第52話 ゴブリン殺し
「バリスタの用意は完了したね。フェスさん、頼みます」
「ああ、わかったぞ」
フェスはそう言ってバリスタの後ろ部分を持ち、ゆっくりと移動させる。
「戦況は未だに進んでいない、こちらに被害は死者50人ほど、負傷者は300人を超えてるからね」
「この戦い.....終わるんですかね......」
リルートがそう不安そうに言うとラティナが背中を叩く。
「大丈夫よ、まあアタシはあんたのことよく知らないけど......まあなんとかなるわよ!」
ラティナはやはり楽観的だがこれくらいがいいのかも知れない、リルートも肩の力を抜こうとするが、それでも緊張する。
「ゴブリンロードの場所はもうわかっているんですか?」
「いや、わかってないね。それにあそこを見て」
カランが指差す方向ではゴブリン達と冒険者達が戦っていた。陣形を作りつつも乱戦に近い状態だ。
「僕たちはこの混戦に乗じて侵入してくるゴブリンを止めることが役割だ.......ほら、来たよ」
その時、数匹のゴブリンが同時に襲いかかる。カランは長槍で一匹を突き殺すと、その瞬間にもう一匹を蹴りとばし、懐からナイフを取り出し、一匹を絶命させる。
リルートは蹴り飛ばされたゴブリンの首を突き刺し、トドメを刺す。
「とりあえずこの作業を繰り返せばよさそうだね」
そうしてしばらく侵入しようとするゴブリン達を殺し続けていると、カランは周りを見て動きを止める。
「.........気のせいかな......」
「ん....どうしたんですか?」
カランの言葉にリルートは疑問を聞くと、カランは答える。
「ゴブリンバーサーカーもいるはずだ、だけど戦線でそんなゴブリンは一匹も見ていない、それってさ———」
その時、カランはリルートの方を見るとギョッとして手を伸ばす。
「避けろ!!」
「え.....ッ?」
その時、真後ろにゴブリンバーサーカーがいた、3mはあるその巨大な体格と身の丈ほどの巨大な大剣、リルートが反応する前に大剣は振り下ろされる。
その瞬間、とてつもない衝撃がリルートは襲い、吹き飛ばされる。重く強い一撃だ。
リルートはクラクラしながらも目を開くと、目の前にはメリーがいた。
「メリーさん....!」
メリーはゆっくりと立ち上がり剣を構える、その剣は既にヒビが入っている、おそらく先程の一撃を受けた結果なのだろう。
「ありがとうございます..!」
「マグスキャントスエクソシア、ミディアスアクシリアヴェントスウィンドレッグ!」
ラティナはリルートに風属性の補助魔法をかけ、足が軽くなる、リルートは思い切り地を蹴り、バーサーカーの頭まで飛ぶと復剣を振るう。
「な......ッ!?」
その剣撃はバーサーカーの手のひらで抑えられていた。硬い、表皮を斬るだけで筋肉にまるで届いていない。そのことに驚いているうちに、バーサーカーの拳がリルートの腹部に命中するのであった。
「が....!!」
リルートはそのまま地面に倒れ、途切れゆく視界の中で、後ろから現れるゴブリンロードと取り巻きのゴブリン達であった。
SAVE
「起きなさい、リルート!!」
ラティナの声で目を覚ました、起きた直後に来る腹部の痛み、リルートはそこを抑えるが、顔を上げると先頭の真っ最中であった。
「どれくらい気絶してた.....?」
「10分も経ってないわよ」
ラティナはリルートの意識がはっきりしたことがわかるとすぐさま杖を構え、詠唱し始める。
リルートは立ち上がり剣を構え、状況を見た時冷や汗を流す。
既にフェスは死んでいた。攻城兵器とともにペシャンコに潰され、原型を留めていない、それにカランは既に右手首から先がない。
「マグスキャントスエクソシアミディアスインペトムテラストーンショット!!」
「喰らえ!!」
中空に人の頭ほどの大きさの石は5個ほど宙に浮く、それと同時にイロアスは居合斬りを放ち、二つの攻撃がバーサーカーに向かって飛ぶが、ゴブリンロードが叫ぶ。
「守゛れ゛!!」
その言葉を聞いたゴブリン達は飛ぶ石に向かっていき自ら肉の壁となる。
「しゃべった......!?」
おそらく指示ができる.....これがロードの力かと驚愕しながらもリルートは地面に火薬を撒く。
(これでバーサーカーが上に乗ったら......!!)
「バーザーガー、ぞの゛黒゛い゛砂゛に゛ばの゛る゛な゛」
「くそ.......バレてるか......!」
リルートは火付け爪で火を放ち、ゴブリン達を牽制したその瞬間、爆発の中からバーサーカーが飛び出し、メリーを蹴り飛ばす。
「メリーさん!!」
メリーはかなりの距離に飛ばされ、森の方面に入り、バーサーカーはそれを追撃しようとものすごい速度で走る。
「させるか.....!!」
リルートはゴブリンの死体から弓を奪うとバーサーカーに向けるが、取り巻きのゴブリンはそれを許さず、剣撃を撃ち込む。
幸い剣撃は当たらないがバーサーカーは森の中にと入ってしまうのであった。
リルートが気を取られてる好きにゴブリン達は円形状に広がり、4人を囲む。
「数は10.....奥にもまだいるみたいだね......このままじゃ全滅.......」
4人は武器を構え、陣形を中央に固めると、リルートは口を開く。
「今から私の言うとおり動いてくれませんか.....?」
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