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第60話 このルール

 “手”が土煙の中から大量に現れ、リルートの腕や胴体を掴む。リルートはすぐさま火付け爪で火を放つ。

 しかし“手”の表面が焦げるほどで無力化はできていない。腕に絡みついた“手”の指を握り外し、剣で切り払う。

 「アモス! そっちにいる!」

 リルートはイロアスの指した方向を言い、アモスとメリーは走り出す。

 ラティナは詠唱を開始し、リルートは道具箱からナイフ、ワイヤー、蒸留酒を取り出し、走り出す。


 「テラストーンバレット!!」

 ラティナの詠唱で石の弾丸がそこら中の散乱し、辺りの“手”を破壊する。

 しかしそれでも幾つかの“手”は中空に浮き、剣を拾い、襲いかかる。

 四方八方から来る“手”をメリーは一度に斬り払う、その間にへヴァッジの方へ走り出し、剣を振り下ろす。


 アモスの重撃をへヴァッジは躱すがその瞬間にイロアスによる[空斬撃]が追撃を行う。

 その瞬間にリルートは周りのばら撒くようにナイフを放つ。へヴァッジは避けるがその瞬間、火を放つ。

 

 ナイフに括られたワイヤーに付着した蒸留酒に引火し一気にへヴァッジの周りは火に囲まれる。

 “手”は来ていない、アモスは更に剣撃を放つ、一撃、二撃、三撃と斬り、へヴァッジの体勢が崩れたその瞬間、アモスは重剣を振り下ろす。

 「ぐ......!!」

 へヴァッジの腕を切断し、へヴァッジが怯んだ瞬間にリルートは火の中を走り、へヴァッジの心臓を復剣で貫通させる。


 へヴァッジはそのまま仰向けに倒れると、動かなくなった———



 そう思った時、へヴァッジの服は風船が萎むように薄くなり、その身体だった所から、大量の“手”が這い出る。


 「な......デコイ....!?」

 リルートが驚いている内に、一つの掠れた声が鳴り響く。

 


 「逃げ......なさい.....」

 それはラティナの声だった。後ろを見た時、ラティナは腹や心臓部などの内臓を大量の槍で貫かれており、ラティナはそのまま倒れる。

 そしてその死体を踏みつけながら現れたのは、ゴブリン達であった。


 数は50、いや60を超える数だろうか、ホブゴブリンなどもおり、明らかに勝てるような数ではない。

 「なんでこんな.....!?」

 「…..それより早く逃げ———!!」

アモスがそう叫ぼうとした瞬間に矢を撃たれ、アモスは倒れる。

 リルートは数を確認している間に、違和感に気づく。それは1匹だけホブゴブリンよりは小さいが、普通のゴブリンよりは大きいゴブリン、あれが......ゴブリンロード......?


 その瞬間、喉に長槍が突き刺さり、リルートは倒れる。

 見えるのは空と、ゴブリンの声だけ、妙に天気がいい、数秒、また数秒暗転し、意識が途切れるのであった。


 



 「おい、リルート」

 リルートはその声で目覚めた。だる気で立ち上がる気もないが、それでもリルートはなんとか起き上がる。

 

 「なるほどね.......」

 リルートはそうボソッと呟き、狼煙の方を向く。

 「ん.....どうしたんだよ?」

 イロアスはリルートに聞く。

 

 「いや.....なんでもない........」

 リルートはそう言って、狼煙の方を見て少し考えるフリをすると答える。

 「えっと、あれって狼煙だよね、何かあったのかも知れないね......」

 「そうだな、戻るか?」

 「うーん.....一応この状況なら分かれてもいいかもね、二手にさ」

 イロアスはゆっくり立ち上がると水を飲む。

 「んーまあそれでもいいぜ、誰が戻るか?」

 「じゃあ私、アモス、ラティナで向かうよ」

 

 





 


 大量の死体、滴る血、見えるその全てが記憶に残り続ける。

 ラティナが驚愕してるが、リルートは即座にラティナに言う。

 「ラティナ! 魔法は風魔法だけにできない....?」

 「え..........うん.....」

 「アモスは私が言うまで重化は禁止ね!」

 「......わかった」

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