ジブリアニメについて その3
1 1986年8月2日 天空の城ラピュタ
2 1988年4月16日 となりのトトロ
3 火垂るの墓
4 1989年7月29日 魔女の宅急便
5 1991年7月20日 おもひでぽろぽろ
6 1992年7月18日 紅の豚
7 1994年7月16日 平成狸合戦ぽんぽこ
8 1995年7月15日 耳をすませば
9 1997年7月12日 もののけ姫
10 1999年7月17日 ホーホケキョ となりの山田くん
11 2001年7月20日 千と千尋の神隠し
12 2002年7月20日 猫の恩返し
13 2004年11月20日 ハウルの動く城
14 2006年7月29日 ゲド戦記
15 2008年7月19日 崖の上のポニョ
16 2010年7月17日 借りぐらしのアリエッティ
17 2011年7月16日 コクリコ坂から
18 2013年7月20日 風立ちぬ
19 2013年11月23日 かぐや姫の物語
20 2014年7月19日 思い出のマーニー
「崩壊って…」
「既にアニメ部門で新作を作らないことを発表したろうが」
「確かに」
「表立っては誰も言わんが、凋落傾向は明らかだった」
「いや、この頃のジブリはつまらないくらいは言ってただろ」
「なら聞くが、どの辺が折り返し地点だと思う?」
「そうだなあ…やっぱり日本新記録を作った「千と千尋の神隠し」が頂点で後は落ちる一方って感じか」
「恐らくは最も一般的な見解がそんなところだろう」
「何か問題でも?」
「この際ハッキリ言ってやる。スタジオジブリってのはな「天空の城ラピュタ」の余韻で持ってた会社なんだよ」
「…また四方八方にケンカを売るようなことを…」
「いや、間違いないね。巨匠・黒澤明監督は晩年に「八月の狂想曲」やら「まあだだよ」なんかも撮ったが、何を撮っても「又その内『用心棒』とか『七人の侍』みたいな映画を…」と言われるんで相当イライラしてたらしい」
「それと同じだってのか?」
「ああ。そもそも「となりのトトロ」の時点で引退する引退する言ってた人だぞ?もう描きたいものなんて残ってないのに無理やり引き留めてたんだ」
「余韻って何だよ」
「要するに『ジブリの新作映画らしい!また「ラピュタ」みたいなのが観られるかな?…今回は違った…』ってのを繰り返してただけだ」
「…何でラピュタなんだよ」
「お前だって一番面白くて好きだと言ってただろうが」
「他にもあるだろうが」
「じゃあ言ってみろ。具体的に何がある」
「何って…「もののけ姫」とか」
「(ためいき)みんな言うけどさ、本当に「もののけ姫」面白いと思ってんのか?」
「またお前の「実はつまらん」論かよ。聞き飽きた。客が楽しんで観てんだから構わんだろうが。それにこの映画は当時の日本映画の興行収益記録を作ってるじゃねえか」
「これこそ余韻さ。『魔女宅』『紅豚』と来ての超大作新作となりゃ「ガンドレス」流したって客は来るんだよ」
「ムチャクチャなことを言うな!」
「じゃあ聞くが、「ラピュタ」が無かったら単独で「もののけ姫」観たか?」
「え…それは…」
「映画として力作なのは否定せん。民俗学的な記号・暗号的にも興味深い大作だ。内容的にはむしろ「ナウシカ」の和風リメイクとも言える」
「野性的なナウシカに言葉を喋る王蟲、何故か主役はアスベルになってるが大海嘯に和風クシャナ殿下か…」
「冒頭の巨大イノシシ暴走なんて、ナウシカの王蟲暴走と構造までそっくりだ。映画版に登場しなかった「森の人」風味も出演してる」
「たたら場の小屋のことか?…まあ、そう言えなくもないが」
「何度も言うが「つまらんから」否定するみたいなことを言ってんじゃない。人体破壊描写についても別に構わん」
「あーあれな」
「漫画版ナウシカなんてもっとエグイ描写だらけなんだがな。ともかく日本の「アニメ映画」の悪いところがかなり出てる問題作だ」
「どんな」
「すっきりしないんだよ。アシタカの呪いは結局解けないし、エボシ御前はあの悲惨なありさま。何も解決してない」
「(考えている)…しかし、ことジブリに関してはお前の批判をクリアしてると思うぞ。これまで映画として王道のエンターテインメントばかり作ってきた。たまには問題作もいいだろ」
「まあ、そういう言い方は出来る。とにかく「ラピュタ」みたいなのを観たい!と思ってたお客はまた裏切られることになる」
「裏切りねえ…」
「「となりのトトロ」は日本を代表するキャラクターだろう。しかし、「風の谷のナウシカ」で魅せた臓腑を抉る様なハードでシリアスな描写なんぞ欠片も無い」
「いや、そういう映画じゃないだろ」
「だから「箸休め」としてならいいよ。乳幼児に毛が生えた様な子供に見せるには最適だ。だが、大人の鑑賞に堪えるかと言われれば…な」
4 1989年7月29日 魔女の宅急便
「ここで魔女宅か」
「ちなみに「AKIRA」の翌年にあたる」
「スゲエ年代だな」
「周辺事情で言うと、遂にここで文部省推薦を取り付けた」
「へー」
「娯楽エンタテインメントでこれは快挙と言える。まあ、映画版「ノストラダムスの大予言」ももらってたから基準が良く分からんが」
「…」
「知人の言葉を引用する。『この時は喝采したよ。前年の「AKIRA」で地獄を観た。友人たちと連れ立って隣町まで20キロを自転車で駆け抜けた。楽しくてたまらない夏の日だったが、帰りは誰ひとり口も利かない。ゲロが出そうでクソつまらんし、下手すりゃ「誰がこんなもん観ようとか言い出したんだ」みたいな険悪な雰囲気だった』…とさ」
「ものの価値の分からんガキどもだ」
「子供であれ観て面白いと言えるとは到底思えん。だが、当然ながら「魔女の宅急便」は大満足したってさ」
「ふーん」
「まあ、及第点の娯楽エンタテインメントだ。少なくとも値段分の楽しさは保証してくれる」
「えらそうに」
「批評する際には自分の事は棚に上げるのがルールだ」
「そういうもんかね」
「そりゃそうだ。でないと映画監督でないと映画を批評できなくなるぞ。ともあれ、起承転結もラスたち(ラストの立ち回り、一番盛り上がる部分)も綺麗に収まってた。「構成」がしっかりしてる映画だった」
「まあ、そうかな」
「とはいえ問題が無いわけでもない」
(続く)




