦争を仕掛けるってか! 随分身勝手で傲慢な連中だな。児童の権利を盾に俺たちロリコンのロリっ娘でヌく権利を犯罪とした社会とソックリだ!!

「人類連盟の外圧に屈する気は毛頭ないが、徒に戦争を起こす気もない。この点は我が国の不断の外交努力により妥協点を見出そうとしているが……もう一つの問題は致命的でな」

「致命的? 戦争が起きるか否かよりも?」

「ああ。精神的象徴の不在だよ。共和国となったのはいいが、建国の象徴であった勇者は既に亡き人だ。共和制を樹立したのはいいが、我々は勇者カティ・ローリーに代わる象徴を見出せずにいた」

「だから、勇者ローリーを復活させる必要があったと?」

「そうだ。一度肉体から離れた魂を呼び戻すことは叶わない。しかし、ネクロマンサーの招魂術により、他者の魂を融合させることは可能だ。幸いローリーの遺体はペレト教団が丁重に安置していた」

「成程なぁ。で、なんでその選ばれた魂が俺なんだ?」

 一体どういった基準で選ばれたのか、俺は肝心な部分を訊ねた。

「選ばれたのではない、導かれたのだよ。12人の少女たちの無垢なる願いによって」

「あの子たちに!?」

「ああ。魂の融合は基本的にどの種族とも可能だ。しかし、肉体との適合率が高くなければ拒否反応を起こす。特に性別の違いは肉体的負荷が大きいとの先例があり、女性の魂の融合は不適切とされた。そして12種族平等という観点からは特定の種族の代表者と融合させるわけにはいかなかった。かといって大人が絡めば様々な政治的思惑が交差し、思うように召喚が叶わなかっただろう」

「だから、ピュアな心を持った少女である必要があったと?」

「そうだ。君は12人の少女たちの願いによって召喚された。その魂の絆は大なり小なり繋がっているだろう」

 つまり! 12人のロリっ娘たちは少なからず俺に好意を抱いてるって訳か! これはロリハーレム建立も夢じゃないぞ!!

「で、少女たちに呼ばれたのはいいとして、なんで共同生活を行う必要が?」

「ローリーファミリアプロジェクトは、内政的には『勇者を導きし少女たち』という新たな象徴を作り上げる。そして外政的には『人間である勇者が12の種族を率いる』という、人類連盟の指針に表面上は迎合し、争いを回避するという政策によって計画された」

 話を聞いていると、随分と政治的な話だな。まっ、俺としては国家公認でロリっ娘と戯れるってだけで、十分満足なんだけど。

「目的は分かった。で~~、俺がプロジェクトを成し遂げた際には、何かしらの報酬があるのか?」

 成功の暁にお触りその他やりたい放題とかだったら、命懸けでやる価値があるんだけどな。

「ああ。我が国では成人は人類換算で15歳になってからと憲法で定められているが、次世代育成計画特別措置法により、エクストラスキルを会得した少女は成人と同等の権利を得ることとなる。

 また、婚姻も成人になってからと民法で定められているが、同措置法により少女たちは結婚可能となる。そして婚姻は一夫一妻と定められているが、勇者は同措置法によって成人の権利を得た少女たちとの重婚が認められる」

「なっ、なんですとー!?」

 ちょっ!? まっ!? お触りし放題とかの次元を超えて重婚可だとー!? 合法的にロリハーレム王に俺はなれるって……うひょひょほほぉ~~!!

「是非やらせていただきます! いえ! やらせてください!!」

 俺は感極まって、思わずゾーダリと熱い握手を交わした。

「良かった。あなたは以前のローリーとは違うが、まごうことなき私たちの勇者だ!!」

 俺に手を握られて、ゾーダリはどこか嬉しげだった。

「ところで、エクストラスキルってなんなんだ?」

 勢いに任せて承諾してしまったが、前提条件が不明で、俺はふと訊ねる。

「ああ、すまない。我々は主に二種類のスキルを習得可能だ。一つは種族スキル。これは各々の種族が先天的に有しているスキルで、成長に従って自然と使えるようになる」

 動物は習わずとも狩りの仕方や空の飛び方を知っているってのと同じ理屈か。

「そしてもう一つはエクストラスキル。これは各個人が願いや鍛錬を基に種族スキルを開花させる後天的スキルだが……口で説明するより実際に見てもらった方が早いな!」

 そう言うと、ゾーダリは突然俺の前でスーツをバッと脱ぎ捨てた。いっ、一体何が始まるんだ!?

冒頭からダラダラ世界観の話をするものじゃないということですので、第一話はキャラクターの顔出しと物語の方向性を描いたところで、今回は世界観の説明が主となります。

20年に満たず一つの国家体制が崩壊するのって短過ぎね? と思うかもしれませんが、ナポレオンの第一帝政が10年足らずと、実際の歴史でも一つの体制が短命に終わるのは珍しいことではありません。

また、人間と異種族の関係に関してですが、ようはこの世界って現実世界に当てはめると、「北京原人やネアンデルタール人が絶滅せず現代まで生き残っていた」という感じです。「原人や旧人にホモサピエンスと同等の権利を与えるか?」って考えたら、人種差別が未だに残る世界情勢を顧みるに、まずはそうならねーだろうと。

さて次回からは徐々にヒロインたちが絡み出すので、ようやく物語が動き出す感じです。では!

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