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「それが聞いたところによると、笹木の幽霊だったてみんな言うもんだから。なんか俺心配になっちゃったんだよ。高橋、笹木と仲良かったからあいつが亡くなってものすごく落ち込んでたろ。そういうの見てるとすごいつらいんだ、俺」


『あ、ここにも私のこと見ていてくれた人がいたんだ……』


ぽつんとそう思うと、思い返してみれば、山本君は直人が亡くなってから何かと私に気を遣ってくれていた。私が悲しみで何も手がつかなかった時、宿題を代わりにやってくれたり、お化け屋敷の準備の時も荷物を持ってくれたり、差し入れにお菓子をくれたりと、よく考えたらものすごく親切にしてくれていた。それはきっと彼もまた直人の親友だったから、同じ気持ちを共有している同士と思ってのことだと思っていた。


「ごめんね、山本君も直人がいなくなってつらいのに。私自分のことばかりで手いっぱいで」


「そんなことないよ。俺もあいつがいなくなってすごいつらいし、よく分かるんだ」


それを聞いて私は胸が熱くなって、また泣きたくなった。ああ、ダメだ。ここで泣いちゃダメだ。そう思ったにも関わらず、目から一粒の涙がこぼれ落ちた。でもきっと暗闇で見えない。そう思っていたら、山本君には見えていたらしい。


「涙が出るくらい、まだまだ悲しいよね」


 そう言うと、山本君は急に私の上に覆いかぶさってきた。すぐそばで息がかかるくらいの距離で、彼は言った。


「こんな状況で言うの変かもしれないけど、俺、高橋のこと前から好きだったんだ。でも高橋は笹木のこと好きみたいだったし……。言わないつもりだったんだ。でも、今言いたくなった」


イケメンからの突然の告白に私の頭は真っ白になった。


『えっ、えーーーーーーーーっ?!』


 頭の片隅に直人の姿が浮かんでくる。今姿を消しているとはいえ、きっと直人もこの状況を見ているに違いない。



『このあとどうしよう』


私が困って目をつぶると、覆いかぶさってきた山本君は、すぐにぱっと離れた。


「ごめん、どうこうしようっていう気はないんだ。でも言いたくなったんだ。俺の気持ち一応知っておいて欲しかったんだ。俺、そろそろ持ち場に戻らないと駄目だから戻るね。じゃ」



 山本君は言うだけ言うと、暗闇の通路をまた戻って行った。残された私はというと、小声で直人を呼んだ。


「直人、直人」


 しばらくあっちこっちを探したけど、直人らしき姿は見当たらなかった。


「もう、どこ行っちゃったのよ。今の見てたんじゃないの!」


 私が怒ってぶつぶつつぶやくと、直人はまたどこからかひょっこり現れた。頭に手をやりながら、照れた様子の直人はこう言った。


「そっかあ、あいつもついにあさみに告白したか」

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