第一話『ハジマリ』
新作です
少しのミステリー要素?とか、村中心の怖い系になります
車に揺られて森の細道を走っていく。窓の外を眺めながら自然が広がる景色
「もうすぐ着くぞ」
お父さんの声が聞こえたのと同時に光が視界を遮り手で覆ってしまう
やがて、覆っていた手を下ろすと村が見えてきた。お父さんがこの村に引っ越そうと言われて、着いてきた
お母さんは幼い頃に死んでお父さんと二人だけで暮らしていた
「拓哉。どうだ?」
お父さんに言われて景色を見ながら
「良いと思う……よく見つけたね」
お父さんは微笑みながら
「この村の過疎化で人口を増やそうと役場等が一丸となって紹介していてな、お父さんも見て来てみたら……のどこかで景色の良い村だったから、拓哉にも見てもらたくてな……
それに……落ち着いて過ごせるだろ?」
俺は少しだけ頷いて
「……別に無理しなくても良いのに……」
お父さんは笑って
「でも、嬉しいだろ?」
窓の景色を見て
「そうだね……」
それだけ答えた
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家に着いたのか車が止まり、降りる。大きめの家でこの村にしては似つかわしくない外見……
「お父さん。村長さんの所に挨拶に行くから村、回ってきたら?。探検みたいにさ」
確かに……見て回るのも良いとは思う。知っていた方が良い時だってあると思うから
「分かった」
昭和六十年の七月。もうすぐ夏という時に引越し。学校は正直行ってなかったし、お父さんはその事に対しては何も言ってなかった
原因もあるけど……俺自身の心の問題もあったからだ
だから……夏休みに入る前に引っ越す事に。幸いにもお父さんはフリーのカメラマンで知る人ぞ知る有名だからお金には困ってなかった
だから引越しの事にも問題は無かった
街とは違い静かで自然の空気なのか心安らぐ感じで、居心地は良いとは思った
田んぼと田んぼの間の舗装されてない道を歩いて、村特有のお地蔵さんや祠、点々と木造の一軒家が並んでいて
その多分、真ん中らへんの場所でどっちに進めばその家、目的の場所が分かる看板、文字は霞んでいて見えにくいけど……それも古びていて村特有の雰囲気があった
人と人はすれ違い、会釈や挨拶をしてくれる。俺は答えるようにして挨拶をして進んで行った
暫くすると森の中、自然の中の神社の前に。これも古びては居るけど立派な鳥居と奥に見える神社の社
住んでるかは分からないし、神主とか居るかは分からないけど……中に入り社の前にまで
「いい絵が掛けそう……」
振り返り村全体が見える景色まで行くと風が舞い上がって
「……流石はお父さん」
景色の良い村全体が見えた
「でねぇ……て、新しい人?」
声が聞こえて振り返ると二人の少女……一人は黒髪のロングストレートの俺と同じくらいの身長の子と黒なのは黒だけど白の混じったメッシュの様な髪色した子が歩いてきたのか立ち止まって俺の方を見ていた
俺は会釈すると
「ねぇ、ひょっとして今日引っ越してくる人?」
黒髪の少女に言われて
「間違いが無ければ……」
そう答えると
「やっぱりー。と、私は皐月玲奈」
そう言って手を差し出してきて、俺は困惑してると
「玲奈……流石に馴れ馴れしいから……
私は表裏零……」
大人しい感じの黒に白のメッシュの子がそう言う
「俺は……暁拓哉……この村に来るのは初めてで……」
言葉に詰まる。人と話すのはまだ慣れてない……
それが分かったのか
「てこは初めてだから案内しないとね。零はどう?」
彼女は俺の方を見て
「玲奈がしてて……私は妹を見ないといけないから……」
そう言って神社の方に向いて歩いていく。という事は住んでる……のかと思うけど……
「零は妹と一緒に暮らしてるの。妹も零と同じでそっくりだけど……髪色が零とは反対なのよ。病弱で零は何時も心配して傍に居るんだ」
そう説明してくれて
「と、村の案内しよっか?」
俺は答えを探しながら
「一人で……見て周りた……い」
そう言うと
「そっか。うん。その方がいいと思う。それに……同じ年齢だと思うから、ひよっとしたら学校とかで会うかも?
それじゃあね」
彼女は手を振りながら歩いて行ってしまう。お言葉に甘えて案内してもらった方が……
でも……
「駄目だなぁ……」
それに学校……この村にもちゃんとあるのか……
「お父さんならなんて言うかな……」
フラッシュバックする記憶。首を振り前へと向くと
「……」
何時の間にか知らない少女が下から見上げる様に立っていて慌てて尻もちを着くと
「見ない顔だね。でも、何だか不安そうな感じだね?」
白に黒のメッシュ……白のワンピースにサンダル……彼女が玲奈さんが言っていた子なのか……?
「安心して。この村は全てを受け入れてくれるから。心の拠り所も与えてくれる素敵な村……ただ、ルールがあるの」
彼女抱えている日本人形を見せて
「雛菊様。この子に危害を加えては行けない。丁寧して優しくしてあげれば……きっとその不安そんな感情を和らいでくれると思う」
そう言って笑みを零し
「私は表裏澪。よろしくね」
そう言って歩いて神社の方に
「……」
困惑しながら立ち上がり俺は歩いていく彼女を見た。何処か不思議で不気味な彼女の後ろ姿……
どうしても違和感……得体の知れない不安感が彼女に残っていた
「帰ろ……」
家に帰る事にした
今回は不慣れなので大目に見てもらえれば……幸いです