その日、私の人生が終わった。
至って普通のどこにでもいる、高校生だ。ひとつの事を除けば。
私こと、左藤光は自分で言うのは、あれだが・・・女子高で悪役王子と言われていた。
由来は、演劇部で数少ない男役をやり、必ず王子の好敵手の隣国の王子をやらされる事が多かったから。
そして、何よりも私自身の容姿にも関係していた。
さらりとした黒髪に、目付きの悪い目元。眉は手入れをしていなくても、美しかった。
そして自分ではそんなつもりは無いが、友人曰く見下されているかの様に、錯覚するようだ。
薄い唇は、きゅっと不機嫌そうに引き結ばれており、その横には黒子が色っぽく存在を主張している。
そんな悪役紛いな容姿だったが、目鼻立ちはハッキリと整っておりやけに変なファンが多かった気がする。
主に『罵って!』『見下して!』『蔑んで!』と三拍子で頼まれるのが多かった。
身振りは王子そのもの。演劇で、先輩が厳しく指導したせいか、染み付いて取れなくなってしまったのだ。
口調も、男言葉になってしまう。
他にも、三拍子で演技を頼まれた時に、自然と悪役王子になりきってしまう程に、演技馬鹿でもあった。
取り巻きも何故か居たな。そういえば・・・。
何時も、私の三歩後ろにゾロゾロと。
そして、そんな風に高校生活を送っていたら、刺された。
主役の方の王子のファンの少女に。
あぁ、まだ死にたくない―――。
そんな事を思うも、私の意識は暗闇に呑まれていった。