第75話 荒血の刃
「マグスキャントスエクソシアミディアスインペトムテラストーンスリング!」
床に敷き詰められたレンガが浮き始め、弾幕となったレンガが弾幕として一気に魔族達に向かって飛び出す。
正面にいる魔族が飛んでくるレンガを全て弾いてる中でレオンは手を叩くと叫ぶ。
「後ろから3体来るぞ!!」
「ああ、わかった」
その瞬間、突然クルトの目の前に魔族が現れる、おそらく透明化を解除した魔族たちはクルトの襲いかかるが、一瞬のうちに魔族たちは四肢を斬られその場に落ち、エレノアがトドメを刺す。
「よく分かりますね、見えてないのに」
レオンがクルトに聞くとクルトは自身の指をさして言う。
「俺の能力は[補聴]だからな、心音や足音である程度動きや場所が把握できる」
「そういえばそうですね、まだいけますか?」
「ああ、問題は———」
クルトはその瞬間、危機迫った表情で叫ぶ。
「全員避けろ!!」
その時、エレノアがレオンの身体にしがみつき、押し倒しながら叫ぶ。
その言葉と共にダンジョンの壁が崩れると同時に何かがクルト達の目の前を通り過ぎると地面に巨大な切れ込みが入る。
「「「ああ、そう避けるんだ」」」
壁を蹴り壊し出てきたのは白髪でボサボサの髪をした顔色のとても悪い貴族のような格好をした青年だった。声が何重にも重なって聞こえ、頭に生えた一本のツノが人間でないことを象徴しているようで青年は笑いながら言う。
「「「仕方ないよな、僕に勝てる人なんていないんだから」」」
青年が両手を前に出し、ゆっくりと右手を上げると力が抜けたように右手をおろす。
「がっ............あ.....ぁぁぁああああ!!」
その瞬間、レオンの右腕が吹き飛んだ。レオンはその場に膝を附きうずくまる。それを見た青年は口元をニヤつかせると自身の頭を抑えながら笑い出す。
「「「ああははははあ! そうだよね痛いよねぇ? 逃げ出したくて仕方がないだろう、痛くて、辛くて、熱くて、意識が飛びそうなんだよね?」」」
「——インペトムテラストーンバレット!!」
その瞬間、ラティナの詠唱が完了し、石の弾丸は青年に向かって一気に撃ち出される。
「「「無駄だよ.....無駄、無駄だからあああぁぁあぁぁぁああ!!」」」
青年が両腕を大きく振り上げたその瞬間、石の弾丸が一気に弾かれ全てが真っ二つに切り裂かれる。石の雨のように全てが地面に落ちた時、青年は困惑する。
「「「あれ......キライドは——」」」
「かかったな、馬鹿め」
その瞬間、青年の背後をとったクルトが心臓部を斧で深々と突き刺す。青年はそのまま力が抜けその場に項垂れるが、ニヤリと笑い立ち上がる。
「「「ああ、石で目眩しを作ったんだな?」」」
「っ......!!」
クルトは次の瞬間に斧を引き抜き、首を狙い斧を振るう。青年の首に斧が少しだけ刺さるが、青年は避けることをせず、クルトを後ろへ蹴り飛ばす。
「クルト!!」
エレノアはクルトを心配しつつも青年に斬りかかるが青年はその一撃を躱わすと腕をさっと振る。
その瞬間、エレノアの剣に一瞬だけ衝撃が走りエレノアは後ろへ跳ぶ。ラティナはそのうちにレオンの腕を布で止血をしている内にもクルトは立ち上がり二人で前後からゆっくり青年を取り囲む。
「確実に核に当てた筈だ.....感触はあった.....だとすると...」
クルトはダンジョンの奥に視線を移すと軽蔑するような目で青年を見る。
「お前、他の魔族の核を埋め込んだな....他の魔族が来てないのもそれが理由か」
「「「うーん、違うよ、僕はそんな酷いことはしないさ———」」」
そう言った瞬間、青年の身体が変形し、大量の“人の顔”が現れる。
「「「一度みんなを粉々にして傷にひっつけて再生しただけだよ、共闘ってやつだ」」」
「随分と気持ちが悪いわね」
恐怖ではない、怒りをこめた声でラティナは杖を構えると詠唱を始める。
「マグスキャントスエクソシア———」
「エレノア! 30秒ほど耐えてくれ!!」
「了解した!」
そうしてクルトはダンジョンの奥の方へ走り出す。
「「「逃げるなよお....!!」」」
青年はクルトの方を向くがその瞬間にエレノアは剣を振るう。
「「「が.......!」」」
青年は身体を袈裟斬りにされるが、気にすることなく青年は右手を振り払い、次の瞬間にエレノアは大きく飛ばされる。
「「「へえ、君の剣、燃えるんだ?」」」
青年はニヤニヤと笑いながら歩を進めるがその時、地面が隆起し、立っていた地面と天井で青年は叩き潰される。
血がボタボタと流れ、動かない。
「殺せた......かしら.....?」
その瞬間、隆起した地面がバラバラに切られ、青年はゆっくりと立ち上がる。
「「「死んではないよぉだって魔族だからなあ?」」」
その瞬間エレノアを無視しラティナの目の前まで一瞬で近づくと左腕を挙げるがその時腕を切られる。
「「「ああ、もう戻ったんだ」」」
青年の腕を切ったのはクルトであった。クルトはもう一撃与えようとするが、青年は右腕を振り、クルトは一瞬にして血まみれになる。
「血が.....大丈夫...なの!?」
ラティナはクルトに駆け寄るが気にすることなくクルトは立ち上がる。
「浅い........問題ない........」
「マグスキャントスエクソシアミディアスアクシリアストーンウォール!」
四人は一箇所に集まり、石の壁が生成される。青年の放つ斬撃に備えていると青年は笑う。
「「「ようやくだ」」」
その時青年が腕を振るうとクルトが叫ぶ。
「今すぐ避けろ!!」
その瞬間石の壁が一瞬にした真っ二つに切られる。ラティナは対応が遅れ、クルトが押し倒したがそれでも指が数本吹き飛ぶ。
「あああぁぁぁっ....!!!」
「さっきとは比べものにならない威力だな........ラティナ、布で抑えろ」
クルトは立ち上がり、斧を構えながら距離を詰める。既に負傷が二人、絶望的な状況の中で青年はただ一人笑い続けていた。




