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第82話 別種

 かつて、この世界では魔族が存在した。人類と同じく国家を作り、文化を作り、人よりも身体能力や魔力の高かった。


 人に似た生物ではあったものの、人とは共存ができなかった。その理由は明白であった。


 〜15年前〜


 「どうか......命だけは........」

 既に火に追われ、焼かれた村には村人の死体が溢れていた。それは数人の魔族の犯行で、今まさに幼子を抱えた母親は殺されかけていた。

 


 「あのさぁ.....君は何を言っているのかな?」

 震える母親の目の前まで近づくと、魔族の女は真顔でただ、仕事のように言葉を並べる。

 「助けるなら最初からこんなことしないよね?」

 その瞬間、母親と幼子の首が飛ぶ。


 「......先客.....冒険者かい?」

 魔族の女は足音の方向を見る、そこにいたのは見たところ剣を持った軽戦士、斧を持った重戦士、そして魔法使いであった。



 「ラギー! ジャスコ!こっちに———」

 言葉を言い終えることなく、魔族の心臓部には剣が突き刺さっていた。魔族に刺さった剣を引き抜くと、魔族はそのまま地面に倒れ、灰へと変わる。

 「”ラグナ“、あと2人いるみたいだな」

 「あーそう......許せないよね.....こんなの」

 身の丈ほどの巨大な白曲刀、赤い眼をした茶髪の髪を揺らす。その男の名はラグナ。


 「あ....あのあの!! まずは生存者を探した方が...!」

 臆病ながらも魔法使いは勇気を出して言葉を発する。揺れるツインテールは彼女の心の揺らぎのようで、ラグナはそれを見て笑う。

 「それで誰か生き残っているのかな?」

 

 「え....えっと....えと!!」

 アリエスタは周りの遺体を見回すが、息がある者はいない。アリエスタが迷っているとラグナは言う。

 「あいつらがここまでやって生きている人間は見たことがないよ、あいつらは.....合理性の塊だ」


 「そ....そうですよね.....すみません.....」

 萎縮するアリエスタであったが次の瞬間、ラグナはアリエスタに向かって走り出すと剣を振るう。


 「アリエスタ! 下がれ!!」

 霧に囲まれた中で鈍い金属音、あまりに重い一撃をラグナは防御する。鋭く硬い鉄の刃を持つ魔族がそこにいた。


 「ふゆぅ.....!!」

 アリエスタが杖を構えると詠唱もなく空気の球が二つ生成されると、擦り合わされ雷が発生し始める。

 「キライド、上だ!!」

 霧の中からもう1人の魔族が現れ、ラグナに向けて拳を振るうが、キライドの一撃で2人の魔族は遠くに飛ばされ、アリエスタの雷が放たれるその瞬間、ファルメルが魔族に鎖を巻くと雷に向かって鎖を投げる。


 「ぐがああぁぁあぁあああああ!!」

 雷で弱ったその瞬間、ラグナとキライドは心臓部を破壊する。


 「これで....魔族は全部かな.....」

 ラグナはその場にへたり込むと、ため息をつく。

 「......せめて弔わないとね」

 「そうっすね」

 


 そうして4人は村人たちを埋葬するために穴を掘り始める。

 「ラグナはこの戦争....終わると思うっすか?」

 「.....終わるはず.......いや、終わらせて見せる。これ以上悲しむ人を作らないためにね」

 「そうっすか.....頑張りましょう....!」


 魔族は人を同種とは見ていない、彼らにとっては動物と同じで獲物に過ぎない。だからこそ共存などできるわけもない。家畜の豚が共存を訴えようが、処分されるだけだから。





 *****

 「結局.....魔族は人を殺すことに快楽を覚えるんだ、俺は魔族と何千体、何万体と戦ってきた......絶滅するほどにな」


 「そうなんですね....」

 リルートは口を噤んでいるとクルトは言う。

 「魔族は確かに滅んだと言っても過言ではなかった、そもそも成熟するのに20年はかかる、ここ10年までは目撃例すらほぼなかったからな」

 「.....つまり今は.....」

 「そうだ、また魔族は増え始めている。隠れていたにしても人の被害は今まで出ていなかった。まるで突如現れたかのようにな......」


 「マルクス.......とかですか....?」

 

 「それはわからない、だがやつも魔族の疑いがある、十分警戒するんだ」

  「わかりました......」




 結局のところ、リルートは考え続けていた。誰が、なんのために。自分のこの感情は何か。それを永遠に考え続けるのであった。

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