第65話 火の応
「なるほど、確かにあの恩恵は[崩壊]....王都での事件とも一致するようだな」
アランはそう言ってマルクスの描かれた手配書を机の上に粗雑に置く。
「あいつは....なぜか私を狙ってるんです....なんでかはわからないんですけど.....」
リルートの言葉にアランは少し考えると答える。
「それは謎だな、今までに幹部がやられたことはない....だが話を聞くにお前の追われる理由はない.....魔族の考えていることはわからないものだな.....」
「魔族.....なんですか....?」
アランの言葉にリルートは疑問を抱き聞くとアランは答える。
「王都での死人は2000人、奴とその部下に殺された。人とは思えないほど残酷な事件だった。本当に魔族かはわかっていない。だがそれほど最低な奴なんだよ」
リルートが考えているとアランは言う。
「だいぶゴブリンも減った。明日から死体の処理に取り掛かる、準備をしておけ」
「わかりました、失礼します」
そうしてリルートはテントから出るのであった。
外を見た時、たくさんの死体にハゲワシが群がっていた。1匹1匹が死体を貪り、回収する騎士や冒険者が追い払いながらしている。リルートはそんな光景を横目に、一度休むことにするのだった。
日が明けて、リルートは死体の回収に携わっていた。落ちている沢山の冒険者や騎士のプレートを拾い、戦死者の数を確かめていく。殺害されただけならまだいい、遺体の損傷が激しい者や食われてしまった者、そんな地を歩き続けていた。
「ねえ、リルート!」
ラティナが声をかけ、リルートが振り返るといつもの強い口調で言う。
「アタシもあなたの旅に連れてってくれないかしら?」
「え、どうして?」
リルートが首を傾げるとラティナは言う。
「私はそもそもパーティメンバーがいないの! この辺で知り合いもなかなか居ないし、この際仲間にしてもらおうと思ったのよ」
「うーん.....一応アモスに相談してからにさせて」
「はあ、わかったわ」
そうして死体回収を2週間以上続け、元の草原へと戻るのであった。そうして街では勝利の宴が行われるのであった。
「戦った者たち! そしてナニリニック国の安寧を祝して———」
「「「「乾杯!!」」」」
「随分と豪勢だね〜、これをただで食べらるの嬉しいなあ!」
リルートは酒を飲みながら肉を食らい続け、一切止まる様子がない。アモスは少しずつだが食事を楽しんでいると、ラティナが隣に座る。
「隣、いいわよね?」
圧がすごい、アモスは思わずコクリと頷いてしまい、ラティナは機嫌良く酒を飲み始める。
左右を囲まれ、逃げ場のなくなったアモスはただ目立たないように食事をするのであった。
「......あれ....?」
その時、目に映ったのは一人で楽しそうに酒を飲む、ガルドの姿であった。リルートはそそくさと近づくと、一番疑問のツッコミを入れる。
「なんで誰もない席に酒注いでんの〜? 誰も来ないよ〜」
その言葉にガルドは高らかに笑う。
「そうだな!! 楽しいからだな! 勿体無いからお前来いよ!」
ガルドはそのようにいうがリルートは笑いながら首を横に振る。
「ヤダヤダ〜おじさんと一緒に飲みたくないし〜」
「そりゃ残念だぜ!! この小娘が!」
そうして会話を終えるとリルートはふらふらと歩き出してしまうのであった。
「ねえ、アモス」
「.....何?」
ラティナはすっかり酔いが周り、顔が赤らみ、今にも寝てしまいそうな目をしている中でラティナは言う。
「あなた.....一体昔に何があったの?」
「え.....?」
「あなたのことを見てると....違和感を感じるのよねぇ.....」
アモスは少し考えると、ゆっくりと口を開く。
「......昔.....愛人を冒険中に失った.....ただそれだけだよ」
「ふーん.....モンスターに襲われたの?」
「......うん、そうだよ.......」
「嘘つき.......」
そう言ってラティナはゆっくりと眠りについてしまった。アモスはラティナの言葉がよくわからず、疑問を抱いたまま、食事を続けるのであった。




