クラゲな後輩恋をする
深夜テンションで書きました
変なところが有ったら申し訳ないです
「えっと、あの、付き合ってください!」
恋愛とは生憎無縁な人生を送ってきた僕がこんな告白されるわけがない。だって相手は一才上の藍川瑠有留さん。同じ中学校で生徒会長をやっていて頭がよくてでも天然で面白くって純粋でとてもかわいい高校二年生。なぜこんなに知っているかというと同じ生徒会で活動し、憧れ、恋心を抱いていたからだ。さすがに卒業してしまってからはメールを週に数回交わす程度になり、冷めたとは思ってないがその恋心は薄らいでいた。だが彼氏持ちのリア充だとばかり思ってたのだがフリー。しかも俺に告白?どんな展開だよ。
「あの……………やっぱ私じゃダメかな?」
「いえ!その、どこが……………?」
「え、何が?」
「いや、瑠有留さんは僕のどこを………………その、好きになったんですか?」
「うーん。恥ずかしいけど、優しいところ、かな?」
「いや、優しいやつなんかどこにでもいますよ?」
「うん。」
「それに優しさだけじゃこの世の中くってけないし、それに瑠有留さんだったらモテるんじゃないですか?」
「うーん?どうなんだろ。でも告白は何回かされたからモテるのかな?」
「いや、僕に聞かれても。」
「まあでも、私は他のどの人よりも琳君が魅力的に感じるし、琳くんが好き。私じゃダメ?」
いや、照れる。つーかダメな訳がない。むしろこっちから願いたいもんだ。瑠有留さんはとにかくかわいい。すっごいかわいい。それに胸も身長に似合わず結構ある。だから僕としては万々歳々なんだけれども…………
「瑠有留さん、気持ちは滅茶苦茶嬉しいです。でも、僕はその気持ちに答えることができない。」
「他に好きな人がいるの?」
「いません。それに瑠有留さんのことは前から好きでした。」
「なら………」
「でもダメなんです。理由は言えません。でも、ダメなんです。」
「……………………そっか。」
「その、ごめんなさい。」
「うんん。でも、あきらめないからね。私が滅茶苦茶無茶苦茶あきらめ悪いのは知ってるでしょ?」
「まあ何だかんだで一年の付き合いですからね。もちろん知ってますよ。」
「じゃあ覚悟してね。一杯誘惑するから。」
捨て際に残した言葉とその顔。それは見たことない一面で、危うく全てを言って瑠有留さんの気持ちを受け入れたい位だったのだけれども、できない。そしてしたら瑠有留さんは僕から離れて行く。
「はあ。結局騙してるのか。罪悪感がものすごいな。」
誰もいなくなった校舎裏。そんな独り言をする程度にはぼくも堪えていた。人間の面を被った化け物に騙されている彼女を見ていると。
「おっはよー。」
「瑠有留さん、とりあえず僕の上からどいてくれます?」
「じゃあ私と付き合ってくれる?」
「じゃあその前になんで僕の部屋の中にいるんですか?」
「お迎えに来た。」
「うちの家…………はまあ調べようと思えば簡単ですけど、一応鍵はかかってたと思うんですが。」
「お母様に開けてもらった。」
「うん。どうやってですか?」
「初めまして。琳くんの彼女で藍川瑠有留ともうします。朝一緒に登校しようと思って来たのですが琳くん起きてますか?って聞いたらまだなの、起こしてきてくれる?って家に上げてくれたよ。」
「うちの母さんはどうしてこうもガードが緩いのかな?っていうか瑠有留さんさりげに嘘ついてますよね?」
「え、でも相思相愛なら恋人でしょ?」
「言いましたよね、理由があるから無理って。」
「お母さんは、あら、琳にも春が来たのね。黙っちゃってませてるんだから。って。少なくとも家庭の事情とかじゃないならいいじゃん。付き合っちゃおうよ。」
「いや、ですから理由があるんですよ。」
「ううー。琳くんのイケず。」
「あと、本気でどいてください。遅刻します。」
「はーい。」
その後ちゃっかりうちで朝御飯を食べて、母さんと父さんを懐柔していった。
学校ではさすがに学年も違うため組んでた腕を離してくれた。つまりは登校中ずっと腕を組んでた。
「胸が当たってるんですけど………」
