第68話 ダンジョン
「.......この目.....最近全く治らないな.....」
鏡を見るとリルートの左目の時計の針は今も動き続けている。今まではしばらくすれば消えていたが、ライトとの一件以降、時計が消えないのだ。
「なんなんだろう....これ......」
.....私の恩恵はわからないことが未だに多い。
代償なのか、限界があるのか、条件なのか、どんな恩恵にも制約があるのに、私にだけは.....それがない.......?
現在16歳の春、私はこの恩恵を知ってから今までにないほど死を体験している、いや、死を体験したからこそこの恩恵を知ったんだ。こんな死の溢れたこの世界で、皆が生きているんだ。
「とりあえずダンジョンに行かないと.....」
リルートはそう言って道具箱と食料袋を手に取り、宿屋を出るのであった。
〜ダンジョン前〜
「今回攻略するために組んだのが総勢200名、50年間一度も攻略できていないこのダンジョンだ」
一人の騎士が前に出て、全員に聞こえる大声で話す。ガヤガヤとしているが騎士の声はしっかり聞こえるのでとても不思議に思いつつ、リルート達は話を聞く。
「このダンジョンには未だかつてない宝が眠っているとされている。それを手に入れるためにも皆の協力が必要であり———」
「———色々話はしてたけど....要は数で攻略するって話なんだよね?」
リルートが道具箱を漁りながらラティナに聞くと答える。
「騎士と違って冒険者なんて基礎もできない連中の集まりと思われているからかしらね、実際連携をとれる冒険者なんて少ないし、ただの数合わせよね」
「とりあえず準備ができたら行く?もう何人か行ってるけど....」
ダンジョンの入り口から既に十数人が入り始めていた。それを指差すリルートだったがアモスが首を横に振る。
「......もう少し.....様子を見るべきだと思う....」
「そうなの?」
「.....最前線はやっぱり.....危険だからね....」
「ふーん.....じゃあしばらくしたら行こうか」
〜数十分後〜
「半分くらい居なくなったし、そろそろ行かない?」
「ええ、いいと思うわ」
「ではでは行きましょうか.....ヒッヒッヒ....」
そうしてリルート達はダンジョン内に入るのであった。
磨かれた石の敷き詰められた道を歩いていると、先頭のコルクが止まる。
「そこの床は罠です、タイルを二個飛ばしてください、それと壁に手を触れないでください」
そう言ってそのタイルがわかるようにペンで矢印を書く。
「どうやって罠がわかるの?」
リルートが聞くと、コルクは答える。
「罠はいくつか特徴があるんですよ、例えば上を見てください」
リルート達が上を向くと、そこには赤く染まった天井の部分があった。
「地面は血を弾くため血痕はあまり残りませんが天井には案外残ってるものなんですよ、それ以外にも床の埃や経年劣化もね」
「へえ、これが技術士.....確かにこういう知識はあった方が便利かも....」
リルートは感心しつつ歩く、そうして罠を避けつつ、ダンジョンを歩き続けた。先の冒険者が倒したであろうスライムやグレムリンなどの死体も多くあり、それを横目に進んでいく。
「......冒険者の死体だ.......」
人の死体を見つけた、魔物の数も多くなってきている、このまま進んで大丈夫なのか不安感もあるが四人は進み続けていると、一人、隠れている女冒険者を見つけるのであった。
「大丈夫ですか.....?」
リルートは小声でその冒険者に聞くと、冒険者は答える。
「ああ.....いやまあマズイことにはなったね」
その冒険者は見た目に合わないような黒い大剣を持っており、その剣には黄色の宝石が埋め込まれていた。
「魔族が現れたんだよ、子供の頃に一度だけみたことはあったけどまあ.....やっぱり恐ろしいものだね」
リルートがゆっくり角から顔を出すと、そこには男の魔族が一人いた。
「全員あいつに....?」
「いや、それならまだ良かったよ.......他にも何人か魔族がいて、とりあえず3体はやってんだが.....」
その時、コルクは叫ぶ。
「リルート様、後ろです!」
後ろを振り向いたその時、魔族の男が腕を振りかぶった状態でそこに居た。
「な.......!?」
リルートは避けきれず、死を覚悟したその時、魔族の男は真っ二つにされるのであった。
魔族の男は力無く倒れ、身体が崩れ去っていく。そしてリルートは、一人の男を見た。
「クルトさん....!」




