表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
99/119

第98話 細剣

 4年前、ラグナ一行に大魔族が討伐されたが、魔族の残党に国は苦戦していた。その日も普段とは変わらなかった。


 「........」

 街にはいつも通りの平和が続いていた。そして、その時既に王都では失踪事件がいくつも起きていた。



 「また子供がいなくなったんだってさ」

 「怖いね.....うちの子は大丈夫かな.....」

 平民の話が巡回中のヴォルガーの耳に入ると、同期の騎士がヴォルガーに話しかける。

 「怖いね、こういうことは騎士のみんなで解決しないと!」

 今でこそ門番の彼ではあるが、昔はペアとして行動していた。ヴォルガーは少し考えると口を開く。

 「失踪事件.......誰がそんなことを......人の仕業なのか......?」

 

 平和を着飾りながらも人がいなくなる、そんな日々はずっと続いていた。

 


 〜深夜〜

 人々が寝静まると、魔族は動き出す。ヴォルガー・ハンスレットの正体は、半魔族である。

 彼の母は人間であり、母1人の育てられた。父は消息不明、討伐された可能性も高い。彼の母は常に魔族と人の共存を望んでいたが、ヴォルガーが15歳の時に死去。彼は騎士として努力し続けた。

 ヴォルガーは黒い仮面とマントを着用すると、家の外へ飛び出す。


 闇夜を月の光が屋根を照らす中で、ヴォルガーは走り出す。王都の人口の内で1割は魔族であった。

 物音がすると、ヴォルガーはそこへ走り出す。


 「........なんだお前———」

 その瞬間、ヴォルガーの剣が魔族の目の前に突き刺さる。

 「.....なんだ....魔族じゃないのか....!?」

 「今すぐにここから去れ」

 ヴォルガーの言葉に魔族は怒りを見せて能力を発動しようとするが、その瞬間にヴォルガーの剣は心臓部直前まで迫っていた。

 「もう一度警告する、ここから去れ」



 魔族は黙ってそのまま去る。ヴォルガーの夜の姿、魔族でありながら人を守り魔族を生かす。どちらの味方でもない。



 「誰.....?」

 子供がヴォルガーをその漆黒に姿を見て口を開くが、すぐにヴォルガーはその場から姿を消すのであった。




  いまだに失踪者を零にはできないが、それでも精一杯にやっていた、人間にも魔族にも、彼は感情移入していた。









 「なんだ.....今日は.....騒がしいな」



 騒ぎの元へ向かうヴォルガーが見たのは、今まさに殺され、灰へと崩壊する魔族の姿、そして屋根を伝う。1人の影であった。



 その時、時空が歪む。



 「あの者を許していいのか?」

  その声と共に、目の前に黒い服に十字架のペンダントをぶら下げていた、緑眼で猫のような縦長の瞳孔の男が現れる。


 「理由すらわからず、殺意を向ける。そんな者を野放しにしていいのか?」


 その問いに対して、私はどう答えるべきかわからなかった。

 既に失踪事件の発生を減らすことに成功し始めている。だがいまだに完全に食い止めることはできてない。おそらく魔族を殺しているのは恨みがある者なのだろう。家族を持つものも含めて魔族を殺し、ありのままに生きるか、騙し騙し生きることで、平和になるのか。どの選択が正しいのかは.....わからない。



 今ここで魔族全てを切り捨てるべきなのか。



 人ならば魔族を悪と捉え、簡単に決断できるだろう、だが私は半端な魔族でしかない。王都の魔族は今、変わり始めている。私の忠告を聞き、人を殺さない魔族が増え続けている....私は彼らの可能性....共存の道を信じたい....



 「答えなんてわからない、だけど.....俺は見過ごせるほど強くない.....」



 「つまらない答えだ、だが悪くない。授けよう、我が恩寵、細剣を」



 目の前に現れたのは、刀身が何重もの糸で構成された剣がヴォルガーの目の前に現れ、男の姿は消えた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