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インターンシップ

気づいたら1万PVいってました。ありがとうございます。これからもよろしくお願いします

「あっ!おかえりなさい!」


 宿に着くと、ビアンカとアンナが出迎えてくれた。よく見るとアンナの顔にはクリームのようなものがついている。


「結構かかったのですね?」


「ああ、新しい依頼を受けてな。明後日から1カ月間の大仕事だからな、色々と手続きがあるんだ」


「それはまた長いですね。どこへ行かれるんです?」


 ビアンカの質問に俺は答えていく。すると、白がアンナの顔に顔を近づけたていた。


「ハクちゃん?…ヒャッ!!?」


 突然、白はアンナの顔についたクリームを舐め出した。


「うむ、これはうまいのじゃ!うまそうな匂いがすると思ったらアンナの顔に生クリームが付いてたのじゃ!」


 白は完全復活というようにいつのまにか俺の背中から降りていた。


「白、だからって舐めることないだろう」


「ん?あっ、すまなかったのじゃ〜。つい、反射的に………」


 白はしょんぼりとした様子でアンナに謝る。


「いいよ、ハクちゃん。でもまずは夕飯を食べないとね」


「ありがとうなのじゃ!アンナ〜!」


 白はアンナに抱きつく。アンナも白をよしよしとなだめていた。


 どっちが年上かわからんな…


 俺はそんな白にいつも通り呆れつつ、宿で飯を済まして、部屋に戻って布団を被った。


 2日後


 俺と白は指定通りに領主邸の門の前まで来ていた。


「何か用か?」


 門の前には門番が立っており、俺たちに声をかける。


「Bランクパーティの『白銀』だ。領主殿に呼ばれてここに来たんだが………」


 そう言って俺は門番にギルドカードを見せる。


「そうか、あなた達が『白銀』でしたか。失礼しました。領主様は奥でお待ちになられております」


「わかった」


 俺と白は門を開けてもらい、奥へと進んでいく。すると、すでにバウザーとカイルは外で待っており、立派な馬車が1台用意されていた。


「待っておったぞ!では今日からよろしく頼む」


「僕もよろしくお願いします」


「ああ」


「うむ!よろしくなのじゃ!」


 俺たちは一通り挨拶したあと、早速馬車に乗って門を出た。護衛の騎士達が馬で先行している。


「この馬車って広いな」


 キャンピングカー並みの広さはあるだろうか、中には椅子はもちろんテーブルもあり、さらに奥には荷物置き場まで確保されていた。


「ええ、この馬車はうちが出資している組合の開発品でして、その中でも最新のものなのですよ」


「へぇー、なかなかに立派だな」


「ありがとうございます。ではこれからの予定について少しだけ打ち合わせをしておきませんか?」


 カイルはそう言って地図を広げる。


「今僕たちがいるのはまだこの辺りです。目的地がここなのですが少し迂回してこちらの山道を通ります。それから草原を抜けて商業都市ハーレイに向かいます。ここまでで大体一週間ほどですかね」


 カイルは地図を指差しながら順を追って説明していった。迂回をする理由はモンスターのレベルが高いのと沼地が多く進みづらいとのことだ。


「わかった。でも俺たちのやることは変わらないけどな」


「うむ、妾にかかればどんな敵もやっつけれるのじゃ!」


 白は鼻を鳴らしながらない胸を張っている。


 その自身はどこから来るのか………ま、確かにその通りだけどな


「頼もしいですね。それと、最近盗賊が多いそうなのでそれにも気をつけないといけませんね」


 カイルは追加で注意する。

 正直なところ盗賊だろうがモンスターだろうがあまり関係ない。どちらも俺たちからしたら屁でもなかった。


「そういや、今回の目的はなんなんだ?」


 俺はこれほど長期にわたっての滞在なのでカイルの目的について気になっていた。


「それなんですが……簡単に言えば、視察をしてこいと言われています。商業都市は今や第2の王都とも呼ばれています。そんな都市の仕組みについて勉強するのが今回の目的です」


