「機動戦士ガンダム」について その01
「…遂にこれをやるのか」
「といっても、オレはガンダムオタクじゃない」
「へー」
「実際、濃いガンダムオタクの凄まじさは…まあ凄い。オレなんぞガンダムファンを名乗るのもおこがましい薄さだ。全国で下から四番目くらいだよ」
「何だよそれは」
「ともかく、研究書もムックも山ほどあるんでここは駆け足で色々紹介しよう」
「ああ」
「まず、放送開始の1979年について」
「…しっかし、凄い数字だな。もう教科書に出て来そうな昔だ」
「折角なんでこの年の出来事を振り返ろう」
昭和54年
日本の首相 大平 正芳
アメリカ大統領 ジミー・カーター
主要な出来事
イラン革命
スリーマイル島原子力発電所において放射能漏れ事故
サッチャー首相就任
「この辺はニュースマニアでもなければ意味合いが分かりにくいな」
「そうかもな。アニメはこんな感じだ。勿論、主要なものだけで実際はもう少しある。とはいえ週に50本だ80本だ放送される90年代以降と比べると数は少ないがね」(Wikipediaより)
昭和45(1979)年
1月7日 - 『赤毛のアン』放映開始
2月3日 - 『ゼンダマン(タイムボカンシリーズ)』放映開始
4月2日 - 『ドラえもん』(第2作1期)放映開始。(今シリーズに関しては2005年3月15日に放送終了)
4月4日 - 『ザ☆ウルトラマン』放映開始
4月7日 - 『機動戦士ガンダム』放映開始
10月10日 - 『ベルサイユのばら』放映開始
12月15日 - 映画『ルパン三世 カリオストロの城』(宮崎駿監督)公開
「正に昭和って感じ。にしても「カリ城」ってガンダムと同じ年だったのか…」
「恐らく一番なじみ深いテレビ朝日版『旧ドラ』が始まったのもこの年だ」
「なかなか壮観だな」
「『アン』と『ベルばら』が入ってるのはオレの趣味な」
「おい」
「当然メインスタッフは男だらけなんだが、ちゃんと「少女向け」に仕上がってる。手塚先生を始めとして、藤子先生や赤塚先生、石ノ森先生なんかの勃興期の作家はみんな少女向けコンテンツが上手いよな。いい意味で『大人』だったんじゃないかな」
「そんなもんかなあ」
「一見して幼女が主人公なのに、観てるのは男ばかり…という魔法少女アニメの歴史と変遷は詳しい人がやってくれ。オレは余り詳しくないんでね」
「どうかな。プリキュアなんかは確かに大きなお友達も観てるたあ思うが普通に幼女も観てるだろ」
「そうだろうな。オレが言ってるのは魔法少女的な装いなのにソフト(?)エロみたいな「魔法使いTai!」とかそういう路線の話な」
「…ディープ…なのか?」
「話が逸れたが、とにかく社会情勢についてはよかろう。外部の話で言うと、何と言っても「スター・ウォーズ」だな」
「あ、この年か」
「本場での公開は1978年だけど、日本では丸1年遅れた上に情報がダダ漏れで、パクりものも山の様に作られ、みんなそっちを先に観ちまってるから、本物が公開された時には「…一度も観たことないのに内容を全部知ってる…」みたいなことになっちゃってたらしい」
「…」
「ともあれ、「ライトサーベル」と「ビームサーベル」なんかの類似点を指摘するまでも無く影響力は絶大だ。この時代から後しばらくは「SF」的な意匠だけでお客さんが呼べるSF関係者にとっての黄金期となる」
「む~ん」
「何と言っても「ガンダム」とて単体でポツンと存在する訳じゃなく「巨大ロボットアニメ」という系譜の中の一作品であり、富野由悠季監督のフィルモグラフィーの一部という側面も併せ持つ。ということで、その辺りの系図を。当然オレの独断と偏見で抜粋しまくりだからちゃんと調べたい人は文献を漁ってくれ」
(「ロボットアニメ年表」さんより引用。感謝)
マジンガーZ1972年(昭和47年)12月3日から1974年(昭和49年)9月1日
グレートマジンガー1974年(昭和49年)9月8日~1975年(昭和50年)9月28日
UFOロボグレンダイザー1975年(昭和50)10.5~1977年(昭和52年)2.27
ゲッターロボ1974年(昭和49年)4月4日~1975年(昭和50年)5月8日
ゲッターロボG1975年(昭和50年)5月15日~1976年(昭和51年)3月25日
勇者ライディーン1975年(昭和50年)4月4日~1976年(昭和51年)3月26日
鋼鉄ジーグ1975年(昭和50年)10月5日から1976年(昭和51年)8月29日
マグネロボ ガ・キーン1976(昭和51)9月5日~1977年(昭和52年)6月26日
超人戦隊バラタック1977(昭和52)7月3日から1978年(昭和53年)3月27日
宇宙の騎士テッカマン1975年7月2日から同年12月24日まで
大空魔竜ガイキング1976(昭和51)4月1日から1977年(昭和52年)1月27日
ゴワッパー5 ゴーダム1976年4月4日から同年12月26日まで身長30.0m
