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第94話 終喝

 「が.........ぁ.....ッ!!」

 全身の痛み、血がつたい揺れる視界の中で騎士たちは攻撃を続ける。マルクスは意識が飛ぶ直前で、それを根性だけで抑えていた。数の利、動きを読まれ、恩恵を消され、多重攻撃を受け、逃げることすらできないだろう。



 騎士1人1人がマルクスやヴォルガーなどに次ぐ実力をもつ、それが5人同時に襲ってくる。勝ち目がない。国が本気を出せば.....俺たちは無力だ。



 マルクスは地面に崩剣を突き刺し、地面を[崩壊]させるとそのまま引き抜き[魔剣]で地面を叩き衝撃で後ろに飛ぶ。



 地面は崩壊し距離を取ることに成功した。このまま———


 その瞬間、矢がマルクスの方に飛んでくるのを視認し、マルクスがそれを弾こうとした瞬間にジャガーが目の前に現れる。


 マルクスをモーニングスターで殴り飛ばし、マルクスは血を流しながら地面を転がる。


 痛みで震える腕を無視してマルクスは崩剣を杖に立ち上がる。指した地面はゆっくりと[崩壊]し始める。

 レルフェンスたちは逃げれたのだろうか、それにここから打開の手段は———




 その瞬間、マルクスの意識は途切れ、その場に倒れ伏すのであった。









 「はぁ......は....ぁ...............」

 息が通るたびに肺が痛い。走りつづけている。マルクスのことで、知りたいことがある。それはあの声だ。私はあの声を昔、聞いたことがある。幼い頃だったのか、それもわからない。私は私の昂るこの感情を知る必要があるから。




 森の中は先ほどと違いひどく静寂が続いて、戦闘はほとんどが終結したのだろう。リルートはマルクスを探し続け、ついにその姿をみることになる。


 手足を拘束され、口を布で塞がれた状態で気絶したマルクスを黒龍騎士達が馬車に運んでいる最中で、そして野次馬のように冒険者が囲んでいた。


 生け捕りの状態のマルクスをみて、心を締め付けられるような気持ちがリルートを襲う。接点はないはずだ。なのにこの感情は。





 「リルート、来てたのかい?」

 その声を聞いて振り返ると、そこにはエレノアがいた。全身に生傷はあるものの軽傷といったところで、大きな怪我はない。

 「エレノアさん、生きていてよかったです」

 「ああ、そっちも生きてて何よりだ、だが被害は大きいもんだよ、もう半分も人が残ってないからね」


 「敵は.....全滅したんですかね....?」

 「正確にはまだだね、レルフェンスとベンクトを逃した。捕まったのが何人かと、話によるとフォルトナは死亡が確認されたようだよ」

 


 その言葉を聞いてアモスの顔が脳裏にちらつく、あの後に何が起きたのかはわからない、だけど、アモスが何かした.....はずだ。

 リルートは冒険者たちの押しのけながら“あるもの”の所へ向かっていた。そしてその先の物を見つける。

 「あった.....聖剣........!!」


 それはマルクスの使用していた崩剣であった。直接持つことはできず、柄の部分をロープで結びぶら下げるように騎士が運んでいるのをみて、リルートは黒龍騎士に声をかける。

 「すみません....! ちょっとその剣なんですけど!!」

 黒龍騎士はそれを無視して運ぼうとすると、リルートは無理やり手を伸ばす。


 黒龍騎士はリルートから距離を取ろうとするが、その時、崩剣の刀身をリルートは掴む。



 その瞬間、ピリッと痛みが手のひらに走る。それと同時に黒龍騎士がリルートを蹴り飛ばすが、リルートは崩剣を離さず、遠くへ飛ばされて転げる。


 「おい、何をしている!!」

 通常の騎士が崩剣を蹴り飛ばすとリルートを地面へ押さえつける。

 「が.....っ!!」



 黒龍騎士はすぐに崩剣を先ほどのようにロープで宙吊り状態にして運ぶ。

 「貴様......まさかマルクスの.....!」

 騎士は怒りの表情でリルートを睨みつけるが、そこでフレッドが介入する。

 「すみません...! 俺の知り合いなんですけど....めっちゃバカで!!」

 

 フレッドの言葉で騎士はリルートを解放するとリルートを睨みつける。

 「その低俗な冒険者をしっかり教育しとけ...!」

 そう言って騎士は去っていく。


 「お前さぁ.......なんで黒龍騎士の方に近づくんだよ.....オルテガさんめっちゃ怒ってたぞ」


 「ご....ごめん......」

 リルートが自身に手に目をやると皮がボロボロと落ち、筋肉が直接見えるほどではないが[崩壊]している。


 「おいおい.....マジで次はやめろよ.....? 冗談じゃ済まねえから」

 「わかった......」

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