「へぇ〜、じゃあ他は何だ?」


「後は領主代行として親交を深めたり、経済的な話し合いなどですね………」


 そこでカイルは言い淀む。


「じゃあインターンみたいなもんか」


「インターン?」


 俺はしまったと思った。つい、あっちの世界で使われていた言葉を使ってしまった。


「………いや、なんでもない」


「そうですか………あっ!それと向こうにいる間、お二方は自由に動いてもらって構いませんので」


 なるほど、なら観光でもしようかな


 俺は商業都市について興味があった。ゼロの記憶から古代文明の商業都市などはいくつか頭に入っているが、それでも2000年以上も前のことだ。それに実際に見るのとではやはり違うだろうと思っていた。


「そこにうまいものはあるか?」


 白は身を乗り出してカイルに尋ねる。やはりというべきか白にとって一番大事なのはそこらしい。


「ええ、それはもう山ほど!」


 カイルも手を目一杯に広げていた。


「おおー!ユウジ!楽しみじゃな!」


 白は目を輝かせながらこちらを振り向く。


 その金は全部俺が払ってるけどな


 白の食費はたった1日でごく一般家庭の2週間分に相当するくらいだった。


 こいつの食費は馬鹿にならんからな………あっ!そうだ、これをいい機会にお小遣い制にしてやろう


「白、向こうに着いたらお金渡してあげるからそれで自分の好きな物を買うのはどうだ?」


「おおー!それは面白そうなのだ!」


 やはり食いついてきた。俺はもう白に期待するのはやめにして、一から自立した生活というのを教えていこうと思った。


「よし、でも渡したお金以上の物は買えないから気をつけろよ」


「わかったのじゃ!」


 本当にわかっているのだろうか………まぁ、信じてみるか


 その後、俺たちは馬車に揺られて今日の野営地に到着した。


「今日はここで夜を明かしましょう」


 それからカイルの指示で野営用のテントを護衛の騎士達が張っていく。俺たちは騎士達と交代で見張りを担当することになった。


「うむ!この肉はうまいのじゃ!」


 俺は亜空間から取り出した食材を提供して、みんなで食べていた。


「ありがとうございます!こんなに食材を出してもらって………」


「いや、どうせあの領主はこれのことも調べていたんだろう。出る前に俺に食材を渡してきやがったからな」


 俺は少し嫌味っぽく言いながら肉を焼いては白に渡す。白は渡した先から一瞬で平らげてしまう。


「ハハハ………」


「それよりもお前はあの領主についてどう思う?」


「父についてですか?」


「ああそうだ」


 俺はカイルに自分の父親に対する印象を聞いてみた。


「そうですね。あの人は貪欲でありながらも愛を持ち合わせた人だと思います。……父は一人であの地位まで築いたカリスマです。僕はそんな父を超したいと思っているんです!」


 カイルは拳を握りしめて燃え盛る炎を見つめていた。


「なぁ、最近何か変わった様子とかはないか?」


「変わった様子ですか?」


「そうだ。なんでも良い、いつもとは違うことを思いつくだけ言ってくれ」


「えーと、あっ!一つだけありました!最近、何か男の人と密談をしているようなのです」


 なるほど、やはりそうか


 俺はあることについて確信を持った。


「あのー、父様に何かあったのですか?」


「ん?いや、なんでもない。それよりも飯を食べて寝よう」


「そうですね。明日からも早いですから」


 俺はなんとか誤魔化して話題を切り替えた。

 カイル達はテントに入り寝床につく。俺と白は見張りに出ていた。


「んん〜、まだなのか?」


「まだ始まったばかりだ。我慢しろ」


 白は眠い目をこすって俺の膝の上に座っていた。


「なぁ白」


「ん?なんじゃ?」


 俺が白の頭を撫でると白はこちらを振り向く。


「いや、なんでもない。それよりここに食べカスが付いているぞ」


 俺は振り向いた白のほっぺたに付いた肉を取って話すのをやめた。

 それから俺たちは見張りを交代して、寝床に入った。

 真っ赤に燃える月の光に照らされて………

次回の更新は3月ぐらいになります。すいません

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