超電磁ロボ コン・バトラーV 1976(昭和51)4.17~1977(昭和52)5月28日
超電磁マシーンボルテスV1977(昭和52)6月4日から1978(昭和53)3月25日
闘将ダイモス1978年(昭和53)4月1日から1979年(昭和54)1月27日
グロイザーX1976年(昭和51年)7月1日から1977年(昭和52年)3月31日まで
ブロッカー軍団IVマシーンブラスター1976(昭和51)7.5~1977(昭和52)3.28
UFO戦士ダイアポロン1976年(昭和51年)4月6日から同年9月28日まで
惑星ロボ ダンガードA1977(昭和52)3月6日から1978(昭和53)3月26日
合身戦隊メカンダーロボ1977(昭和52)3月3日から同年12月29日
超合体魔術ロボ ギンガイザー1977(昭和52)4月9日から同年10月22日まで
無敵超人ザンボット3 1977(昭和52)10月8日から1978(昭和53)3月25日
無敵鋼人ダイターン31978(昭和53)6月3日から1979(昭和54)3月31日まで
宇宙魔神ダイケンゴー1978(昭和53)7月28日から1979(昭和54)2月15日
機動戦士ガンダム1979(昭和54)4月7日から1980(昭和55)1月26日
未来ロボダルタニアス1979(昭和54)3月21日から1980(昭和55)3月5日
闘士ゴーディアン1979(昭和54)10月7日から1981(昭和56)2月22日
太陽の使者 鉄人28号1980(昭和55)10月3日から1981(昭和56)9月25日
逆転イッパツマン1982年2月13日から1983年3月26日まで
伝説巨神イデオン1980年(昭和55年)5月8日から1981年(昭和56年)1月30日
無敵ロボトライダーG7 1980(昭和55)2月2日から1981(昭和56)1月24日
宇宙戦士バルディオス1980(昭和55)6月30日から1981(昭和56)1月25日
宇宙大帝ゴッドシグマ1980(昭和55)3月19日から1981(昭和56)3月25日
百獣王ゴライオン1981(昭和56)3月4日から1982(昭和57)2月24日
六神合体ゴッドマーズ1981(昭和56)10月2日から1982(昭和57)12月24日
戦国魔神ゴーショーグン1981年(昭和56年)7月3日から同年12月28日
最強ロボ ダイオージャ1981(昭和56)1月31日から1982(昭和57)1月30日
銀河旋風ブライガー1981(昭和56)10月6日から1982(昭和57)6月25日
銀河烈風バクシンガー1982(昭和57)7月6日から1983(昭和58)3月29日
銀河疾風サスライガー1983(昭和58)4月5日から1984(昭和59)1月31日
太陽の牙ダグラム1981(昭和56)10月23日から1983(昭和58)3月25日
超時空要塞マクロス1982年10月3日から1983年6月26日
超時空世紀オーガス1983年7月3日から1984年4月8日まで
超時空騎団サザンクロス1984年4月15日から同年9月30日まで
機甲艦隊ダイラガーXV 1982(昭和57)3月3日から1983(昭和58)3月23日
戦闘メカ ザブングル1982(昭和57)2月6日から1983(昭和58)1月29日
魔境伝説アクロバンチ1982年(昭和57年)5月5日から同年12月24日
装甲騎兵ボトムズ1983年(昭和58年)4月1日から1984年(昭和59年)3月23日
特装機兵ドルバック1983年10月7日から1984年6月22日まで
聖戦士ダンバイン1983年(昭和58年)2月5日から1984年(昭和59年)1月21日
機甲創世記モスピーダ1983年10月2日から1984年3月25日全長:2,050mm
銀河漂流バイファム1983年10月21日から1984年9月8日まで
亜空大作戦スラングル1983年1月24日から1984年1月27日まで
光速電神アルベガス1983(昭和58)3月30日から1984(昭和59)2月8日
「今の子は「スーパーロボット大戦」で辛うじて知ってるラインナップなんだろうな」
「うん。それこそオタク第1~2世代くらいなら、このリストを肴に三日三晩語り合えるだろう」
「そりゃアニメオタクだけだ」
「次に富野監督のフィルモグラフィーの抜粋」(Wikipediaより)
鉄腕アトム(テレビシリーズ 1963年-1966年)- 脚本・演出
海のトリトン(テレビシリーズ 1972年)- 総監督・脚本
勇者ライディーン(テレビシリーズ 1975年-1976年)- チーフ・ディレクター(前半のみ)・演出・絵コンテ
ラ・セーヌの星(テレビシリーズ 1975年)- 監督(後半のみ)
無敵超人ザンボット3(テレビシリーズ 1977年-1978年)- 原作・総監督
