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「機動戦士ガンダム」について その16


「私の経験不足だった。失敗した」


「…何言ってんだ?」


「富野セリフの特徴は沢山あるが、最大の物は『最初は何を言ってんだか分からん』くらいに持って回ってることがある」


「まあ、そうだが」


「これは説明もせん作品特有の固有名詞をバンバン使いまくるのと同様の効果を生む」


「常に緊張感を持って画面を見なくちゃならなくなるな」


「外交の緊張した場面では敢えて声のトーンを低くして聞き逃すまいとさせて注目させるというテクニックもあるらしい」


「で?」


「辺境のコロニーで追いつめられた敵の、秘密の新兵器建造計画をキャッチした。ところが視察を部下に任せてしまったら命令を無視して暴走してコロニー内を破壊する有様になった」


「…もしかして?」


「その時指揮官だった男は、普通ならこれくらいのことを言う。表現に修辞はあるにしてもな」


『私の経験不足だった。失敗した』


「まあ、そんなところだ」


「しかし、何を思ったか弱冠21歳の少佐はこう言った」



『認めたくないものだな。自分自身の、若さゆえの過ちというものを…』



「…何言ってんだこいつ」


「ぶっちゃけ何となくしか分からん。ただ、第一話ラストのこの一言が大げさに言えば「機動戦士ガンダム」の成功を決定づけたとも言える」


「普通にシャアだよな」


「そう。この情報量の多さ!これだよ。これがヒット作の条件だ」


「情報量の多さ?」


「ハッキリ言ってこのセリフだと状況が全然分からん」


「だな」


「ただ、演出の世界では『分かりやすいことは分かりにくく、分かりにくいことは分かりやすく』表現すべきとされている」


「そうなのか?」


「ぶっちゃけ今俺が作った言葉だが、乏しい読書・視聴経験から導いた」


「つまりどういうことなんだよ」


「映像作品を観ていて何が辛いって、「情報量が少ないこと」が一番つらい」


「情報量が少ないの意味が分からんのだが」


「人間は当然ながら一度に処理できる情報量には限りがある」


「そうだな」


「だから余りにも多すぎる情報量を一度に与えすぎるのは好ましくない」


「そらそうだ」


「だが、情報量が少なすぎるのも同じくらいに問題だ」


「だから具体的にだな」


「退屈な映画ってあるよな」


「うん」


「例えば今まで観た中で退屈な映画って何があった?」


「…急に言われても」


「そういう映画は大抵は「情報量が少なすぎる」ものだ」


「良く分からんな」


「例えば人が道を歩いてるとする」


「うん」


「人が道を歩いてるくらいのことは誰でも観れば分かる。それ以上の情報が無い場合は「退屈」になる」


「それ以上の情報ねえ」


「例えば、道行く人が「おはよう」とか何人に言われたところで退屈だ」


「まあ、そうだな」


「例えばここで、とあるイケメンが現れる」


「ほう」


「主人公の女の子がぽっと頬を赤らめる」


「ふむ」


「こう言う展開が「情報量が少なすぎる」典型だ」


「ちょっと待てよ。十分色々あるだろうが」


「全くお話にならん。表面に見えるものだけじゃなくて、視聴者の情報処理キャパシティを甘く見過ぎだ。視聴者にしてみれば、「ああ、この女の子にとって、この男の子が憧れなんだな」くらいは当然脳内で『論理を組み立てる』ことが出来る」


