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FPSの世界よりAIMをこめて

作者: 胃の中の蛙

 FPSをやっていると、「敵に撃ち負けたのはAIMが悪いからだ」と思うことがある。

 酷いAIMだな。AIMの練習をした方がいい。もっとよく狙え。

 なんて言われたり、自分自身に言ってみたりする。


 ところで、AIMとはどういうものなんだろう?


 敵を狙うことなんだろうか?なるほど、敵の頭に赤いドットを持って行ってクリックする。

 ばん!ハズレ……ばん!ハズレ。


 照準の赤いドットがチョウチョのように敵の頭の周りでふわふわ飛んで、ヘルメットにピタリと張り付いた時にクリックしても、弾が出た時にはふわふわ飛んでいる状態に戻っているのだ。


「そのクソAIMなんとかしろよ」なんて言うなかれ。

 好きでやってるわけじゃない。好きにやっていいなら百発百中だ。

 くっそ!土下座させてやるからな!銃剣で作った針山の上で。



 違うのだ。当たるAIMは良いAIMで、当たらないAIMは悪いAIMである。

 なんと別物。表裏一体どころか双子ですらない。

 どこらへんが違うかというと、予測がどのくらいあるかってこと。悪いAIMにはあんまり無いの。


 脳が射撃開始!って叫んでも、指まで聞こえてからしか動かないし、指の筋肉も脳の動きからするとゆっくり動いてる。

 だから、もうそろそろ赤いドットが頭に止まるなって思ったら、タイミングをはかってクリックしなければならない。

 この時プレイヤーは未来の敵に向かって射撃している。



 そこにちょっと関係を及ぼす反射神経。

 反射神経を学校で計ったのを覚えているだろうか?

 あの細長い棒が落ちた瞬間につかむというやつだ。女の子もあの硬い棒をギュッと掴んだのだ。


 思い出しただろうか?

 あの棒には男子の汗も混じっている。手からにじみ出る汗が、あの硬い棒の表面でこすれあった。あの時に流れる汗と同じ汗が男同士で交じり合った。



 悪いAIMは反射神経に全力で頼っている。

 じゃあ、良いAIMではどうかな?と考える。これがさっきのタイミングをはかる所につながる。


 反射神経が悪い人は、より早いタイミングでクリックの判断を下さなければならない。

 これはつまり、反射神経が悪い場合、より未来の敵の位置を予測しなければいけないことになる。



 予測……なんだか面倒くさい単語に見える。特に他人から言われると厄介極まりない。

 大抵の場合は、「考えろよ」みたいなバカにした影の声がおまけにくっついてくる。


 でも大丈夫、FPSのプレイヤーってあんまり考えてない。ちょっと言い過ぎたかな?

 正しく言うと、僕が思うにFPSのプレイヤーってホトンド考えてないと思う。一対一だと特にそう。


 え?なぜかって?撃ち合いが始まると、次の瞬間には勝負がついてるから。

 うまくなればなるほど戦闘時間は短くなる。そこには考えながら戦う余裕なんてほとんどない。


 どの選択を取れば勝ちやすいか、そういうのを2~3個の中から選ぶだけ。そういうのもゲームが始まる前に考えがまとまっていたりする。


 予測とは戦い方で、他人からパクれるということ。大会のリプレイだとか動画だとか色んな所に落ちてる。

 なーんだ、考える必要ゼロじゃん。



 だけど僕が思うに、AIMとは、まだここで立ち止まれるものじゃない。

 そして、ここからが僕が思う本題。AIMとはなんなのか。正確にはAIM練習とはなにか。



 自転車に乗った時、歩行者だとか段差とかに注意すると思う。車も危険だ。

 ところで、最初に自転車に乗った時はどうだっただろうか?そんなことに注意を払えたかな?

 違うはず。そんなことを考える必要ない所で、転ばないようバランスを取ることに集中したはず。



 脳みそというのは万能ではなく、わりと低い限界をもっていて、注意や集中というものは、その脳を酷使する作業だということが言いたい。

 歩く時に、走る時に、自転車をこぐ時、クルマを運転する時、手足をしっかりと意識して動かしたりはしない。

 そうしたいと思えば、体は自然に思ったとおりに動いてくれる。


 そうした無意識の運動は小脳の役割になる。無意識に任せてしまえば注意しなくても良くなるのだ。



 AIMとは無意識の内に敵を狙うことだ。

 集中して狙うのではない。集中するという脳の力は、他の事のためにとっておかなくてはならない。


 では何に集中するのかというと、敵の周りの情報だ。戦況もそうだ。

 そういったことから、相手の行動に対してフィードバックして、相手の行動の予測を高めることに使う。


 周りの情報は敵を倒す以外にも、自分を安全な場所に置くことも教えてくれる。

 撃ち合いに集中していたら、横から敵に撃たれて死んだ。

 そういうことを避けるのも、AIMから必要ではない注意をひっぺがして、状況判断に注ぎ込めるおかげだ。



 実のところ、マウスを適切な力でクリックするだとか、ブラウザを閉じるバツマークを押すだとか目隠しをしていても何となく出来るマウス操作はいくつかある。

 そんなに難しかったり無理を言ってるわけでは無いけど、面倒くさいよね。

 かったるい。やるきになんねえなあ……


 でも、そういう目を閉じて狙ったところへ照準を動かしたりできるかといった練習を一ヶ月くらい続ければ、キルデスレシオ3は取れるんじゃないかな?

 僕は必死に我慢して一週間くらいやってみれば、成績があがり勢いがついた。

 それでなんとか50日位は続いた。



 ただ、AIMの先はまだありそうだと思う。

 たとえば、頭は必ず胴体の上にある。それも肩と肩の真ん中にある。

 つまり、胴体が見えればいい。相当ぼんやりと画面を眺めていても頭を狙えちゃう。

 胴体を見ていたほうが相手の視線もはっきりわかる。



 本当にキリがない。

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