無敵鋼人ダイターン3(テレビシリーズ 1978年-1979年)- 原作・総監督
機動戦士ガンダム(テレビシリーズ 1979年-1980年)- 原作・総監督
伝説巨神イデオン(テレビシリーズ 1980年-1981年)- 原作・総監督
戦闘メカ ザブングル(テレビシリーズ 1982年-1983年)- 原作・監督
聖戦士ダンバイン(テレビシリーズ 1983年-1984年)- 原作・総監督
重戦機エルガイム(テレビシリーズ 1984年-1985年)- 原作・総監督
機動戦士Ζガンダム(テレビシリーズ 1985年-1986年)- 原作・総監督
機動戦士ガンダムΖΖ(テレビシリーズ 1986年-1987年)- 原作・総監督
機動戦士ガンダム 逆襲のシャア(劇場用作品 1988年)- 原案・監督・脚本
機動戦士ガンダムF91(劇場用作品 1991年)- 原作・監督・脚本
機動戦士Vガンダム(テレビシリーズ 1993年-1994年)- 原作・総監督
「海のトリトンは聞いたことがあったけど、鉄腕アトムやってたんだ」
「白黒の方な。富野監督といえば虫プロ出身者としても有名なので当然だろ。ガンダムとイデオンのテレビ編集映画は長くなるんでリストから省略してる」
「やっぱりこの辺が目立つな」
無敵超人ザンボット3(テレビシリーズ 1977年-1978年)- 原作・総監督
無敵鋼人ダイターン3(テレビシリーズ 1978年-1979年)- 原作・総監督
機動戦士ガンダム(テレビシリーズ 1979年-1980年)- 原作・総監督
伝説巨神イデオン(テレビシリーズ 1980年-1981年)- 原作・総監督
「うん。全く休みなしに次々とだから超人的だ。ちなみに絵コンテ千本切りなどと呼ばれて絵コンテを凄まじい勢いで描きまくったエピソードは有名だし、細かい仕事は幾らでもあるからほんの一部だと思った方がいいな」
「このころ富野監督って年はいくつくらいなんだ?」
「四十代のバリバリだ」
「やっぱ昔の人は違うなあ。俺たちゆとり世代とは違うぜ」
「その更に前にはモロに『戦中派』みたいな人たちが戦後復興してくれてたんだからひょろひょろで青白いオタクが美少女アニメ観るために夜更かししてる現状からは考えられん逞しさがあると言えるな」
「み、耳が痛い…」
「「超時空要塞マクロス」は史上初の『アニメ観て育った世代が作ったアニメ』と呼ばれたらしい」
「こんな時代にもうか?」
「ああ。これは高橋良輔監督だが、「装甲騎兵ボトムズ」の「バトリング」が戦後すぐの焼け野原になった日本で進駐軍が古いジープをぶつけて戦ってる野蛮な競技を観て思いついたらしい。正に実体験に基づくものだな」
「な、生々しい…」
「これに限らんけど、「実体験、もしくはアニメ以外の別ジャンル」をアニメに置き換える…ことでオリジナリティが出たりするのは間違いないだろう」
「そ、そうだな」
「実際、映画業界から流れてきたクリエイターは多い。表現の先進性とかは結構えぐいぞ。これは特撮ものになるが、刑事ドラマの脚本で慣らしたベテランが、刑事ドラマの本数が減ったからそれを特撮に置き換えて人間ドラマを展開している例もある」
「…子供向けの着ぐるみ30分番組だよな?」
「そこが日本の子供向けコンテンツの侮れんところさ。だが、今じゃ
* * * * *
『アニメ観て育った世代が作ったアニメ』を観て育った世代が作ったアニメ
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ばかりになってるとも言える」
「早口言葉みたいだが、言いたいことは分かる。てかあと2~3回は繰り返した方がいいアニメなんかも出始めてないか?」
「露骨なパロディとかだな。エヴァ編で語りたいが、少なくとも上記リストのロボットアニメなんかで「アニメのパロディセリフ」みたいなのは無いと思うぞ」
「あー…ないな」
「実は『聖戦士ダンバイン』において、早くも「黒い三連星」パロディキャラを自ら出してたりするんだけどな」
「え?そうなの?」
「だが、今もって特に話題にはなってないし糾弾する流れでもない。軽くスルーで「ま、仕方が無い」ってところだ」
「む~」
「『アベノ橋魔法商店街』あたりになると「オレを踏み台にした~!」くらいは当たり前に言ってて特に解説も無い。まあパロディに解説つけるのは野暮の極みだが、何とも洗練されて閉塞されたことよのう」
「…ゆとり世代だとバカにされるかもしれんが、オレはそういう「分かる奴だけ笑えればいい」ってなアニメとかありだと思うぞ。そういう世代にだけ訴えることを考えてもいい。大体大人が押し付けてくる娯楽になんぞロクなもんはねえよ。説教臭くて退屈で…「俺たちの」アニメや漫画、ゲームを、同世代か少し上のクリエイターに作ってもらって楽しむのがそんなに悪いか?」
「…実は構造は良く似てたりする」
「何だって?」