「…まあ、そうだが」


「送り出す側がそれを下回ってどうするんだ。この調子でやられたんじゃ退屈で適わん。常に視聴者の理解度をほんの少し上回るものを提供し続けるべきだ」


「…例えば?」


「憧れの男の子とあいさつを交わした瞬間、突然クマが襲ってくる」


「…はぁ!?」


「クマに引っ掛かれて吹っ飛ぶ男の子!」


「?!?!?!」


「突如アスファルトが大爆発!」


「何なんだよ!」


「次の瞬間には事情聴取されている男女」


「?????」


「腕を組んで不敵にふんぞり返っている男の子に、怯えている女の子」


「はあ」


「ずーっとカメラが引いていくとそこにはクマの生首が…そして第一話のオープニング開始ですよ」


「何の話をしてんだ」


「これくらいやって初めて『情報量』として合格になる」


「ムチャクチャなこと言ってやがるな」


「そうか?ガンダムやエヴァの第一話はこの程度の情報量はあったぞ」


「いやいやいや、ザクや怪獣は「そういうもんだ」とは思えるが、何でクマなんだよ」


「それだ!」


「だから何なんだって」


「どうして〇〇なんだよ!どうなってんだ!…と思った視聴者は画面にくぎ付けだ。エンターテインメントである以上基本は押さえろ。こんなもん作劇のイロハだ」


「そうかなあ」


「勿論、毎度そんなことばっかりやってれば飽きられる。要は「ありそうにないことが起こる」ことが大事なんであって、「とりあえずオープニングは爆発」みたいな共通認識があるんなら逆に爆発させちゃ駄目だ」


「う~ん」


「大衆が求めるのはインスタントな刺激だよ」


「まるでハリウッド映画だ。悪い意味で」


「ま、そういうこと。この情報量のさじ加減はクリエイターの個性としか言えんし、それが時代と合致するかどうかはまるっきり「運」だろうな」


「運ねえ…」


「ZZについてはそれほど語る事なんかない。ただ、ある意味情報量はZに比べてぐっと減ったのは間違いない。その意味では親しみやすいのは間違いない。『妹探して珍道中』だって別にガンダムじゃなきゃ「そういうアニメがあってもいいだろ」ってところだ。それが面白いかつまらんかは別問題だが」


「結局どうしろってんだよ」


「1つだけ言えるのは、そのアニメに『観る理由』があればヒットするし歴史にも残る。『観る理由』が無いならどれほどよく出来ていてもヒットなんかしない」


「『観る理由』って何だよ」


「それはエヴァ編に譲ろう。一つだけ言いたいのは、確かにガンダムはヒットしたが、富野監督がガンダムでやってることはここだけ突然変異を起こした訳じゃ全く無いってことだ」


「どういうことだよ」


「富野アニメを何でもいいから他に観て欲しいんだけど、「ダンバイン」だろうが「イデオン」だろうが「Vガンダム」だろうが基本的にやってることは全く同じ調子なんだなこれが。それこそ「Z」だって同じ。ワンパターン…と言う言い方が悪ければ「正常進化」なのさ」


「正常進化ねえ」


「ガンダム第一話でサイド7を襲うザクに対して「有線誘導ミサイル」が発射されてるのに気付いてるか?」


「何だって?」


「知らないなら「有線誘導ミサイル」でググってくれ。ここまでのディティールが子供向けロボットアニメに必要なのかと言われれば何とも言えん。凄いなと思う。ある種「やり過ぎ」だ」


「だな」


「だが、この「市街戦において有線誘導ミサイルを撃つ」というシチュエーションは「Vガンダム」にも出て来る。この「Vガンダム」は派生した非宇宙世紀ガンダムにしては珍しく「ミノフスキー粒子」が堂々と出て来るんだが、何と同時に「チャフ」も使う」


「チャフって何だ?」


「コマ切れにしたアルミ箔だ。これを空中にばら撒かれるとレーダー波が乱反射してしばらく使えなくなる」


「ミリタリーアニメだな」


「うん。当然チャフについての細かい説明は無いし、それとミノフスキー粒子を組み合わせた欺瞞戦略の論理の説明だって無い」


「む~ん」


「これって「ガンダム」だったら「流石のミリタリー描写、新時代のロボットアニメ」として称賛されるポイントになるが「Vガンダム」だと「幾らなんでもマニアック過ぎる。これだからリアルロボット界は閉塞していると言われるのだ」と一転バッシングになるんじゃないのかね?」


「あ…」


「やってることはず~っと同じなんだって富野監督は。ギレンのガルマ追悼演説の際のシャアの一人つっこみである「坊やだからさ」は有名だが、壇上のキシリアが側近に耳打ちしてる1カットがあるのを知ってるか?」


