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中抜き

 人の世は夏休みというものらしいわ。


 毎日、子どもたちが誰かは家にいるの。


 

 はっきり言って、ちょっと煩いわね。


 

 だから、なるべく同じ部屋にはいないようにしているわ。特にハナがいる時には!


 三人とも体は大きくなったけれど、まだまだ子ども、お姉ちゃんに宿題の進み具合を時々チェックされるみたい。


 いつもは


「今日の分の宿題、終わった?」


「終わったよ!」


 の、やり取りだけなんだけど、今日はアオとユウはお姉ちゃんに宿題の提出を求められているようね。



「宿題見せて。」


「今日の分は終わってるよ。ほら!」


「いいから、そのプリント集と各問題集を持ってきて!  ユウも!」


 

 アオは終わったページを広げてお姉ちゃんに見せながら、宿題してるよアピールをしているけれど、絶対にそのプリント集を手放さない、そのアオの態度をお姉ちゃんは見ているらしいわ。


 しばらく続いた攻防のすえ、アオはプリント集をお姉ちゃんに手渡したわ。

 アオがお姉ちゃんに勝てるわけないのにね。ぐずぐずとごねるアオにお姉ちゃんの怒りのオーラが強くなってきた頃、アオが諦めたの。


 そして、アオがユウを呼んできている間にアオが出さない宿題の問題集もお姉ちゃんはさっさと集めてしまったわ。


 わたし、猫だから、人の文字はよく分からない。

 だけど、何か書いてあるのと、何も書いてないのくらいは区別はつくわ。

 目はしっかり見えるもの。老眼ではないの。


 アオとユウがちょっと気まずそうにお姉ちゃんの前に揃って、第一声。


「間のページが抜けています。」


 お姉ちゃんがアオの宿題のプリントをぱらぱらとめくって見せているわ。

 アオったら、最初のページと最後の方のページしかしてないのよ。

 呆れた。バレるに決まっているじゃない?

 他の問題集も全てそう!最初と最後しかしてないの。

 なぜ、これで乗り切れると思うのかしらね?


 ユウもそう。ユウの問題集は教科がまとめてあるらしいのだけれど、ページ数が多い教科は途中を飛ばしているの。

 兄弟だから同じようなことをするのかしら?


 アオとユウがお盆にもらった特別お小遣いで買った、新しいゲームで遊ぶ禁止令がお姉ちゃんから発令されて、二人ともしょんぼりしているけれど、仕方がないわよね!

 


 夏休み恒例のお姉ちゃんと子どもたちのかし合い。アオとユウは上手くお姉ちゃんを誤魔化せたつもりでも、結局はいつもバレることに、そろそろ気づいた方がいいと思うの。

 貴方もそう思うでしょう?



 わたし?


 わたしのイタズラがお母さんにバレた時には耳を伏せて、顔を片腕で隠すことにしているわ。

 わたし、その時だけは耳が遠くなっちゃうの。

 そうしたら、お母さんはわたしを抱きあげて、わたしの顔を両手で押さえてから、長々と話をするのよ。


「知らないフリをしません。」


 大抵はそのセリフから、話が始まるの。これで始まると長いのよねぇ。


 お姉ちゃんは


「ポンすけ、こんなことしたらダメだよ。」


 で、終わるから楽なの。

 お姉ちゃんはわたしを捕まえてまで、怒らないから、お姉ちゃんにイタズラが見つかった時にはさっさと外回りに出かけることにしているわ。


 わたしがどんなイタズラをするかですって?


 貴方、レディのプライバシィを覗くようなことをしては品位を疑われるわよ。

 注意してちょうだい。


 

 それでは、ごきげんよう。






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