と言ったら。
「いいよ、別に。彼氏なら毎日いつでも触れるよ?」
という核爆弾級の反論をされ撃沈。
そんなこんなが一週間ほど続いたある日、事件は起こった。
いつもなら帰りにはクラスの前で待っているのに今日はいない。少し気になって教室まで行ってもいなかった。で、メールを確認すると
『こうしゃうらる』
とだけメールが来ていた。校舎裏?気になって行ってみると争うような声が聞こえて影に身を隠した。
「さて、藍川委員長さんよ、お前のせいで停学食らってたわけだが、どう責任トンの?」
「落とし前はつけるよな?」
「一週間授業受けれなかったんだぜ?それにクラスの連中からは醜いものを見るような目で見られるしよ!」
「そうだ、お前も醜い姿になれよ。」
「いいじゃん。こうやってさっ」
ビリッ
「お、以外とデケえ。さっさとブラもとろうぜ。
「いや、やめてっ!」
この声、それに藍川ってなまえ。まさかっ
走って乱入する。瑠有留さんの姿が目に入る。シャツを破かれブラも剥ぎ取られようとしている。そしてその目には涙。それを確認し、そして僕の中の何かが外れた。
「お前ら、何してんだコラ!」
叫ぶと同時に、背中から無数の触手が制服のシャツを突き破って出てくる。瑠有留さんも男たち三人も驚いてる。まあそりゃあ急に目の前の男から触手が生えてきたらな。だがそんなことどうでもいい。今は男どもをぶちのめすのが先だ。
怒りに任せ触手を振るう。一つで一人の足を突き、一つで一人の肩を突き、一つで一人の脇腹を貫く。
「「「うぐぁああああああああああああああああああああああああ」」」
断絶魔×3がこだまする。この触手の毒には血を止めるかわりに痛みを増幅、傷を治らなくする効果がある。激しい痛みそしてそれは未来でも不自由という枷になって付いてくる。触手で刺されたら使い物にはならない。切断して義足をつけるのが一番だろう。それだけのことをこいつらは瑠有留にした。そしてその瑠有留は怯えたような目でこっちを見ている。
「あーあ。なんのために告白を断ったんだか。」
「…………………琳くん、その触手は?」
「僕にもわかんない。物心ついたときからあったし、同時に自分が人でないことも知ってる。自分が化け物だってね。」
「でもお母さんとお父さんは…………………」
「知らないと思うよ。病院で本当の子供と僕とがすり替えられた。遺伝子から何まで全く同じように作られた僕が。」
「誰が、なんのために?」
「わからない。ただ僕はクラゲのようなものだよ、人型クラゲ。人間の皮を被ってるけどクラゲだよ、僕は。ただそれだけしかわからない、でもそれだけは確信してる。もしかしたら宇宙人が偵察のためにすりかえたのかもね。どう?きもちわるいでしょ。」
「うんん。全然。少し驚いたけど、これで付き合ってくれるでしょ?」
「うん、僕の話聞いてた?見たでしょ、触手で刺すところ。毒だってあるんだよ。」
「でもその触手は優しい触手でしょ?」
う、ダメだ。流されるな。
「でも、いつか、もし何かの拍子で僕じゃない僕になって瑠有留さんを襲うかもしれないんだよ!怖いんだよ、君を傷つけるのが!」
「イソギンチャクとカクレクマノミは共生してるよ。毒があっても大丈夫だよ。」
「あ、あれは何か特殊な成分がクマノミにあるからで、」
「あるじゃん、私にも。」
「え、?」
「愛があるじゃん。」
敗けた。ああ、そっか。瑠有留さんの一番の魅力はこれか。
「大丈夫。傷ついても。大丈夫。刺されても。大丈夫。私は琳くんから離れないから。」
はあ。完敗だ。いったい何のために感情を圧し殺してきたんだろうか。
「琳くん、私は絶対離れないから。だから、付き合ってください。」
「ええ、もちろん。喜んで。」
昨日のテスト中に考えました。
きっかけは夏休みにクラゲに刺されたことですね。
痛かったです。
そんなこんなで楽しんでいただけましたか?
感想をいただけたら嬉しいです。
それではまた
by「ニューライフ」と「初恋」のアクセス数が意外に多くて嬉しい反面驚いているミヤzii