「…いや、知らん」


「オレもかなり回数を重ねるまで気が付かなかった。これは要するにシャアがドズル配下を離れたことを確認して、勧誘しとけと直属の部下に指示してる場面なんだな」


「…邪推じゃねえの?」


「「坊やだから」バーでキシリア配下の情報部員がシャアを勧誘してるじゃないか」


「…そっか…。スゲエ。まだ新発見する余地が残ってたなんて…」


「な?確かに「Z」での情報過多はやりすぎだよ。でも、ガンダムの時点から基本的にこんなペースなんだ。たまたま「気が付かなくてもストーリー把握には支障ない」領域に納まるものが多かったから問題視されないどころか、遅れて気付いた連中が賞讃してたりするが」


「…じゃあ何で」


「ガンダムは受けてそれ以外が受けなかったのか?…と言いたいんだろ?」


「ああ」


「それについてはアニメを映像作品としての側からだけ観てたんじゃ分からない。ちょっと外部の話をしよう」



スーパーロボットの定義


・血縁者(大抵は直系尊属)の作った巨大ロボットを子供が操る

・勧善懲悪

・敵は異文明・異星人などの「非・人間種族」(とはいっても日本語を話す)

・何故か日本だけ襲ってくる。もしくは主人公たちの行動範囲内で暴れる

・気合と根性、友情で勝利を掴む



リアルロボットの定義


・主役ロボットは工業製品であり、個人の発明家などによるものではなく企業や国家規模の団体による

・正義・悪の定義が必ずしも明確ではない

・敵は人間種族

・敵方にも意図があって行動している

・主人公たちは時には権謀術数、政治の駆け引きに振り回される


1979年

1月7日 - 『赤毛のアン』放映開始

2月3日 - 『ゼンダマン(タイムボカンシリーズ)』放映開始

4月2日 - 『ドラえもん』(第2作1期)放映開始。(今シリーズに関しては2005年3月15日に放送終了)

