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城の中にある騎士団の鍛練場で、金属と金属が重なる音が響き合っていた。
そこには、身長が高く、筋肉モリモリな男たちが雄叫びを叫びながら、己を高め合っていた。
そしてそんなむさ苦しい男たちの隅で、走り込みをしている王子達が居た。
先頭で走っているのは、運動の得意なアルバート。その少し後ろを走っているのは、アーヴィル。
アーヴィルはもう、大きく十周もしているというのに、額に少し汗が滲む程度で息も整っていた。まあ、アルバートはアーヴィルの倍くらい走っているのに、汗ひとつすらかいてないのだが。もう、化け物としか言いようがないと思う。
そしてそんな兄王子達に比べ、運動が出来ない弟王子達は、木陰で倒れていた。因みに、ルシアスとシルビオは三周所か、一周しか走れなかった。
「「っはあ、はあ、はっ・・・っふはぁ、はぁ」」
横になって息が乱れている二人に、影が落ちる。
二人が目を開けると、そこにはそれぞれの主命な、忠実なる(変態)執事達が此方を覗いていた。
「メ、イ」
「けい・・・ん」
ルシアスとシルビオは、それぞれの執事の名を呼んだ。執事達は、「はい」と答えて二人に近寄った。その瞬間、起き上がる気力さえ無かったルシアスとシルビオは起き上がり、ズザザッと後ずさった。
なんか、今非常に危険な気配を感じたのだ。その危険な気配とは、はあはあと走ってもいないのに息をあげ、何故か目が血走っている執事達だ。
「あぁ、ルシアス様何故逃げるのです?もしや、これがあの噂の放置プレイっ!?ですが私めは、そんな事より・・・汗をかいたルシアス様の、お着替えをお手伝いしたいのですっ!!」
「メイソン、それ放置プレイじゃないわよ。そしてシルビオ様は何故アタシから、逃げるの?さぁ、そんな汗をかいて・・・このアタシが持ってきた服に、き・が・え・ま・しょっ!!」
その二人の手に持っている衣装を見た瞬間、ルシアスとシルビオは顔がひきつった。
そこにあるのは、シルビオの執事であるオカm・・・ごほんっ。お姉さま、ケインが作ったフリフリの女物のドレスだった。
ジリジリと近付く変態達。
そして後ずさる王子達。
後ずさる王子達は、いよいよ後ろにある木にぶつかってしまう。前には、息の荒い変態。後ろには、木。もう、逃げ場がない。
シルビオは涙目のまま、ルシアスの胴にぎゅっと抱きつく。ルシアスはそんなシルビオの背中に、手を回す。
「ウフフ。二人とも怯えちゃってぇ、可愛い・・・。シルビオ様そんな泣かなくても、女装も芸術のうちのひとつよ~?」
「泣いて、ないっ!!そんなの絶対に着ないっ!!芸術だなんて認めない、から・・・っ!!」
シルビオは真っ赤になりながらも、オカマに猫の様に威嚇する。今にもフシャーッ!!と聞こえてきそうである。
そしてそんな可愛いシルビオの横で、「怯えている、ルシアス様も・・・良ぃ・・・っ!!」と悶えている変態がまたもやくねくねと悶えていた。ルシアスは反射的に氷よりも冷たい目線をその変態に向けた。
その目線に気付いた変態は鼻血をダラダラ流している。それにぎょっとし、ルシアスはいまだに威嚇をしているシルビオに抱きついた。
鼻血ダラダラな変態と、不気味な笑みを浮かべているオカマが、いよいよ二人の服に手をかける。
その日、城中に誰かの悲鳴が響いたという。
ここで、シルビオの執事が出てきました。
ルシアスの執事は、マゾな変態。
シルビオの執事は、オカマな女装好き。
ほんと、マトモな執事が居ない。ごめんよ王子達。作者は、こういうのが好きなんだ。
因みに兄王子達の執事は、後々出すつもりです。