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Ж 家出末裔 共通①


『パパ、ママ!』

『逃げて……いつか大切な人を見つけて幸せに……』


――15年前に目の前で両親が殺された。


『ウマソウナ小娘ダナ……』


西洋のキメラのように複数の動物が混じっている化物だった。


『いやああああ!!』


――死を覚悟して目を閉じる。

不思議と痛みはなくて、恐怖もなかった。


『人の子よ、目を開けろ』

『あれ?』


男の人に言われて瞼を開くと何もいなかった。


『奴なら“絶った”』


赤茶色の長い髪を風に靡かせて男は空間を見つめる。


『貴方はだれなの?』

『俺は紅赤尾(べにあかおび)お前達のよく知る妖怪だ』


自らを妖怪と名乗る男は角もなければ長い爪があるわけでもない。

ただ一つ人間と違う所は血に染めたような紅い髪をしている事くらい。


『一人なのか?』

『パパもママ化け物にころされちゃった。血がいっぱいで、いつ病院から帰ってくるの?』


両親は病院からいつか帰ってくると、幼い私は死など理解していなかった。


『もう帰ってこない』

『妖怪のお兄ちゃん……パパとママは私が嫌いになっちゃったの?』


そう尋ねると男は困った様子で眉を寄せる。


『いや、そんな筈ないだろう』

『じゃあなんでそんないじわるいうの?』


男はため息をついて、私の頭を撫でる。


『なら両親が迎えにくるまで俺と一緒に暮らすか?』


■■


「え?」

「もう大人なんだから元の世界へ帰れ」

「なんでそんなこと言うの!?」


二十歳の誕生日、私は育ての親と衝突してしまった。


「もうお前と暮らすのが辛いんだ」

「わ、わかった。もう二十歳の大人だし、ちゃんと働くから!家にお金もいれるから!」


私は彼までいなくなってしまうと涙が込み上げてきて、捨てられないように必死にしがみついた。

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