4月4日 - 『ザ☆ウルトラマン』放映開始

4月7日 - 『機動戦士ガンダム』放映開始

10月10日 - 『ベルサイユのばら』放映開始

12月15日 - 映画『ルパン三世 カリオストロの城』(宮崎駿監督)公開


マジンガーZ1972年(昭和47年)12月3日から1974年(昭和49年)9月1日

グレートマジンガー1974年(昭和49年)9月8日~1975年(昭和50年)9月28日

UFOロボグレンダイザー1975年(昭和50)10.5~1977年(昭和52年)2.27

ゲッターロボ1974年(昭和49年)4月4日~1975年(昭和50年)5月8日

ゲッターロボG1975年(昭和50年)5月15日~1976年(昭和51年)3月25日

勇者ライディーン1975年(昭和50年)4月4日~1976年(昭和51年)3月26日

鋼鉄ジーグ1975年(昭和50年)10月5日から1976年(昭和51年)8月29日

マグネロボ ガ・キーン1976(昭和51)9月5日~1977年(昭和52年)6月26日

超人戦隊バラタック1977(昭和52)7月3日から1978年(昭和53年)3月27日

宇宙の騎士テッカマン1975年7月2日から同年12月24日まで

大空魔竜ガイキング1976(昭和51)4月1日から1977年(昭和52年)1月27日

ゴワッパー5 ゴーダム1976年4月4日から同年12月26日まで身長30.0m

超電磁ロボ コン・バトラーV 1976(昭和51)4.17~1977(昭和52)5月28日

超電磁マシーンボルテスV1977(昭和52)6月4日から1978(昭和53)3月25日

闘将ダイモス1978年(昭和53)4月1日から1979年(昭和54)1月27日

グロイザーX1976年(昭和51年)7月1日から1977年(昭和52年)3月31日まで

ブロッカー軍団IVマシーンブラスター1976(昭和51)7.5~1977(昭和52)3.28

UFO戦士ダイアポロン1976年(昭和51年)4月6日から同年9月28日まで

惑星ロボ ダンガードA1977(昭和52)3月6日から1978(昭和53)3月26日

合身戦隊メカンダーロボ1977(昭和52)3月3日から同年12月29日

超合体魔術ロボ ギンガイザー1977(昭和52)4月9日から同年10月22日まで


無敵超人ザンボット3 1977(昭和52)10月8日から1978(昭和53)3月25日

無敵鋼人ダイターン31978(昭和53)6月3日から1979(昭和54)3月31日まで


宇宙魔神ダイケンゴー1978(昭和53)7月28日から1979(昭和54)2月15日


機動戦士ガンダム1979(昭和54)4月7日から1980(昭和55)1月26日


未来ロボダルタニアス1979(昭和54)3月21日から1980(昭和55)3月5日

闘士ゴーディアン1979(昭和54)10月7日から1981(昭和56)2月22日

太陽の使者 鉄人28号1980(昭和55)10月3日から1981(昭和56)9月25日

逆転イッパツマン1982年2月13日から1983年3月26日まで


伝説巨神イデオン1980年(昭和55年)5月8日から1981年(昭和56年)1月30日

無敵ロボトライダーG7 1980(昭和55)2月2日から1981(昭和56)1月24日

宇宙戦士バルディオス1980(昭和55)6月30日から1981(昭和56)1月25日

宇宙大帝ゴッドシグマ1980(昭和55)3月19日から1981(昭和56)3月25日

百獣王ゴライオン1981(昭和56)3月4日から1982(昭和57)2月24日

六神合体ゴッドマーズ1981(昭和56)10月2日から1982(昭和57)12月24日

戦国魔神ゴーショーグン1981年(昭和56年)7月3日から同年12月28日

最強ロボ ダイオージャ1981(昭和56)1月31日から1982(昭和57)1月30日

銀河旋風ブライガー1981(昭和56)10月6日から1982(昭和57)6月25日

銀河烈風バクシンガー1982(昭和57)7月6日から1983(昭和58)3月29日

銀河疾風サスライガー1983(昭和58)4月5日から1984(昭和59)1月31日

太陽の牙ダグラム1981(昭和56)10月23日から1983(昭和58)3月25日

超時空要塞マクロス1982年10月3日から1983年6月26日

超時空世紀オーガス1983年7月3日から1984年4月8日まで

超時空騎団サザンクロス1984年4月15日から同年9月30日まで

機甲艦隊ダイラガーXV 1982(昭和57)3月3日から1983(昭和58)3月23日

戦闘メカ ザブングル1982(昭和57)2月6日から1983(昭和58)1月29日

魔境伝説アクロバンチ1982年(昭和57年)5月5日から同年12月24日

装甲騎兵ボトムズ1983年(昭和58年)4月1日から1984年(昭和59年)3月23日

特装機兵ドルバック1983年10月7日から1984年6月22日まで

聖戦士ダンバイン1983年(昭和58年)2月5日から1984年(昭和59年)1月21日

機甲創世記モスピーダ1983年10月2日から1984年3月25日全長:2,050mm

銀河漂流バイファム1983年10月21日から1984年9月8日まで

亜空大作戦スラングル1983年1月24日から1984年1月27日まで

光速電神アルベガス1983(昭和58)3月30日から1984(昭和59)2月8日


鉄腕アトム(テレビシリーズ 1963年-1966年)- 脚本・演出

海のトリトン(テレビシリーズ 1972年)- 総監督・脚本

勇者ライディーン(テレビシリーズ 1975年-1976年)- チーフ・ディレクター(前半のみ)・演出・絵コンテ

ラ・セーヌの星(テレビシリーズ 1975年)- 監督(後半のみ)

無敵超人ザンボット3(テレビシリーズ 1977年-1978年)- 原作・総監督

無敵鋼人ダイターン3(テレビシリーズ 1978年-1979年)- 原作・総監督

機動戦士ガンダム(テレビシリーズ 1979年-1980年)- 原作・総監督

伝説巨神イデオン(テレビシリーズ 1980年-1981年)- 原作・総監督

戦闘メカ ザブングル(テレビシリーズ 1982年-1983年)- 原作・監督

聖戦士ダンバイン(テレビシリーズ 1983年-1984年)- 原作・総監督

重戦機エルガイム(テレビシリーズ 1984年-1985年)- 原作・総監督

機動戦士Ζガンダム(テレビシリーズ 1985年-1986年)- 原作・総監督

機動戦士ガンダムΖΖ(テレビシリーズ 1986年-1987年)- 原作・総監督

機動戦士ガンダム 逆襲のシャア(劇場用作品 1988年)- 原案・原作・総監督・脚本

機動戦士ガンダムF91(劇場用作品 1991年)- 原作・監督・脚本

機動戦士Vガンダム(テレビシリーズ 1993年-1994年)- 原作・総監督

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