本編10 レイドボス、現れる
ボスの撃破を終え、その帰り道。
「疲れた」
まあ、疲れるよな。
特にバリアしたりボス切り刻んだりしてたルカにとっては。
「そうだ、あのドラゴンは何だったんだ?」
「そうそう、あんなドラゴン見たこともないよ。」
カズトの質問にトーヤ君が付け加えた。
「ありゃあ、黒龍か何かだろ、状態異常の攻撃は上位の黒龍位しか持ってない」
ザンジが答える。
確かに、黒龍クラスでなければあんな化け物はいない。
「黒神竜だよ。前のイベントの"破滅と終焉の神竜"の降臨ボス」
黒神竜……
何故、降臨ボスが……
て言うか、何でルカはそんなに知っているんだ。
本来、降臨ボスはボスしかいない広いフィールドで戦う、物凄く強いモンスターを指し、設定では一体しか居ず、倒れても復活するという設定だった。
なのに、あの塔にはその黒神竜がいた。
あの男は、その様なふざけた力を持っていたのか……
因みに、モンスターには通常モンスター、通常ボス、イベントボス、降臨ボスがある。
通常モンスターはその名の通りフィールド、ダンジョンに普通に出現するモンスターを指す。
そして、希にレアモンスターも出現する。
レアモンスターは、通常モンスターの色違いみたいな物で、元のモンスターとは比べ物にならない強さを持つ。
その為、元のモンスターとも苦戦するなら、レアモンスターと戦うのは禁忌と言われる程だ。
そして、通常ボス。
これは、設定では希に出現するモンスターを束ねる王という設定だった。
出現する確率が低く、強くて召喚持ち。
設定の様に、正しく王と言えるモンスターである。
では、イベントボスとは何かというと、そのまま、イベントのボスである。
砦に居たりする、通常ボスより強い、イベントクエストで出現するボスである。
降臨ボスは、さっき話した通りだ。
ただし、全てイベントクエストのモンスターだ。
そして、レイドボスと言うものが存在する。
フィールドに出現するボスの上位と言う設定。
オンラインゲームをしている人は名前だけで分かるかもしれない。
ボスに挑み、負けたとしても与えたダメージは蓄積される。
つまり、何回も挑んでHPを減らしていくと言う訳だ。
だが、レイドボスは、尋常じゃないHPを誇り、強さも尋常じゃない。
HP1億の怪物を、殺すには、皆の協力がいる。
全プレイヤーで戦う怪物。それが、レイドボスだ。
さて、そんな話をしていたら、家に着いてしまった。
「お腹すいた……」
ニナさんが言っている。
じゃあ、ご飯にするか。
「頂きます!!」
僕は買って来たパンを頬張る。
硬い。
パンだが、硬い。
まあ、食べれるからいい。
「なあ、カズトとカイトが持っているその鞄はなんだ?」
「アイテムバックだ。どうしてか鞄に入る大きさの物だったらどれだけでも入る」
ザンジの質問で、自分がアイテムバックを持っていた事を思い出した。
よし、これからはアイテムバックで持ち運びしよう。
と、皆のご飯が終わったとき、いきなりチャイムがなった。
来訪者か。
「はーい」
ドアを開けると、ボロボロになったおとこの人がいた。
「大変だ!」
その言葉のあと、その人は気を失った。
ポーションを飲ませ、話を聞く。
「レイドボスが現れたんだ!」
「は!?レイドボス!?」
「で、そいつはどんな奴だ!?」
「ゲームとは比べ物に出来ない。町は大騒ぎだ。様子は、酷かった。とてつもなくデカイ怪物を100、いや1000人位で取り囲んで戦っている。戦場は死体だらけだ。」
それはかなり危険だな……
「まあ、行ってみるか。危険なら引き返す。」
戦闘準備をして外に出る。
そして戦場へ。
その戦場では、ドラゴンと戦う者たちの姿があった。




