∽新米の陰陽師 共通①
私の家は代々、陰陽師の一族で修行をしてきた。
生まれたときから針野の一族であり、華花という名の個人としては見られない。
しかし陰陽師になるべく生きろと義務づけられているが、妖怪や神様などそんなものが本当に要るなんて信じていない。
たんなる霊感商法なんだと、そう考えている。
なぜなら一族の本家筋である私は妖怪なんて見たことがないからだ。
「華花様、よろしいですか?」
「なに?」
女中の一人が私を呼んだので返事をする。
「炎水様がいらっしゃりました」
炎水は私の従兄にあたり、カンゼナキガミという神童の位を持つエリート陰陽師だ。
「炎水の兄者、いらっしゃるのでしたら御一方ください」
「ああ、すまんな」
「ええ……私に何か御用なのですか?」
「お前も十分修行を積んだ頃だろう?」
――おや、もしかすると陰陽師としつ妖怪退治に出ろと言われる?
「ええ、まあ日々精進はしましたが……」
「故にそろそろ陰陽衆の一員となり、活動しても良いのではないかとな」
「ですが、妖怪の類いは未だに見えません」
「妖が見えずとも札を作る事はできるだろう?」
「それでも良いのでしたら、所属させて頂きたいです」
今日は日曜なので一般的な仕事や学業に励む陰陽衆は一番活動できて忙しい時間。だから明日の平日に学校の帰りに陰陽衆から迎えが来るらしい。




