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第55話 “手”

 フェスはもう居ない、カランは戦闘不能。戦いが起きる度に死傷者が増えていく、私も既に死んでいる。ゴブリンロードは未だに見つかっていない.......あと何人犠牲になる?



 「次の出陣に関しては、アモス、イロアス、リルート、メリー、ラティナ、君らに対応して欲しい、第三陣で既にゴブリン達が大量に出没している。ここらで数を減らすことに集中してくれ」

 アランはそう言い、また地図を取り出して駒を進める。常に思考を止めることのないアランを見てリルートは少し感心しつつも長屋を出るのであった。


 「........アモスだったらどうする?」

 「.....どうするって......なにが.....?」

 「アモスだったらロードとしてどこに隠れるかって話」

 「.......基本はもう隠れておいて.........そうなるとやっぱりずっと奥にいるべきだよね......」

 二人はそう会話しているとイロアスが二人の間に入り肩を組む。

 「難しいことを考えるよりもっと楽しい話でもしてようぜ、今日の飯とかよ!!」

 イロアスは相変わらずヘラヘラとしている、昨日聞いたこともあり、少し返答に戸惑う。

 「とりあえず数を減らせばいいのよね〜、数匹狩ってさっさと帰りましょ?」

 五人に出来ることはせいぜいゴブリン数匹、メリーなら更に狩れるとは思うがこれ以上損害を増やしたいとは思っていない。

 



 「........なんかおかしくない?」

 アモスの言葉に一同が止まる、アモスは少し黙ると話し始める。

 「ゴブリンロードの振りをしたゴブリンがいたけどさ、それに自分たちが気付けなかった理由って.....今までそんなこんなとがなかったからだと思うんだ....」

 「それはこうやって軍勢としてくること自体初めてだからじゃないの?」

 「そう......そもそもこんなこと自体が起きない.....なんだよね?」

 「そうね、ゴブリンが人の村を襲うのは巣を壊滅された時の逃亡したような弱いものばかり、ロードの巣穴なんて潰されてもロードが逃げるような荒い冒険者なんて相当な間抜けってところかしら....」

 「いや、これは多分......誰かが誘導してる......かな.....」

 「誘導って....誰が...?」

 リルートはアモスに聞くはアモスは考えるばかりで答えない、しばらく沈黙が続きながらも歩いていると、ラティナが口を開く。

 「正面にゴブリン4匹視認、弾丸を形成する、マグスキャントス———」

 「とりあえず一旦戦闘かな.....!」

 即座にイロアスが居合を放ち、遠くにいるゴブリンの首が飛ぶ。そしてアモスが先陣を斬り、走り出しゴブリン達に近づくと重剣を振るう。

 地面を叩き割り、その衝撃でゴブリン達が僅かに姿勢を崩す。リルートとメリーが飛び出し、ゴブリン達に斬りかかる。乱戦に近い状態だが、相打ちなどは起きない。ゴブリンは剣を振るうがそれを避けると復剣で切り払う。背後はラティナの援護射撃でゴブリンを倒していく。そうして数分ほどで戦闘は終わる。

 「それじゃあこのまま待機しようかな!」

 「ああ、了解だぜ」

 そうしてアモスは野営用具を取り出す。

 「......とりあえず作ろうか」

 そうしてリルート達は野営地を作り、休息を取ることとした。


 「そんじゃ一度休憩といくか?」

 イロアスは皆に聞き、否定の意思はなく、了承をとったと判断する。

 「そんじゃ、俺が見張りをしとくから全員休んどけよ」

 イロアスは自ら見張りを申し出る。

 「大丈夫なの? 昨日は大変だったしアンタも寝てないんじゃないかしら?」

 ラティナはイロアスに聞くがイロアスは二カリと笑う。

 「大丈夫だぜ! どうせ後で交代してほしいしな!」

 「んーまあわかったわ」

 「ありがとう、イロアスさん」

 そうして一度休息を挟み、リルートは横になり、目を閉じるのであった。





  SAVE



 「おい、リルート」

 イロアスの声でリルートは目を覚ます。寝ぼけながらも辺りを見渡した時、一つの異変に気づく。

 「何あれ.....狼煙......?」

 「あー.....なんかあったのかもな、戻るか?俺はどっちでもいいぜ」

 

 「じゃあ.......半分だけ残る.......?」

 「うーん、それじゃあまずメリーさんとイロアスさんが残って....私たち三人が戻る?」

 「ああ、それで構わないぜ」

 メリーもコクリと頷き、了承をとると、三人は狼煙の方へと戻るのであった。



 

 「戻る必要あるの? 何もないかも知れないわよ?」

 ラティナの言葉にリルートは少し困った表情で言う。

 「うーん.....まあわざわざ狼煙を上げてるわけだしね〜」

 「はぁ.....わざわざ進んだのに戻るなんて....」

 そんなことをぼやきながらリルート達は第一陣に戻る。






 〜第一陣〜

 「なに.....え....?」

 思わず絶句した。目の前に映るその光景が全く理解できなかったからだ。

 あれだけ沢山駐在してたテントは焼き払われ、辺りは冒険者や騎士達の血で染まり、もう再起不能と言える状態であった。

 「あ.......あぁ.......」

 その時、まだ息をしてる騎士を一人見つけ、リルートは駆け寄る。

 「何が....あったんですか....!?」

 

 騎士の下半身は既にそこには無い、力無く騎士は口を開く。

 「......女だ........青い髪の女が......」

 その瞬間、アモスがリルートの襟を持ち、後ろに投げ飛ばす。

 「え———?」

 その瞬間、リルートのいた先ほどまでいた場所に数本の矢が突き刺さる。

 その時、周りに宙に浮き、茶色に変色した”手“が周りに大量にあることに気づいた。

 それぞれ剣や槍、弓矢ナイフを持ち、それらは一斉にリルート達を襲う。

 「ラティナ! 防御壁を全面展開!」

 リルートはそう指示をすると火薬を辺りにばら撒き、即座に火付け爪で火を放つ。

 「マグスキャントスエクソシ———」

 ラティナが詠唱しようにも“手”が地面を抉りながら剣撃を放つ、ラティナはどうにかその攻撃を避けるが、詠唱ができない。

 ラティナに向かう剣撃をアモスは次々に切り払うが、全く終わりが見えない、前後左右上下、至る所から攻撃が止まない、“手”は斬れば動かなくはなる。だが数が多すぎるのだ。

 

 「本体....というより.....操ってる人がいるはず.......それを見つけないと......」

 「探すって....どうやってよ!」

 探す手段は三人とも持ち合わせていない。三人にこの状況を打開する方法は無い。

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