逢いたいヒト
わたしの家は桜並木の坂の上にあるの。
素敵でしょ。
りっぱなレディに相応しいわよね。
桜並木の坂を登りあがり、ユウがご機嫌で帰ってきたわ。
「ポン! ただいま。 ねぇ、今ね 坂の途中で白いヘビに会ったんだよ。目が赤くて、かわいかったよ。」
白いヘビですって!?
わたしだって逢ったことがないのに!!
わたしは急いで白いヘビを探しに行ったわ。
でも、逢えなかったの。どんなに探しても白いヘビは影もカタチもなかったのよ。
「やぁ やぁ。 あれ? なんだかご機嫌ナナメかな?」
カースケが来たわ。いくら恩人とはいえ、今日は相手をしたくない気分。
りっぱなレディは繊細なの。
紳士ならレディの気持ちを察して、さっさと帰ってほしいわ。
「えー。 ムシしないでよ。 悲しいなぁ。」
しつこいオトコは嫌われるのよ。どんな生き物だって同じなのに、知らないのかしら?
「悩みごとでも、気になることでも、このカースケに相談してみなよ! オレはキミの倍以上生きているんだぜ。」
そうだったわ。この鴉、鴉のなかでも一番の長老だって言ってたかしら。
本当かどうかは知らないけど。
「ふぅ。 じゃぁ、貴方を信じて話すけど、うちの子が白いヘビに逢ったって言ってたの。貴方は逢ったことあって? 」
「んー この辺りの白ヘビだったら、イノチのことかな? オレは三回逢ったことがあるよ。 あの蛇、滅多に出てこないんだよ。 それなのに人間の前に出て来るのって、相当珍しいぜ。 その人の子、よっぽど気に入られてるのかもな。」
「……そうなのね。 イノチ……逢ってみたいわ。 教えてくれてありがとう。」
「どういたしまして。 オレは頼りになる鴉! 悩める時には頼ってくれ! 相談のるぜ~。 カァァ カァァ。」
世の中、まだまだ、わたしの知らないことは沢山あるみたい
わたしは17歳のりっぱレディ
日々、退屈しないで過ごせているわ




